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 「分かりました。どうか貴方もご無事で!」

 父親は妻のソフィアに向かって、握り拳を見せて共に頑張ろうとポーズを取った。

 「ファボさんと言いましたかな?細かい話は馬に乗ってお願いします。事態は一刻を争う筈です。急ぎましょう。」

 父親とファボは、王都ペリシアに向かって馬を走らせた。

 ファボは馬上で、聖スベリア会の事を説明していた。聖女が街の人々を可能な限り救おうとしていた事。聖女を守る聖スベリア会を監督する権限を国務大臣がアルフォンス公爵に譲った事。アルフォンス公爵が、聖女の執務室に押し入ろうとしていた事。警備係や街の人々によりアルフォンス公爵が止められた事。その夜、軍隊を引き連れて聖スベリア会に押し寄せ、警備係のトニーが傍若無人に振る舞う公爵が率いた軍隊を逆にやり込めてしまった事。を説明していった。

 「なるほど……アルフォンス公爵の傲慢さが招いたトラブルか……そして図らずも公爵に敵対してしまったという訳か……国務大臣や公爵が絡んでいるとすると、国王陛下に陳情するという提案は良い……しかしあの陛下が話を聞いてくれるかだな……」

 「国王陛下に問題があるのですか?」

 サラの父親はすぐには、返答しなかった。

 「いや、杞憂であってくれればいいのだよ……」

 
 ◇ ◇ ◇ ◇


 「お前達、何をしている!早くここから出る手立てを考えんか!さっさとせんとお前達も奴らの一味として国家反逆罪に問うぞ!」

 アルフォンス公爵と一緒に閉じ込められている兵士達にも、アルフォンス公爵に対する嫌悪が隠せなくなっていた。

 閉じ込められている倉庫は地下にあるせいで、出口は正面の扉しかないようだ。扉の向こう側に何か重い物を置いているようで、扉を押しても引いても動かない。

 他の3方の壁を叩いてみるが、低く重い音だ。壁を破る事が出来ない。やはり正面の扉を破るしかない。

 「どうだ?出口の扉以外出れそうな所はあるか?」

 「いえ……やはり正面の扉以外出る事は困難なようです。」

 「やはりそうか……こうなれば正面の扉を蹴破るしか脱出する手段がない。おい、お前ら!こんだけの人数がいるんだ。扉を蹴破って出るぞ!」

 「そこら辺の棚なんかを使って叩きつけろ!そうだ!ヤレー!」

 数時間の格闘の後、扉が少しずつ壊れてきた。扉の向こう側には、色々な物をバリケードのように積んでいる。そのせいで扉が開かないようだ。

 「おい、扉が壊れてきたぞ!もう少しだ。まず扉を壊せ!行けー!」

 扉が壊れて、バリケードが突破されるのは時間も問題であった。
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