婚約破棄された令嬢は、失意の淵から聖女となり、いつか奴等を見返します!

ぽっちゃりおっさん

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私が今まで見てきたナホリの街は綺麗だったので、私は甘く見ていたようだ。

『こっちだ!』

案内された方向は、明らかに汚い路地である。尿臭が漂い、至る所にゴミが落ちてある。

私は不安になっていた。

『ここら辺は汚いけど、心配しないでくれ。いわゆるスラムって言われる入り口だけど、奥の方じゃないから。奥の方は、さすがに危険だから行かない方がいいけどな』

私は街の表面しか見てきた事がないのだと初めて知った。こういう汚い場所でも生活している人がいるんだと知った。

『恥ずかしいけど、ここが俺ん家だ。ばあちゃん連れて来るからちょっと待っててくれ!』

と言うより早く冒険者は家の中に入っていった。

しばらくすると、足取りがおぼつかない老婆が出てきた。

『何やら治療をしてくれるとか?ありがとうございます』

私は、ひっつめ髪の老婆に症状を訪ねた。

「お婆様、身体の調子はいかがですか?目が悪いとお聞きしてますが?」

『ああ。どんぐらい前からかなぁ…物が白く濁って見えてきてな…治療する金もないし、ほっといたらだんだん見えなくなる一方でさ…』

その辺あった木の台を引っ張り、老婆を台に腰掛けさせた。

「では治療してみますね。目よ!治れ」

老婆の顔の前に両手をかざして祈りを捧げた。

老婆の目の前を明るい光が照らしている。

光は、老婆の目の奥に吸い込まれていった。

「目を開けてみて下さい!」

老婆は、固く閉めた両目を恐る恐る開いている。

『ああ~?はっきり見えますじゃ!これまたどうしたこっちゃ!?』

「目が見えるようになってますね?良かった~!」

治療は大成功だった。

その様子を見ていたスラム街の人々は、私も私もと声を上げだした。ギルマスの想像していた通りだった。冒険者達が間に入るが、スラム街の人々が押し寄せて来る。

そんな時、女神様の言葉が頭に浮かんできた。

《強くありなさい…優しくありなさい…》

「分かりました。時間の許す限り、みなさんを治療させて頂きます。ですから押さないで順番にお並びください」

スラム街に歓声が上がった!

『ナホリに聖女が現れた』

『聖女様だ!』

それから私は、暗くなるまでスラム街の人々を治療する事になった。失った身体の部位を治す事は出来なかったが、症状を聞いて手をかざして光が現れると、どんな病気や怪我も治療する事が出来た。

噂を聞きつけた人々が次から次に来るので、いくら治療していっても終わる事がなかった……

辺りが暗くなり、体力もなくなってきた。

「みなさんすいません。今日はもうこれでおしまいにします。続きはまた今度でお願いします」

『どんだけ待ったと思ってるんだ。診てくれよ』

と順番を待つ人からは怒号があがる。

『聖女様はどんだけ休みなしで治療してくれてると思ってるんだ!休ませてやれよ』

と治療が終わった人からは、援護の声があがる。

結局、何時間も無給で治療した私は、逃げるようにしてスラム街を後にした。幸いな事に冒険者達がずっと身辺を警護してくれたおかげで、危害を受ける事はなかった。
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