2 / 4
第2話 睡眠記録係、小公爵様の安眠に奔走する(1)
しおりを挟む
「小公爵様、おはようございます。朝ですよ」
アリシアは天蓋の内側から聞こえる寝息の変化に、テーブルに並べたカップふたつにハーブティーを注ぎ、ランプを灯した。
一か月前の運命の日。あの後、ドレスの採寸と新しい部屋の用意がされ、諸々の書類の記入と瞬く間に婚約、結婚と話が進んだ。数日後には仮の妻になって今に至る。
「ふぁ……おはようアリシア」
欠伸交じりの声と共に天蓋が細い指で開かれる。
純白のふかふかから体を起こしたフィルが微笑み、カップに口を付ける姿は妖精のよう。
数年ぶりの再会にアリシアも当初こそどう接すればと戸惑ったが、穏やかな様子は変わらず、程なく緊張は解けていった。
アリシアは早速、クマの濃さ、布団のずれ具合、額に手を当て体温チェックして記録用ノートに書きこむ。
天気は晴れ、室温22度、湿度そこそこ、睡眠時間……朝3時から7時まで。昨夜の寝言……「なし」。顔色、昨日よりは良さそう。
「今日もよく寝れたよ、ありがとう」
成長につれ落ち着いていた不眠はここ3カ月で急激に悪化し、2時間続けて寝られたら幸運という状態。アリシアとの再会時も疲労の限界だったそうだ。
それが見守りを始めてから少し長くなった。呻き声が時折天蓋から漏れるものの、今日は何事もなく4時間も寝られた。ものすごい進展と言っていい。
「そろそろ窓のある部屋に移りませんか? 朝日を浴びてお散歩をして」
「……君が言うなら、そうしようかな」
「良かった。落ち着かなければすぐ戻しましょうね」
匿われている、夢見が悪いせい、呻きや予言を聞かれないため。どれが理由でも、四六時中、この暗い部屋で臥せっているのは心にも不健康だ。
「でも、寝ようと焦らないでいいですよ。弟妹なんてあらゆる手を使っても起きていたがって――そもそも布団で大人しくしてないんです。ベッドにいらっしゃるだけで偉いですよ。……あの、大丈夫ですか?」
頬が少し赤くなったかなと顔を窺うと、ついと視線でベッドの隣を示された。
「……お茶、ここで一緒に飲まない? 奥さんなんだから」
「いえっ、これが正しい距離ですっ。奥様に託されたのは、妻とは名ばかりの睡眠記録係ですから!」
つまり夫人の結婚の提案は、「寝室にいて不自然でない」が一番の理由で結婚は手段でしかない。添い寝係でなくて良かった、とは心底思ったが。
アリシアは急いで、彼にとっては目覚めの、自身にとっては仮眠前の一杯を飲み干した。
「そうだね……巻き込んでごめんね。『奥さん』が予言だと母が勘違いをして」
夫人が結婚を勧めた、二番目の理由がそれだ。
「すぐに誤解は解けますよ」
「でも昔から、君が側にいると安心してよく眠れるのは本当なんだ。この羊も留学に持って行った」
枕元の、くたくたの羊のぬいぐるみをひと撫でする。
5歳くらいの頃、怖い夢を見て眠れないと言うのでプレゼントしたものだ。実際、伯爵家でうたたねの最中に叫んで起きる姿を何度も見たことがある。
「悪い夢を食べてくれるんだったね」
「子供の思い付きです」
指を針で刺しながら作ったそれは、今見ると縫い目がガタガタで恥ずかしい。「ずっとお守りにしてたからね」と言われれば肩をすぼめる。
お茶を飲み終えたフィルは公爵夫妻から頼まれている、わずかな仕事に取り掛かった。
サイドテーブルに積み上がった手紙に目を通していけば、みるみるうちに表情が曇っていく。
「いくつかは王太子の側近の名前だ。留学先から姿を消せば露見するのも時間の問題だったね。
ここ数年彼らの興味は専ら、王太子の子がどちらに産まれるか――自分で何とかできるものを視て欲しいだなんておかしいね」
王太子には妃の他に愛妾がいるとの噂は、アリシアも耳にしたことがある。
「予言を夢で視るのは家族の秘密ですよね?」
「お祖母様は起きて視ていたから。間違いでも、そう思わせておいた方が危険が少ないかなと。
困ったね。後で伺うとだけ伝えておこう」
手紙を除け、別の手紙を手にする。
「母の友人からの相談は――うん、きっと失せ物は彼女の、無断借用が好きな甥の手元にある。確か趣味のクリケットで賭け負けていたし。
