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ユートピア村

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 「クラウディア久しぶり!背が伸びたかい?」

 「久しぶり!じゃないわよ!姿を隠してどうしたのよ!一体何事なの?」

 「実はさっきギルドに寄ったんだ。すると依頼掲示板に僕に関する情報提供という依頼があるじゃないか?ギルドに聞くに聞けないし、この街ではクラウディアぐらいしか知り合いが居ないから、クラウディアを頼って来てみたんだ。」

 「ああ……あれね……私達もノア君の事をアレコレと聞かれたわ。ゲルパルトのせいよ。覚えてる?ゲルパルト第3皇子!ゲルパルトは、色々情報を国王陛下に教える手紙を書いていたの。校舎が全焼したのも、ノア君の仕業だって吹聴してたもの。きっとその事も国王陛下に告げ口してる筈よ。きっとノア君にブッチギリの成績で負けたので、なんとかノア君の評判を下げようとしてたんだと思うわ!」

 原因はゲルパルトか!

 「でもアレ、ノア君の仕業でしょ?新しい校長が校舎を燃やした魔法の痕跡を調べていたわよ。火魔法レベル10のバーニングサンで燃やし尽くされたと聞いたわよ。そんな強力な魔法を使える人は、ノア君ぐらいしか居ないじゃない?A組はテストの時に、ノア君の火魔法レベル10のバーニングサンを見てたから、A組の生徒はみんなピンと来てたわよ。」

 やはり教員のみ忘却魔法を掛けたが、生徒にも掛けるべきだったか……

 「新校舎が建設された頃に、校長先生が交代になったのよ。新しい校長先生は、相当実力のある凄腕魔術師みたいよ。ゲルパルトが自慢気に言ってたもの……校舎にも侵入者を防ぐ強力な結界魔法など掛かっていたんじゃないの?確かそんな事言ってたわよ?」

 「うん、結界魔法が掛かってたよ。交代した新しい校長が凄腕魔術師というのは、本当みたいだ。」

 その時、[探索]魔法がかけられている気配を察知した!

 誰かこの特別魔法学校内を探ろうと[探索]魔法をかけている!

 僕は咄嗟に[隠蔽]が僕自身に掛かっているか確認した。

 大丈夫だ!見つかる事はないだろう。

 クラウディアは、何も気付いていない。

 「クラウディアありがとう。また情報を聞きに来るかもしれないから、その時はよろしくね。」

 僕は、侵入してきた結界のほころびから、学校外に出ようと移動した。

 「その辺に居ますね?分かっています。貴方にも悪い話ではないはずです。姿を見せてくれませんか?カフマン・ノア君!」

 僕は声の主の方を見た!

 スラリとした、姿勢の良い男が、辺りを警戒している。

 この男が僕を探している男に違いない!僕は直感でそう感じた。
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