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第二十三話 荒野での捜索
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探索者協会を通さない未発見遺跡探索の非正規依頼を終えてから1週間が経った。
コロニーへ帰還してからは、酷使した身体の休養のために探索者活動は休んでいた。
休養期間中に毎日食って寝てを繰り返していたおかげで、遺跡探索で大量に消費した機神粒子の数は、元通りになるどころか探索前を上回るほどにまで回復している。
この1週間の食事に掛かった金額は、大体150万エィンほど。
記憶違いとかではなく、本当に食費だけで150万エィンもの大金が消えていったのだ。
「……口座情報は嘘を付かない」
端末に表示された口座情報を見て黄昏つつ、今日も外出用の非常食である栄養バーを作るべく、食料合成機を稼働させる。
依頼主が報酬を支払ってくれるのが早かったおかげで一文無しは避けられたが、逆を言えば手元に金がある所為で歯止めが効かなかったとも言える。
元々の依頼報酬200万エィンの大半が失われてしまったが、戦利品を売却した金と、依頼主からの追加報酬のおかげで、最終的には約180万エィンが残った。
メタトロンの基本能力の【改造】を上手く使えば装備の修理に出す必要が殆どないため、修理代によって180万エィンから減ることはなかった。
尤も、メタトロンによって改造された装備を他人が修理できるか不明だし、そこからメタトロンの存在が露呈する可能性も踏まえると、メタトロン謹製の改造装備を他人に預けるのはナシだ。
「栄養材も少なくなってきたな。行きに買うか帰りに買うか……行きに買うか」
帰りがいつになるか分からないので行きに買っていくとしよう。
これでまた金が減るな……。
メタトロン使用の代償に何度目か分からない涙を流すと、完成した栄養バーをメタトロンの【亜空庫】に収納し、各種装備品を装着していく。
機巧腕から生身の腕に戻っているため、前回に引き続き腕には改造手甲〈閃殻闘手〉を装備する。
偽装身分であるディアボロとの繋がりを避けるため、閃殻闘手に限らず特徴的な外観の装備品はメタトロンの【改造】でデザインを多少変更している。
先日の俺の姿を見て生きているのは、レイジに寡黙男、そしてアザカなど一部の者達だけだ。
アザカが言っていた通り、遺跡の近くで待機していた地上部隊は殆ど全滅していた。
俺達が地上に出てきた段階で半数を切っており、彼らを救うために戦ったのも、体内の機神粒子が数を減らした理由の一つだ。
思ったよりも生き残っていたので、念のため装備品の見た目は変えておいた方が良いだろう。
◆◇◆◇◆◇
「2級探索者ベリエル・アウターだな。コロニーの外に出る目的は?」
「常駐依頼の荒野のモンスター退治です。モンスター退治は探索者協会で依頼を受けています」
「探索者協会に照会する。少し待て」
「分かりました」
目の前の軍人が手元の端末を操作する間、彼の背後に佇む門を見上げる。
スラム街以外の各門には、門の守護と検問を担当する軍人部隊である門番部隊が常駐している。
コロニーの正規部隊である門番部隊の軍人達の装備は、軍から支給されているだけあって非常に質が良い。
だが、俺のような2級探索者ともなればベテランの領域であり、門番部隊所属の軍人達よりも稼ぐため、各種装備の質は俺の方が上だ。
改造前でも少し上ぐらいだったが、今の改造装備は間違いなく上だと断言できるほどには質が良い。
軍人に手渡した探索者IDで探索者協会に照会した情報と全身の装備から、軍人の彼からは畏敬の念を向けられているのを感じる。
命懸けの探索者業で大金を稼ぐ者は、この世界では強者と認められている。
目の前の彼のような現場の軍人達は、コロニーを守る立場故に高位の探索者の存在価値を正確に理解してくれる。
逆を言えば、1等エリアという内地で働くキャリア組の軍人の中には、探索者を野蛮な奴らと貶す者達も珍しくない。
なので、同じ軍人でも接するならば現場組の者達の方が気が楽だった。
「確認がとれました。通行を許可します。お気を付けて」
「ありがとう」
門を潜り、荒野に足を踏み入れてから探索者協会で借りた魔導二輪車に跨りアクセルを回す。
今回の荒野行きは、先日の未発見遺跡のシステムをハッキングした際に得た情報の中にあった他の遺跡の座標情報を確認するのが目的だ。
荒野のモンスター退治は小銭稼ぎと、本来の目的である遺跡捜索の痕跡を隠すために受注しておいた。
「先ずは近くにある既に発見されている遺跡で位置座標で情報の精度を確かめるか」
ハンドルを切った先の進路上にある遠くの岩陰から、肉食獣系のモンスター〈サンドレオパルド〉が姿を現した。
砂を操るスキルを持つモンスターであり、近距離で戦うと砂だらけにされてしまう面倒なモンスターだ。
魔導バイクを走らせたまま耳に付けたイヤーカフス型モンスター討伐記録機〈Mメモリア〉を起動させると、ホルスターからハイドラを引き抜き、1度だけ引き金を引く。
発射された魔力弾はサンドレオパルドの額を穿ち、一撃でサンドレオパルドを倒してみせた。
Mメモリアから小さな電子音が聞こえ、ちゃんとカウントされたのを確認すると、そのままサンドレオパルドの死体の横を走り抜ける。
有用な素材が取れるモンスターなら止まるが、そうでなければ死体はそのまま放置していく。
どうせ死体は他のモンスターが食べて処理するだろうから気にする必要はない。
「出来ればレアなモンスターで大金を稼ぎたいところだな」
借金返済のためにもレアモンスターとの遭遇を願いつつ、最初の遺跡へと魔導バイクを走らせた。
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