こちらの子爵夫人の相談は……その場に鏡があったはず」
絹のように柔らかい雰囲気と声が、こういう時は少しだけぴんと糸を張るようだ。
彼に直接でなくとも、予言をあてにしているのかどうか、しばしば相談事が持ち込まれるらしい。
「本当に予言ではないんですか?」
「お祖母様も似たようなことをしていたそうだよ。僕のは単に記憶力と可能性の検討だけどね」
「私にもよく助言をくれましたね」
アリシアが何かを失くしたり困った時には、いつも的確なアドバイスをくれた、と思い出す。
近所の子供と揉めた時も、言われた通りにしたら相手の態度が柔らかくなった。
母の葬儀でも、弟妹たちの前だと我慢していたら、泣いてもバレない場所に連れて行ってくれた。
「あ、でも誤解しないで。君には義理じゃない」
彼は微笑むと、また手紙に軽く目を通し始める。
「それと予言は、夢は見ても忘れることがあるから、原因を除くために寝言を記録することになったんだろうね。母は力なんてない方がいいって考えている」
彼が手紙を分類し終えたのを見届け、アリシアは立ち上がる。
「朝食とホットミルクをお持ちしますね」
「食事は後にして、昔みたいに羊を数えてよ。声を聞いていたら眠くなってきた」
フィルがまた布団に潜り込むので、アリシアは椅子を寄せて腰かける。
「私で宜しければ。……羊が一匹、羊が二匹……」
かつて亡き母親が語ってくれたように。体力の限界でソファに倒れ込んだ彼にかつてしたように。
ゆっくり羊を数えていくと、細い指がそっと伸びてきて、肩口で揃えたふわふわの巻き毛に触れた。
「……覚えてる? 眠れるまで1万匹も数えてくれたこと。君の声は優しくて、黒毛の羊みたいで……」
うとうとと、フィルの声に眠気が混じり始めて瞼が閉じる。
ほっとしたアリシアが顔を少し近付け、おやすみなさいと呟いた時――突然扉がバン、と開いて侯爵夫妻が雪崩込んできた。
「――起きたかフィル!」
「あなた、静かにしてください」
ぱっちりと目を開いてしまったフィルの顔がいつもより近くて、アリシアはばっと体を起こし、慌てて壁際まで退き礼を取る。
「小公爵様はただいまお休みのお時間です」
お邪魔をしてごめんなさい、と嬉しそうに夫の腕を引っ張る夫人だが、夫たる公爵は手の中の立派な封書を掲げてみせた。
飾らない人柄は知っているものの、きっちり撫でつけた髪と肩書きに違わぬ風格を前にして、羞恥と緊張とで膝が震える。
「王太子殿下の既知から、会いたいとの手紙だ」
「……恐れながら今は小公爵様のご健康に関わります」
「息子への忠義は大したものだが、これは我が義娘、フィル・ドーソン夫人――君宛てだよ」
アリシアが目を丸くして固まると、布団が跳ねのけられる。
慌てて駆け寄り、床に降りたフィルのふらつく背を支える。服の上からでも分かるほど頼りなく、勉強一筋のすぐ下の弟より細いくらいだ。
「ありがとう。……お父様、それはつまり殿下から僕への脅迫状でしょうか」
「お前には依頼の手紙が届いているはずだがね」
おっとりとした口調で尋ねるその声は、アリシアが握る封筒の上から添えられた指と同じくらい、冷えていた。
「なるほど」
彼はサイドテーブルの「後処理」の手紙の山から膨らんだ一通を再び手に取り、封を開けた。中から、便箋が一枚と紐状の羊皮紙が現れる。
羊皮紙には意味のない文字の羅列が書かれており、しかも徐々に字間が離れていく奇妙なものだった。
「……どちらの女性からの手紙なのか、予言して欲しいそうですよ」
アリシアは天蓋の内側から聞こえる寝息の変化に、テーブルに並べたカップふたつにハーブティーを注ぎ、ランプを灯した。
一か月前の運命の日。あの後、ドレスの採寸と新しい部屋の用意がされ、諸々の書類の記入と瞬く間に婚約、結婚と話が進んだ。数日後には仮の妻になって今に至る。
「ふぁ……おはようアリシア」
欠伸交じりの声と共に天蓋が細い指で開かれる。
純白のふかふかから体を起こしたフィルが微笑み、カップに口を付ける姿は妖精のよう。
数年ぶりの再会にアリシアも当初こそどう接すればと戸惑ったが、穏やかな様子は変わらず、程なく緊張は解けていった。
