婚約破棄された令嬢は、失意の淵から聖女となり、いつか奴等を見返します!

ぽっちゃりおっさん

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『この2本の指が昔斬られてないんだ』

差し出された手を見ると、薬指と小指の第一関節から切断された跡がある。

「治療してみますね!指よ治れ!」

両手を切断された指の上にかざして、祈ってみる。

私の両手から光が現れ、切断された指の部分を照らす。

……が切断された指は、何も変わりがない……

???

「指よ!治れ!」

光が出るが、切断された指は元に戻らない……

一度失われた物は戻らないのか……?

「ごめんなさい……一度失われた物は戻らないのかもしれません……」

『そうか……お嬢ちゃんありがとな!ちょっと期待しちゃったけど、まぁ俺の勲章みたいなもんだから、そのままの方が良かったかもな!』

強面の冒険者だが、私を気遣って言ってくれたのが分かった……

『あのさお嬢ちゃん。俺んちの婆ちゃんとか診てくれないよな?しばらく前から、目が見えづらくなったみたいで、困ってるみたいなんだ』

「お婆様のお屋敷はどの辺ですか?」

『ああ!すぐ近所だよ。屋敷っていうか、掘っ立て小屋みたいなもんだけどな』

冒険者は豪快に笑った。

「すぐ近所でしたら、今から行ってみましょうか?治せないかもしれないですけど…」

『治せなければその時だよ。どうせ【聖治癒会】にかかる金もないし、ほっとくしか出来ないんだから』

話がトントン拍子に進んでいたので、ギルマスが横槍を入れてきた。

『ちょっと待てよ。普通、治療はちゃんと対価を貰わないと、診て欲しい人が殺到するから危険だ。あまりに安売りしてるとスズちゃんに不都合が降りかかるぜ。俺はギルドから離れられないし、付いて行けねーよ。婆さんをギルドに連れて来れねーか?』

「私行ってもいいですよ。治療費も今日は実習のつもりでって言ってたでしょ?切断された指も治せなかったし…』

『スズちゃんが良いって言ったら仕方ないけど、オススメ出来ねーな…婆さんおぶって連れて来いよ』

「何かあれば、冒険者のみなさんが守ってくれるでしょ?」

『おお~俺達が付いて守ってやるよ』

『いや、でも…しかし…』

ギルマスは、私がギルド外に出て治療するのが不安なようだ。

『ギルマス大丈夫だよ!俺達に任せな!それにこいつの家は、すぐそこだしな』

ギルマスは不安そうだったが

『お前ら絶対スズちゃんの安全を確保しろよ!何かあれば、ギルドの敷居を二度と跨がせないからな!』

「ギルマスは心配性ね!ちょっと行ってくるわ!」

そもそも私はおしとやかなタイプではない。

お供の冒険者を引き連れ、お婆様の屋敷に向かった。
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