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身代わり花嫁と軍服のこじれた初恋
四十九話『嫉妬、あなたは私の!』
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「清華」
鏡弥が戻ったのは夜も遅くだった。
『妻、だと?浮気の一つや二つで、ぎゃあぎゃあ言う女など捨置け』
大臣は鏡弥に、芸者を当てがおうとした。しかし、鏡弥はこれを、頑なに拒んだ。
『申し訳ありません。ですが、私には世界でただ一人の妻で妻ですので、蔑ろにはできません』
鏡弥は床に額をつけて懇願した。
一方、清華は結局どこにも行かず、すぐに宿に帰ってきた。
「一人じゃ、つまんないもん」
鏡弥と楽しむために計画した、新婚旅行だった。
鏡弥がいないのに、散策しても行きたい場所などない。
「鏡弥さん」
大浴場に行き、一人ラウンジで紅茶とケーキで誤魔化していた。
「長谷川様」
女将が廊下で声をかける。
「お夕食は、いかがなさいますか」
「一人分だけ、部屋に」
「かしこまりました。お酒はどうなさいます?美味しい地酒がありますよ」
―――――
清華はアルコールが苦手だった。
「清華、まだ起きていたのか―――」
扉を開けると、障子に明かりが見える。
「あれ、鏡弥さ」
頬を紅く染め、潤んだ瞳で清華が振り返る。
「酒を飲んだのか」
グラスに水を入れ、鏡弥は差し出す。
「清華、水を」
「おかえりなさい」
笑顔で、清華は抱きついた。
「水を飲め」
「お仕事は、終わりですかぁ?」
清華が抱きつく。
(おしろいのニオイ!)
服から漂う芸者の匂いに、清華はかぁっと全身の血が沸騰する。
「うわっ」
鏡弥は清華に押し倒されていた。
「こんなに、おしろいの匂いをつけて」
「清華」
「私は、あなたの!あなたは、私の」
馬乗りになり、清華は鏡弥に掴みかかる。
「あなたは、私の夫で―――私の、夫」
涙が目にあふれる。
私の夫なのに!
ひくっ、と清華がしゃくり上げる。
「清華、もっと欲しがれ」
「え?」
清華が驚き瞬く。
「オレは、君の男だ。存分に欲しがれ」
「いいんですか、妬いても?」
「ああ、妻に妬かれてこそ、男冥利に尽きるだろ?」
泣き笑いに、清華の顔が歪む。両手で鏡弥の頬を包み、接吻を交わす。
「んぁ・・だめぇ」
「悦い、の間違いだろ」
腰を掴まれ、激しく突き上げられる。
「やだぁ」
ズチュ、ずりゅと淫らな水音が、部屋に響く。
「清華」
「だめぇ、私が――すりゅの」
「君には、これはまだキツいだろ」
「出来りゅもん」
いぁ―――っ
悲鳴を上げ、清華は達した。ガクガクと震え、涙があふれた。
「やだ、も・・だめぇ」
「愛している、清華」
「んぅ」
頭を引き寄せ、舌を絡ませる。深い接吻に、清華はまた達した。
「あ、あぁ」
「イッたか?」
「やだぁ」
組み敷かれ、再び口付けた。
「鏡弥さん」
「清華、我慢はするな。してほしいことがあるなら、言ってみろ。君の願いはいつも、ささやかだ」
「また、手を繋いでくれますか?」
「ああ」
「大好き、鏡弥さん」
「一人、寂しくさせてすまなかった」
良かった
帰ってきてくれた
清華は鏡弥の胸元に、額を寄せ目を閉じた。
鏡弥が戻ったのは夜も遅くだった。
『妻、だと?浮気の一つや二つで、ぎゃあぎゃあ言う女など捨置け』
大臣は鏡弥に、芸者を当てがおうとした。しかし、鏡弥はこれを、頑なに拒んだ。
『申し訳ありません。ですが、私には世界でただ一人の妻で妻ですので、蔑ろにはできません』
鏡弥は床に額をつけて懇願した。
一方、清華は結局どこにも行かず、すぐに宿に帰ってきた。
「一人じゃ、つまんないもん」
鏡弥と楽しむために計画した、新婚旅行だった。
鏡弥がいないのに、散策しても行きたい場所などない。
「鏡弥さん」
大浴場に行き、一人ラウンジで紅茶とケーキで誤魔化していた。
「長谷川様」
女将が廊下で声をかける。
「お夕食は、いかがなさいますか」
「一人分だけ、部屋に」
「かしこまりました。お酒はどうなさいます?美味しい地酒がありますよ」
―――――
清華はアルコールが苦手だった。
「清華、まだ起きていたのか―――」
扉を開けると、障子に明かりが見える。
「あれ、鏡弥さ」
頬を紅く染め、潤んだ瞳で清華が振り返る。
「酒を飲んだのか」
グラスに水を入れ、鏡弥は差し出す。
「清華、水を」
「おかえりなさい」
笑顔で、清華は抱きついた。
「水を飲め」
「お仕事は、終わりですかぁ?」
清華が抱きつく。
(おしろいのニオイ!)
服から漂う芸者の匂いに、清華はかぁっと全身の血が沸騰する。
「うわっ」
鏡弥は清華に押し倒されていた。
「こんなに、おしろいの匂いをつけて」
「清華」
「私は、あなたの!あなたは、私の」
馬乗りになり、清華は鏡弥に掴みかかる。
「あなたは、私の夫で―――私の、夫」
涙が目にあふれる。
私の夫なのに!
ひくっ、と清華がしゃくり上げる。
「清華、もっと欲しがれ」
「え?」
清華が驚き瞬く。
「オレは、君の男だ。存分に欲しがれ」
「いいんですか、妬いても?」
「ああ、妻に妬かれてこそ、男冥利に尽きるだろ?」
泣き笑いに、清華の顔が歪む。両手で鏡弥の頬を包み、接吻を交わす。
「んぁ・・だめぇ」
「悦い、の間違いだろ」
腰を掴まれ、激しく突き上げられる。
「やだぁ」
ズチュ、ずりゅと淫らな水音が、部屋に響く。
「清華」
「だめぇ、私が――すりゅの」
「君には、これはまだキツいだろ」
「出来りゅもん」
いぁ―――っ
悲鳴を上げ、清華は達した。ガクガクと震え、涙があふれた。
「やだ、も・・だめぇ」
「愛している、清華」
「んぅ」
頭を引き寄せ、舌を絡ませる。深い接吻に、清華はまた達した。
「あ、あぁ」
「イッたか?」
「やだぁ」
組み敷かれ、再び口付けた。
「鏡弥さん」
「清華、我慢はするな。してほしいことがあるなら、言ってみろ。君の願いはいつも、ささやかだ」
「また、手を繋いでくれますか?」
「ああ」
「大好き、鏡弥さん」
「一人、寂しくさせてすまなかった」
良かった
帰ってきてくれた
清華は鏡弥の胸元に、額を寄せ目を閉じた。
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