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身代わり花嫁と軍服のこじれた初恋
三十三話『章枝の懐妊』
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章枝はこの数日、体調が優れなかった。
「皇后様は、やはり召し上がらないの」
「はい、どうやら香りが強いものが苦手みたいで」
「ご飯は?」
「残されています」
――――医女を。
侍女頭は密かに命じた。
「では、やはり懐妊されて?」
「はい、ですが」
医女は小声で話した。
「主上には、言うなと?」
「はい。皇后様の懐妊は国の慶事ですのに、なぜ隠せと」
「分かった、この件は私から中山様に伝えるから、あなたは心配しないで」
「はい」
医女は一礼し、宮を離れた。
「なに。皇后様が懐妊されたのに、主上に言うな?」
「はい。主上は次の御子を望んでいるのに―――月経のことも伏せて―――。もう、五ヵ月になると」
「五ヵ月!」
彰義の顔が強ばる。
「由々しき事だ。主上に申し上げよう」
晃嗣は至極ご機嫌だった。
「皇后、日頃のそなたの気遣いに感謝し、私からささやかな、膳を用意した。さ、そなたの好物を用意したゆえ」
「ありがとうございます、主上」
章枝は微笑んだ。
しかし、膳にはたしかに章枝の好物が並んでいたが、どれも懐妊前に好きだった物だ。
(悪阻で食べられない物がこんなに――どうしよう?懐妊がバレてしまう!)
「ほら、そなたの好物だ。口を開けよ」
「はい」
口に入れた瞬間、強烈な吐き気が章枝を襲った。
「うぐ。し、失礼します」
ゲボ、ゴボ・・・
とうとう、バレてしまった。嘔吐するほどの吐き気を、医務官に見せない訳がない。
「―――懐妊で、ございます」
医女が泣いて、謝罪した。
「どうか、お許し下さい」
「よい。そなたは命じられたのだ、辛かっただろう」
下がりなさい、と晃嗣は微笑んだ。
「章枝、なぜ懐妊を隠した」
「それは―――」
「まぁ、色々と不安なのは解る。授かった御子を失くすやもしれぬ不安、命を狙われるやも知れない不安」
「いえ、それもございますが。あの、皇子だと元子様と争いにならないかと」
晃嗣には亡くなった皇后との間に授かった、光輝皇子がいる。章枝は父である大臣・美作昭三が恐いのだ。
「大丈夫だ。光輝と私でそなたと御子を守ると約束しよう」
「―――わかりました、信じます」
章枝が微笑んだ。
「もう五ヵ月になるのだ、何も出来まい」
「そうですよ、皇后様」
光輝は兄弟ができると、笑顔になった。
「頼りにしています、主上、皇子」
章枝は涙をにじませた。
「皇后様は、やはり召し上がらないの」
「はい、どうやら香りが強いものが苦手みたいで」
「ご飯は?」
「残されています」
――――医女を。
侍女頭は密かに命じた。
「では、やはり懐妊されて?」
「はい、ですが」
医女は小声で話した。
「主上には、言うなと?」
「はい。皇后様の懐妊は国の慶事ですのに、なぜ隠せと」
「分かった、この件は私から中山様に伝えるから、あなたは心配しないで」
「はい」
医女は一礼し、宮を離れた。
「なに。皇后様が懐妊されたのに、主上に言うな?」
「はい。主上は次の御子を望んでいるのに―――月経のことも伏せて―――。もう、五ヵ月になると」
「五ヵ月!」
彰義の顔が強ばる。
「由々しき事だ。主上に申し上げよう」
晃嗣は至極ご機嫌だった。
「皇后、日頃のそなたの気遣いに感謝し、私からささやかな、膳を用意した。さ、そなたの好物を用意したゆえ」
「ありがとうございます、主上」
章枝は微笑んだ。
しかし、膳にはたしかに章枝の好物が並んでいたが、どれも懐妊前に好きだった物だ。
(悪阻で食べられない物がこんなに――どうしよう?懐妊がバレてしまう!)
「ほら、そなたの好物だ。口を開けよ」
「はい」
口に入れた瞬間、強烈な吐き気が章枝を襲った。
「うぐ。し、失礼します」
ゲボ、ゴボ・・・
とうとう、バレてしまった。嘔吐するほどの吐き気を、医務官に見せない訳がない。
「―――懐妊で、ございます」
医女が泣いて、謝罪した。
「どうか、お許し下さい」
「よい。そなたは命じられたのだ、辛かっただろう」
下がりなさい、と晃嗣は微笑んだ。
「章枝、なぜ懐妊を隠した」
「それは―――」
「まぁ、色々と不安なのは解る。授かった御子を失くすやもしれぬ不安、命を狙われるやも知れない不安」
「いえ、それもございますが。あの、皇子だと元子様と争いにならないかと」
晃嗣には亡くなった皇后との間に授かった、光輝皇子がいる。章枝は父である大臣・美作昭三が恐いのだ。
「大丈夫だ。光輝と私でそなたと御子を守ると約束しよう」
「―――わかりました、信じます」
章枝が微笑んだ。
「もう五ヵ月になるのだ、何も出来まい」
「そうですよ、皇后様」
光輝は兄弟ができると、笑顔になった。
「頼りにしています、主上、皇子」
章枝は涙をにじませた。
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