アリシアは早速、クマの濃さ、布団のずれ具合、額に手を当て体温チェックして記録用ノートに書きこむ。
天気は晴れ、室温22度、湿度そこそこ、睡眠時間……朝3時から7時まで。昨夜の寝言……「なし」。顔色、昨日よりは良さそう。
「今日もよく寝れたよ、ありがとう」
成長につれ落ち着いていた不眠はここ3カ月で急激に悪化し、2時間続けて寝られたら幸運という状態。アリシアとの再会時も疲労の限界だったそうだ。
それが見守りを始めてから少し長くなった。呻き声が時折天蓋から漏れるものの、今日は何事もなく4時間も寝られた。ものすごい進展と言っていい。
「そろそろ窓のある部屋に移りませんか? 朝日を浴びてお散歩をして」
「……君が言うなら、そうしようかな」
「良かった。落ち着かなければすぐ戻しましょうね」
匿われている、夢見が悪いせい、呻きや予言を聞かれないため。どれが理由でも、四六時中、この暗い部屋で臥せっているのは心にも不健康だ。
「でも、寝ようと焦らないでいいですよ。弟妹なんてあらゆる手を使っても起きていたがって――そもそも布団で大人しくしてないんです。ベッドにいらっしゃるだけで偉いですよ。……あの、大丈夫ですか?」
頬が少し赤くなったかなと顔を窺うと、ついと視線でベッドの隣を示された。
「……お茶、ここで一緒に飲まない? 奥さんなんだから」
「いえっ、これが正しい距離ですっ。奥様に託されたのは、妻とは名ばかりの睡眠記録係ですから!」
つまり夫人の結婚の提案は、「寝室にいて不自然でない」が一番の理由で結婚は手段でしかない。添い寝係でなくて良かった、とは心底思ったが。
アリシアは急いで、彼にとっては目覚めの、自身にとっては仮眠前の一杯を飲み干した。
「そうだね……巻き込んでごめんね。『奥さん』が予言だと母が勘違いをして」
夫人が結婚を勧めた、二番目の理由がそれだ。
「すぐに誤解は解けますよ」
「でも昔から、君が側にいると安心してよく眠れるのは本当なんだ。この羊も留学に持って行った」
枕元の、くたくたの羊のぬいぐるみをひと撫でする。
5歳くらいの頃、怖い夢を見て眠れないと言うのでプレゼントしたものだ。実際、伯爵家でうたたねの最中に叫んで起きる姿を何度も見たことがある。
「悪い夢を食べてくれるんだったね」
「子供の思い付きです」
指を針で刺しながら作ったそれは、今見ると縫い目がガタガタで恥ずかしい。「ずっとお守りにしてたからね」と言われれば肩をすぼめる。
お茶を飲み終えたフィルは公爵夫妻から頼まれている、わずかな仕事に取り掛かった。
サイドテーブルに積み上がった手紙に目を通していけば、みるみるうちに表情が曇っていく。
「いくつかは王太子の側近の名前だ。留学先から姿を消せば露見するのも時間の問題だったね。
ここ数年彼らの興味は専ら、王太子の子がどちらに産まれるか――自分で何とかできるものを視て欲しいだなんておかしいね」
王太子には妃の他に愛妾がいるとの噂は、アリシアも耳にしたことがある。
「予言を夢で視るのは家族の秘密ですよね?」
「お祖母様は起きて視ていたから。間違いでも、そう思わせておいた方が危険が少ないかなと。
困ったね。後で伺うとだけ伝えておこう」
手紙を除け、別の手紙を手にする。
「母の友人からの相談は――うん、きっと失せ物は彼女の、無断借用が好きな甥の手元にある。確か趣味のクリケットで賭け負けていたし。
こちらの子爵夫人の相談は……その場に鏡があったはず」
絹のように柔らかい雰囲気と声が、こういう時は少しだけぴんと糸を張るようだ。
彼に直接でなくとも、予言をあてにしているのかどうか、しばしば相談事が持ち込まれるらしい。
「本当に予言ではないんですか?」
「お祖母様も似たようなことをしていたそうだよ。僕のは単に記憶力と可能性の検討だけどね」
「私にもよく助言をくれましたね」
アリシアが何かを失くしたり困った時には、いつも的確なアドバイスをくれた、と思い出す。
近所の子供と揉めた時も、言われた通りにしたら相手の態度が柔らかくなった。
母の葬儀でも、弟妹たちの前だと我慢していたら、泣いてもバレない場所に連れて行ってくれた。
