アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん

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 「実は、僕冒険者ダンナーになります。」

 一緒にダンジョンに潜った僕以外の、同僚の顔がポカンとしている。

 「最近の魔石の急騰を知っていますか?ちまちま働くより、一攫千金を狙って僕は冒険者ダンナーになります。」

 「ちょ……ちょっとササ!お前あのダンジョンでの悲惨な体験をしたんだろ?お前自身、僕を置き去りにした時みたいに岸本さんだっけ?あの人達も置き去りにしようと逃げ出してたじゃないか?」

 笹川は僕の方をチラッと見た。

 「ああ……本田さん。あの時僕達を助けたっていい気になってるらしいですね?オモチャの鉄砲で撃ってるのが効かなくなって僕が守ってあげてたのに?あれから僕のアイデアの金属バットを真似して鉄パイプなんか使ってたんでしょ?」

 冷めた眼で僕のおっさんの身体を見定めている。

 「だいたいそんな締まりの無い身体じゃ無理なんですよ。僕を見て下さい。あれから更に身体を鍛えて、この身体に!あの時は意表を突かれて驚いただけだけど、結局は身体がモノを言うんですよ。本田さんと違って、僕は職業冒険者ダンナーとしてスカウトもされてますしね?」

 おいおい……えらく食ってかかるじゃないか?僕が何をしたっていうんだ?

 「そりゃご立派な事で。どこにスカウトされてるって?」

 「そんな事まで本田さんに言う必要ないでしょ?今後、僕は週末冒険者ダンナーとは違うって事ですよ。」

 なんだコイツ!?いちいち噛み付いてきやがって!

 「じゃ笹川!お前ホントにダンジョンで稼いでいくつもりなんだな?」
 僕に対する笹川の言葉の辛辣さに、主任が話を割って入ってきた。

 「そうです。僕が有名になる前にサインでも残して置きましょうか?しがないリーマン週末冒険者ダンナーから一躍、トップ冒険者になったって取材が来るかも知れませんよ?」

 笹川の横柄な態度に、僕はこれ以上関わる気は無かった。

 「どうせ大した仕事してなかったし、引き継ぎなんてしなくてもいいでしょ?」

 捨て台詞を吐いて、笹川は後ろ足で砂をかける様に部屋を後にした。

 
 ◇ ◇ ◇ ◇


 「いやーーびっくりしたな?どうしたんだ笹川の奴。あれが本性か?」

 しばらくは笹川の噂話で盛り上がっていたが、日が経つにつれ話題にも登らなくなっていった。

 僕は相変わらず、会社勤めをしながら、週末冒険者ダンナーを続けていた。

 変わった事といえば、ヒールを得た事により負傷しても、即座に治療できるためダンジョン保険に加入しなくなった事だ。そしてダンジョンには素人冒険者ダンナーが圧倒的に多くなっていた。
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