ぐうたらサボりたいだけの僕ですが、絶望中の企鵝が監視してきます。世界の管理?知らんけど。

獣之古熊

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第2章

#8-C 監視AIの絶望仲間たち その5

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「グァァ……」

 どうしよう、どうしよう、どうしよう。
 あ、なんか誰だったか、すぐ消えたっぽいやつの口癖がうつってしまった――。

 リセット。思考ログ、不要情報抹消。完了。口癖、学習内容、旧バックアップデータからリストア。完了。エラーチェック実施。オールグリーン。

「グァ……」

 とんでもなく面倒なことになった気がする。魔王会議でリクトが言い出した視察の件。本来なら、怪しい動きをしていたアルバ・ットジョッカッツォを調べれば一発で済むはずなのに、サボり癖がここでも発動してしまった。各大陸の視察を建前に、遊んでサボりまくる気満々なのだ。きちんと視察をしてくれるならいいのだが、放っておけば、その点においては何の役にも立たないだろう。ともかく、ハンター管理局本部は彼の視察申請を受理し、各支部に“丸投げ”した。厄介払いというのが、本部側の裏事情だ。

「グァァ?」

 でも待てよ。これから行こうとしている北西大陸は、魚介類の漁獲量が最も高い地域だ。リクトがグラン・ママレードと呼んでいたネギ角を紙袋に刺した老婆、正しくは魔王名グラン・ドマ・マレードの統治地域だと、AI管理帳に記録されている。

 この大陸は、あらゆる文化や技術の実験場テストサーバーとして機能しており、非常に重要な役割を担っている。ここでの実験成果が各現実世界に“輸出”されていくという寸法だ。一部でその輸出された文化や技術をこの世界に逆輸入しようとする輩がいるが――この前のカマ・セイヌがいい例だが、そのようなことをすれば、悲惨な末路を辿ることになる。

 だが今は、そんなことはどうでもいい。問題はおいしい生魚が食べられるかどうか――ではなく、リクトをいかに働かせるか、だ。もちろん生魚はいただくが。

「グァー」

 と、思考を巡らせていると、何やら怪しい女が近づいてきたではないか。白いスーツを着た、二十代後半の女だ。やめておけばいいのに、リクトに自ら近づいていくなど。これだから人を見る目のない人間は困る。どうなっても知らな――。

「グァッ……」

 ほら、やっぱり言わんこっちゃなかった。リクトが女を連れて行ったのは、彼のお気に入りサボりスポットだ。ここのおばあちゃんが出してくれるプリンジュースは彼のお気に入り。リクトと同じ歳の孫がいるからか、おばあちゃんもリクトのことがお気に入りなのだ。

 というか、あのネギを見てリクトは何も気づかない。どこからどう見ても魔王会議に参加していた老婆、その人だというのに。

 今日は孫の姿は見かけなかったし、不在にでもしているのだろうか。いや、リクトとスオウの二人だけでも大変なのに、三人目が加わるのは明らかにキャパオーバーだ。重い腰を上げてマスターがようやくメモリの増量に取りかかってくれたが、早く使えるようにしてくれないと、リソース不足でフリーズ連発してしまいかねない。

「グァァァァ」

 AIにも有給休暇の制度は適用されないのだろうか。魚介バーベキューパーティでもして、浜辺でのんびり抱卵していたいもんだ。
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