婚約破棄された令嬢は、失意の淵から聖女となり、いつか奴等を見返します!

ぽっちゃりおっさん

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ポーションが効かず、血まみれの男の呼吸が弱々しくなってきている。

『ヒールを使える人居ないか?頼む!助けてくれ!』

『聖女スキルを持った方なら居ます!冒険者になりたてで魔法を使った事ないみたいですけど…』

ギルド登録した時に、担当していた受付嬢が私の横に来て声をあげた!

ええ~!?私!?

『ダメ元でいいから、頼む!試してくれ!』

何もしなければ、死んでしまう。えーい、ダメで元々だ!

聖女は祈ると聞いていた。

私は両手を組み、治ってくれ!と祈ってみた。

血まみれの男がかすかに光ったような気がした。

ドクドクと噴き出していた血の勢いが弱まっている。

私はさらに集中して、お願い!治って!と祈った。

出血が完全に止まった。

後ろで見ていた、野次馬からはウォー!!!っと歓声があがっている。

しかし血まみれの男は血の気がない顔色をしており、意識も戻らない。

私は、両手に力を集中させるイメージで、男の身体の上に手をかざした。

「回復して!意識よ戻って!」

と集中して祈ってみる。

すると血まみれの男を中心に光の輪が広がり、野次馬までも、輪が包んでいた。

ゲホゲホ!

血まみれの男が咳をした。

『うーん……』

言葉を発し意識が戻ったようだ。

再び後ろにいる野次馬から爆発したような歓声が響いた!

『お嬢ちゃんよくやった!』

『伝説の聖女様の誕生だ~!』

野次馬から歓声があがる。

男達が血まみれの男にポーションを飲ましている。

『あれ!?俺も血が止まっている!?』

1番最後に来た、頭から血を流し手で抑えていた別の男が叫んだ!

『あ!?俺の腰も痛くない!』

野次馬だった知らない男も声をあげる。

光の輪に入った者は、皆身体の不調が良くなっているようだ。

『お嬢ちゃん何をしたんだ!?エリアヒールってやつか?』

「分かりません……魔法を使うのも初めてで……私が魔法を使ったのかも分かりません……」

状況からすると、私が治療したようだが、どうやったのかも分からない。

『とにかくお嬢ちゃんが治したぞ!よくやった!』

ギルド内はすっかりお祭り騒ぎのようだった。

血まみれの男が、仲間に抱きかかえられたまま私に話しかけてきた。

『お嬢ちゃんありがとう。君は命の恩人だ』

男の仲間達も、声にならない泣き声で、私に御礼を言っている。野次馬だった冒険者達も、次々に私に良くやった!と声を掛けてきた。

ゴミ屑を捨てるように婚約破棄され、生まれ故郷では、嘲笑の対象にされ、もう誰からも必要とされない人生かと思っていた私が、人の役に立ち感謝された。

人に感謝されるって凄く嬉しい!この気持ちが私の人生の分岐点だった……
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