「あ、でも誤解しないで。君には義理じゃない」
彼は微笑むと、また手紙に軽く目を通し始める。
「それと予言は、夢は見ても忘れることがあるから、原因を除くために寝言を記録することになったんだろうね。母は力なんてない方がいいって考えている」
彼が手紙を分類し終えたのを見届け、アリシアは立ち上がる。
「朝食とホットミルクをお持ちしますね」
「食事は後にして、昔みたいに羊を数えてよ。声を聞いていたら眠くなってきた」
フィルがまた布団に潜り込むので、アリシアは椅子を寄せて腰かける。
「私で宜しければ。……羊が一匹、羊が二匹……」
かつて亡き母親が語ってくれたように。体力の限界でソファに倒れ込んだ彼にかつてしたように。
ゆっくり羊を数えていくと、細い指がそっと伸びてきて、肩口で揃えたふわふわの巻き毛に触れた。
「……覚えてる? 眠れるまで1万匹も数えてくれたこと。君の声は優しくて、黒毛の羊みたいで……」
うとうとと、フィルの声に眠気が混じり始めて瞼が閉じる。
ほっとしたアリシアが顔を少し近付け、おやすみなさいと呟いた時――突然扉がバン、と開いて侯爵夫妻が雪崩込んできた。
「――起きたかフィル!」
「あなた、静かにしてください」
ぱっちりと目を開いてしまったフィルの顔がいつもより近くて、アリシアはばっと体を起こし、慌てて壁際まで退き礼を取る。
「小公爵様はただいまお休みのお時間です」
お邪魔をしてごめんなさい、と嬉しそうに夫の腕を引っ張る夫人だが、夫たる公爵は手の中の立派な封書を掲げてみせた。
飾らない人柄は知っているものの、きっちり撫でつけた髪と肩書きに違わぬ風格を前にして、羞恥と緊張とで膝が震える。
「王太子殿下の既知から、会いたいとの手紙だ」
「……恐れながら今は小公爵様のご健康に関わります」
「息子への忠義は大したものだが、これは我が義娘、フィル・ドーソン夫人――君宛てだよ」
アリシアが目を丸くして固まると、布団が跳ねのけられる。
慌てて駆け寄り、床に降りたフィルのふらつく背を支える。服の上からでも分かるほど頼りなく、勉強一筋のすぐ下の弟より細いくらいだ。
「ありがとう。……お父様、それはつまり殿下から僕への脅迫状でしょうか」
「お前には依頼の手紙が届いているはずだがね」
おっとりとした口調で尋ねるその声は、アリシアが握る封筒の上から添えられた指と同じくらい、冷えていた。
「なるほど」
彼はサイドテーブルの「後処理」の手紙の山から膨らんだ一通を再び手に取り、封を開けた。中から、便箋が一枚と紐状の羊皮紙が現れる。
羊皮紙には意味のない文字の羅列が書かれており、しかも徐々に字間が離れていく奇妙なものだった。
「……どちらの女性からの手紙なのか、予言して欲しいそうですよ」
10
あなたにおすすめの小説
「愛することはない」と言った冷徹公爵様、やり直しの人生は溺愛が重すぎます!~王宮が滅びるのは記憶を隠した旦那様と幸運な息子のせい?~
ソラ
恋愛
王宮の陰湿な包囲網、そして夫であるアリステア公爵の無関心。心身を削り取られたセラフィナは、孤独と絶望の中でその短い一生を終えた。
だが、彼女は知らなかった。
彼女の死を知ったアリステアが、復讐の鬼と化して王宮へ反乱を起こし、彼女を虐げた者たちを血の海に沈めたことを。そして彼もまた、非業の死を遂げたことを。
「……セラフィナ。二度と、君を離さない。この命、何度繰り返してでも」
気がつくと、そこは五年前――結婚三日目の朝。
セラフィナが「今度は期待せずに生きよう」と決意した矢先、飛び込んできたアリステアは泣きながら彼女を抱きしめた。
前世の冷淡さが嘘のように、甘く、重すぎるほどの愛を注いでくるアリステア。
さらに、前世には存在しなかった息子・ノエルまで現れ、セラフィナを苦しめるはずだった敵は、彼女が知らないうちに裏で次々と社会的に抹殺されていく。
アリステアは記憶がないふりをして、狂気的な執着を「優しさ」という仮面で隠し、今度こそ彼女を檻のような幸福の中に閉じ込めようと画策していた。
知っているのは、読者(あなた)だけ。
嘘から始まる、究極のやり直し溺愛ファンタジー!
