新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵

文字の大きさ
24 / 28

第二十四話 僻地の隠れ遺跡

しおりを挟む


 ◆◇◆◇◆◇


「──第4遺跡も情報通りっと」


 端末を取り出して、マップ上の第4遺跡にチェックを入れる。
 未発見遺跡で手に入れた他の遺跡の座標情報の精度と、その中に未だ発見されていない遺跡がないかを確認するために発見済みの遺跡を回っていた。
 遺跡は発見された順にナンバリングされており、基本的にはコロニーに近いほど番号が小さい傾向にある。
 俺が出た門から近い場所にある第3、第5、第7、第4と4つの遺跡の位置座標を確認したが、どの遺跡も情報にある通りの場所に存在していた。
 ここまで情報が正しいなら、マップ上にある発見済みの遺跡は外していいだろう。


「未発見の遺跡は……小規模のやつが近くにあるな」


 メタトロンにダウンロードした座標情報を改めて確認したところ、少し移動した場所に小規模遺跡があることが分かった。
 その場所は探索者協会の情報によればモンスターの住処になっているらしく、コロニーの近くにある危険地帯の1つだった。


「この辺りは来たことはなかったが、確かに数が多いな」


 岩陰に魔導バイクを停めると、近くの丘に駆け上ってからメタトロンの基本能力【洞察】を発動させる。
 【洞察】は基本的に対象を解析する能力だが、対象を補足するために副次的に遠視機能も有している。
 遠くを見ようと集中すると、自動的にピントが調整され、遠方の景色がよく見えるようになった。
 視界には多数のサソリ系モンスター〈ベノムスコーピオン〉の姿が見える。
 座標情報通りならば、未発見遺跡に向かうにはあの中を突っ切る必要があるようだ。


「狙撃で数を減らすか」


 【亜空庫】から先日手に入れた戦利品の1つである対物アンチマテリアルライフルを取り出す。
 専用弾も一緒に手に入れているので、懐を気にせず使うことができる。
 アンチマテリアルライフルの照準補正装置とメタトロンの【支配】をリンクさせ、そこに【洞察】による解析力を併用し、命中率を引き上げる。
 擬似的な絶対命中状態になると、標的に向けて引き金を引く。
 ベノムスコーピオンの硬い甲殻が砕かれ、甲殻に守られている急所を貫いた。
 断末魔の叫び声はここまで届かないが、視界の中でベノムスコーピオンが身体を仰け反らせているので、たぶん哭いているだろう。


「コレが通じるようで何よりだ」


 アンチマテリアルライフルが効くことに一安心しつつ、引き金を引いていく。
 5体のベノムスコーピオンを狙撃で倒したところで、残りの個体は全て逃げて行ってしまった。
 逃げる背を追撃したかったが、ここからは射線が通らないので諦めるしかないようだ。


「まぁまぁ高く売れるんだが……ま、道が開けたなら構わないか」


 【亜空庫】にアンチマテリアルライフルを収納すると、丘を下りて魔導バイクに跨り、ベノムスコーピオンが去った場所を走り抜ける。
 通り過ぎ様に片手でベノムスコーピオンの死体を掴み、【亜空庫】の収納空間内に放り込んでいった。
 この場で解体する暇はないが、手に持てばすぐに収納できる【亜空庫】のおかげで止まることなく死体を回収できた。
 魔導バイクを走らせている間ベノムスコーピオンの気配を少し離れたところに感じたが、こちらに近付いてくる様子はなかった。
 これ幸いと魔導バイクを走らせ続け、目的地の座標に到着した。


「モンスターの住処の中にあるのが見つかっていない理由かと思ったが、これは見つからないのも無理ないな」


 魔導バイクも走らせることができる開けた道から見て、角度的に見えない場所に遺跡への入り口があった。
 入り口手前に大岩があり、他の場所にも似たような大岩があるので、予め此処に何かがあると確信していなければ探したりはしないだろう。
 ここまで乗ってきた魔導バイクを【亜空庫】に収納してから、砂塗れの入り口の扉に触れる。


「開かないな。まぁ、状態的に開くわけがないか」


 メタトロンの【支配】で扉に干渉し、ロック状態を解除する。
 積もった砂が引っ掛かって扉が途中で止まってしまったので、砂を出来るだけ退けてから扉を押し開けた。


「しっかり施錠されていたから中は綺麗だな」


 砂が入ってこないように扉を閉めてから階段を下りていく。
 小規模の遺跡という情報通り、入り口から下る螺旋階段は狭く、この先にある空間も大して広くないことが想像できる。
 過去の文明時代に築かれた施設というよりは、個人規模の研究所やシェルターが近いかもしれない。
 その予想は正しく、1番下まで下ったところにあった空間は研究所のような内装をしていた。
 幾つかある部屋を順番に開けて室内を確認する。
 保存状態が悪くても分かる生活感溢れる部屋もあれば、様々な記録媒体の研究資料が保管された部屋もあった。
 そうして螺旋階段の近くから奥に向けて調べていくと、台所らしき場所に白衣を着た白骨化死体を見つけた。
 外傷らしきものは見当たらないので、寿命か病死が原因で死んだんだろう。


「……さて、後は奥の部屋だけか」


 外に埋葬してやろうと、生活部屋にあった辛うじて使える布で死体を包むと、一先ず【亜空庫】に入れておく。
 今のところ何も収穫がないが、最後の部屋だけは無駄にセキュリティが強固なので期待できる。
 そんなセキュリティも機械式の施錠は【支配】で簡単に解除し、物理的なロックは死体の首に下がっていた鍵を差し込んで解除していった。


「さぁ、一体何が……人、か?」


 最後の部屋の中に入ると、部屋の中央に1つのカプセルが置かれているのが目に入った。
 横向きの寝台タイプのカプセルであり、その中では1人の若い女性が眠るように横になっていた。


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

僕だけレベルダウンな件〜敵を倒せば倒すほど弱くなるので、目立たずスローライフを目指します〜

小林一咲
ファンタジー
まったく数奇な人生である。 僕の名前は橋本 善。 正真正銘の日本人だが、今は異世界にいる。 理由なんてわかるはずがない。 死んだのか、はたまた何かの召喚に巻き込まれたのか。 僕には固有スキルがあった。 それは、スキル【レベルダウン】。 魔物を倒し、経験値を得るほどレベルやステータスがさがるというものだ。 だから僕は戦わない。 安心安全のスローライフを目指すんだ!!

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...