錬KING 〜目指せ！魔道具製造してガッポリ生活〜

新たなスタート

２６

　「それではお気を付けてお帰り下さい。」

　最後の宿泊客を送り出し、ようやく長かった叙勲パーティーが終わった。

　疲れたが、僕の作製した数々の品物を見せられて充分な宣伝となったであろう。

　さらに様々な方達とゆっくり話も出来て人脈も広がった。と同時に従業員の募集と屋敷内の仕事を任せられるメイドが必要だと感じたのだ。

　大地主のカスミ婆さんには、約束していた様々な品物を贈り届けた。婆さんはパーティーの会場で他の客に見せつけて優越感が味わいたかったらしい。憎まれ口を叩くのだが、なぜか可愛らしく思えるカスミ婆さんが僕は好きだった。

　「良いパーティーだったね。お前の品物はこれで上流階級に一気に知れ渡ったよ。これからさらに儲かるはずだよ。いいかい。新しく作った品物は私の所にも忘れずに届けるんだよ。」

　カスミ婆さんはすっかり僕の品物を気に入っているようだ。

　「あとは人だよ。あの親子は良く働いてくれてたけど、まだ小さい子じゃないか。のびのび育てないとな。あの子達は将来お前の役に立ちそうだが、まだ子供だからな。とにかく良い人物を探すんだ。」

　カスミ婆さんに言われなくても、僕自身実感していた。

　叙勲パーティーに来ていた人物の中で、知り合った奴隷商のヴィクトールを訪ねる事にした。

　奴隷商というと狭く汚い牢屋に閉じ込め、檻に入れられたまま買主に見定められる印象を持っていた。

　ところが奴隷商ヴィクトールを訪ねると、そこには大きく立派な洋館の建物であった。

　中に招かれても綺麗な建物であり、奴隷商の印象が覆された。

　「先日は僕の叙勲パーティーにおいで下さりありがとうございます。」

　「ようこそナカムラケイタ様、素晴らしいパーティーでしたね。近年では見た事がないほどの立派な御屋敷に、調度品、家財道具でした。しばらくは皆ナカムラケイタ様の話題で持ちきりですぞ。おっと無駄話はその辺にしておいて、希望される奴隷はどのような？」

　「失礼ですが、奴隷商を勘違いしていました。このように明るい感じなのですね。」

　「アハハハ！よく言われますよ。戦争奴隷専門でしている奴隷商は皆さんが思われているような暗い印象ですが、我が商会は様々な奴隷を取り扱っていますので、清潔なのですよ。」

　「そうなんですね。希望する奴隷は、まず屋敷の中で世話をしてくれるメイドさん、あとは店を手伝ってくれる様な方を求めています。」

　「家事メイドは簡単ですね。問題は店を手伝う者ですか……店番程度の簡単な仕事ならばすぐに見繕えますが、そうではないのでしょう？」