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。
たまこ
恋愛
公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。
ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。
※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
【第1章完結】公爵様、三年限定ではなかったのですか!?~契約結婚したらなぜか溺愛されていました~
山咲莉亜
恋愛
ウェルロード帝国。大陸一の国力を誇るこの国には建国当時から続く五つの名門家があった。それぞれ役割は違うものの、爵位問わず皇族に継ぐ権力を持った彼らはまとめて『ロード』と呼ばれ、人々は尊敬と畏怖の念を抱いていた。
「はじめまして、フェルリア公爵様。わたしはリーシャ・フランクスと申します。以後お見知りおきを」
──わたしは『時間』の面で大きなハンデがあるから、その分他人より多くの何かを諦めなければならない。それでも、絶対に譲れないものはあります。汚れ仕事はすべて請け負う。その代わり、わたしの生きる意味は国にはあげない。
「アルヴィン・フェルリアだ。リーシャ嬢、私と結婚してくれないか?」
──私には守りたいものができた。手に入れたいものができた。この力を持って生まれた理由は誰が何と言おうと、彼女の隣に並び立つためだったと断言する。
これは不幸な環境で育ちながらも自身の目的のために前を向き続ける、強き少女の物語。
【完結】年下幼馴染くんを上司撃退の盾にしたら、偽装婚約の罠にハマりました
廻り
恋愛
幼い頃に誘拐されたトラウマがあるリリアナ。
王宮事務官として就職するが、犯人に似ている上司に一目惚れされ、威圧的に独占されてしまう。
恐怖から逃れたいリリアナは、幼馴染を盾にし「恋人がいる」と上司の誘いを断る。
「リリちゃん。俺たち、いつから付き合っていたのかな?」
幼馴染を怒らせてしまったが、上司撃退は成功。
ほっとしたのも束の間、上司から二人の関係を問い詰められた挙句、求婚されてしまう。
幼馴染に相談したところ、彼と偽装婚約することになるが――
お人形令嬢の私はヤンデレ義兄から逃げられない
白黒
恋愛
お人形のように綺麗だと言われるアリスはある日義兄ができる。
義兄のレイモンドは幼い頃よりのトラウマで次第に少し歪んだ愛情をアリスに向けるようになる。
義兄の溺愛に少し悩むアリス…。
二人の行き着く先は…!?
触れると魔力が暴走する王太子殿下が、なぜか私だけは大丈夫みたいです
ちよこ
恋愛
異性に触れれば、相手の魔力が暴走する。
そんな宿命を背負った王太子シルヴェスターと、
ただひとり、触れても何も起きない天然令嬢リュシア。
誰にも触れられなかった王子の手が、
初めて触れたやさしさに出会ったとき、
ふたりの物語が始まる。
これは、孤独な王子と、おっとり令嬢の、
触れることから始まる恋と癒やしの物語
メイド令嬢は毎日磨いていた石像(救国の英雄)に求婚されていますが、粗大ゴミの回収は明日です
有沢楓花
恋愛
エセル・エヴァット男爵令嬢は、二つの意味で名が知られている。
ひとつめは、金遣いの荒い実家から追い出された可哀想な令嬢として。ふたつめは、何でも綺麗にしてしまう凄腕メイドとして。
高給を求めるエセルの次の職場は、郊外にある老伯爵の汚屋敷。
モノに溢れる家の終活を手伝って欲しいとの依頼だが――彼の偉大な魔法使いのご先祖様が残した、屋敷のガラクタは一筋縄ではいかないものばかり。
高価な絵画は勝手に話し出し、鎧はくすぐったがって身よじるし……ご先祖様の石像は、エセルに求婚までしてくるのだ。
「毎日磨いてくれてありがとう。結婚してほしい」
「石像と結婚できません。それに伯爵は、あなたを魔法資源局の粗大ゴミに申し込み済みです」
そんな時、エセルを後妻に貰いにきた、という男たちが現れて連れ去ろうとし……。
――かつての救国の英雄は、埃まみれでひとりぼっちなのでした。
この作品は他サイトにも掲載しています。
エリート医務官は女騎士を徹底的に甘やかしたい
鳥花風星
恋愛
女騎士であるニーナには、ガイアという専属魔術医務官がいる。エリートであり甘いルックスで令嬢たちからモテモテのガイアだが、なぜか浮いた話はなく、結婚もしていない。ニーナも結婚に興味がなく、ガイアは一緒いにいて気楽な存在だった。
とある日、ニーナはガイアから女避けのために契約結婚を持ちかけられる。ちょっと口うるさいただの専属魔術医務官だと思っていたのに、契約結婚を受け入れた途端にガイアの態度は日に日に甘くなっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる