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中級冒険者

侵されたクロード

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 翌朝、僕はクロードに頼んでいた装備の進捗状態を見に商会に行った。

 「くにどん様、ちょうど良かった。使いの者を出そうかと思っていたんです。クロードさんがちょっとおかしいんです。」

 クロードの補佐をしてくれている、鍛冶屋責任者のレオナルドである。

 「クロードどうしたの?疲れてるの?」

 「クロードの目の色がおかしいのです。ずっとブツブツ言ってるし。ちょっと目を見てもらえませんか?」

 目を見る?

 目を見たら呪い殺されるバジリスクってのがいたじゃないか?

 僕は目を見ずに、クロードの後ろから【鑑定】をしてみた。

 [ドラゴンの呪い]というものにかかっている。

 ドラゴンの呪い??

 聞いた事がない。

 クロードの後ろから回復魔法をかけてみる。

 なんの反応もない…

 解毒魔法ではどうだ?

 なんの反応もない…

 クロードの足元には、ドラゴンの牙と鱗の残骸が落ちている。

 牙で剣は作製出来ているようだ。

 剣を僕が持とうとすると、今まで抜け殻のように、うな垂れていたクロードが、急に起き上がり僕を払い退け、剣をむんずと掴む。

 剣を持ったクロードは、明らかに異常な目つきをしていた。

 よだれを垂らし剣を滅茶苦茶に振り回している。

 「おい!クロードどうしたんだ?」

 僕の問い掛けにも答えず、聞き取れない唸り声をあげている。

 危ない!レオナルドに剣が当たりそうになる。

 間一髪で避けた。

 フラフラしていたクロードの身体に力が入ってきている。

 「クロード!悪いな!麻痺せよ!」

 クロードに魔法を放つ。が効果がない……

 ドラゴンの耐性か?

 足元に冷凍魔法を放った。

 パリパリパリ!

 足元は凍った。ふぅと肩を撫で下ろすと、クロードは足を振り上げ、

 バリン!

 と地面に氷付けられた足を振りほどいた。

 クロードの精神は完全に乗っ取られているようだ。

 僕の声は届かない。

 鍛冶場の中を、無茶苦茶に剣を振り回し、設備を破壊している。

 止めないと。

 剣に麻痺魔法を付与する。
 
 「クロードすまない……」

 出来るだけ浅くクロードの手足を斬りつける。

 傷から麻痺魔法がかかり、クロードの四肢は麻痺したようだ。

 体幹部分など身体の中心は麻痺していないが、四肢が動かなくなり、苦しそうにうごめいている。

 レオナルドが、どこからか縄を持って来てクロードを縄で簀巻すまきに縛りあげた。

 苦しそうにウーウーと唸っている。

 [ドラゴンの呪い]を解く方法を考えた。

 「呪いよ解けろ!」僕は念じてみた。

 ピコン♪

 『解呪魔法レベル1を習得しました。』

 解けたかな?クロードを見るが、苦しそうに唸っている。

 新しい魔法を覚えたが、効いてはいない。僕はクロードが落としていた剣を拾った。剣の中には強い魔力が渦巻いている。

 ドラゴンの魔力であろう。

 あのドラゴンは偉そうだったなと思い出した。


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