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2章
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ジール・ダルクの屋敷から逃れることは比較的簡単だった。
なんせ、戦力がジール・ダルク本人しか居ないからだ。
ヒラヒラの服を着てヒールを履いてる女が、裏世界でも名高い暗殺者の執事を捕まえれる筈がない。
そんなこんなで、執事が王国へと無事生還した。
そして…。
「今日は俺の誕生祭に来てくれてありがとう!!」
高らかにそう告げる大臣の言葉に、会場に居たモンスター達は沸きたった。
黄金色の壁に描かれた「happy birthday」の文字。
いつも以上に輝く衣装を身に纏った大臣。
肩には「祝生誕」と書かれたタスキが掛かっている。
言わずもがな、今日は大臣の誕生日である。
「おめでとうございます!」
「ヤンちゃん輝いてるぅ!」
モンスター達はこぞって大臣に手を振ったり、歓声を上げたりと、まさにライブ会場の様だ。
今日の主役である大臣は自身で創り上げた黄金にのステージの上で踊っている。
本当に誕生会なのか、いや誕生祭と言えば違和感が無い。
「ふぅー!!」
そして本日の誕生日者に見せ所を奪われた王は、友人達と共に大臣の踊りに夢中になっていた。折角、執事が結い上げた髪も振り乱されて原型を留めていなかった。
「はぁ…」
執事はと言うと、会場の端で溜息を吐いていた。
剣の件と言い、ジール・ダルクの件と言い、最近の執事は憂いがあった。
勿論、面持ちや態度などには全く出ていないが。
だが、やはりあまりにも剣を奪われたのがショックだったのか、間近に迫る気配に気付かないのであった。
「執事」
ピクリと執事の肩が微かに震えた。
「…なんだ…、アンタか…」
さも、声の主にやっと気付いたかのような、素振りを見せる。
しかし、執事の心境は決して穏やかなものではなかった。
「随分と探したぞ…執事。」
真っ黒な鱗に覆われた長い尾。
この国では珍しい白粉に赤い化粧。
オワリの国の王、晴明だ。
「すまないが、仕事中だ。他を当たってこい、晴明。」
執事はぶっきらぼうに答えた。
晴明は一国の王だというのに、執事の態度は乱暴な物だった。
それは、二人の関係が友人から始まったことが原因だ。
いや、それ以上に執事に敬語を使われるのが嫌だと駄々をこねた晴明のせいでもある。
「我に帰れと言うのか?こんなにもお主が愛おしいのに…。」
別に執事は帰れ、とは言っていないのに。まるで執事目当てでこの誕生祭に来ているような口ぶりだ。
実際の本人の意向も間違ってはいないが…。
しかも、仮にも友人だというのに、晴明の瞳は明らかに執事を友人と捉えていなかった。
ドロドロと沼のように深い愛の色…。
「執事もっと近う寄れ。」
晴明の切長の瞳が細められる。
この仕草だけでかなりカッコいいどころか美しいのだが、執事はそんな晴明を兎に角嫌がった。
「仕事中だ。」
そうぶっきらぼうに言い放ち、今度は大きく晴明と距離を離す執事。
そんな執事の様子に、晴明は益々笑みを深めた。
「クク…良い…、得難き物こそ欲しくなるもの…。」
なんせ、戦力がジール・ダルク本人しか居ないからだ。
ヒラヒラの服を着てヒールを履いてる女が、裏世界でも名高い暗殺者の執事を捕まえれる筈がない。
そんなこんなで、執事が王国へと無事生還した。
そして…。
「今日は俺の誕生祭に来てくれてありがとう!!」
高らかにそう告げる大臣の言葉に、会場に居たモンスター達は沸きたった。
黄金色の壁に描かれた「happy birthday」の文字。
いつも以上に輝く衣装を身に纏った大臣。
肩には「祝生誕」と書かれたタスキが掛かっている。
言わずもがな、今日は大臣の誕生日である。
「おめでとうございます!」
「ヤンちゃん輝いてるぅ!」
モンスター達はこぞって大臣に手を振ったり、歓声を上げたりと、まさにライブ会場の様だ。
今日の主役である大臣は自身で創り上げた黄金にのステージの上で踊っている。
本当に誕生会なのか、いや誕生祭と言えば違和感が無い。
「ふぅー!!」
そして本日の誕生日者に見せ所を奪われた王は、友人達と共に大臣の踊りに夢中になっていた。折角、執事が結い上げた髪も振り乱されて原型を留めていなかった。
「はぁ…」
執事はと言うと、会場の端で溜息を吐いていた。
剣の件と言い、ジール・ダルクの件と言い、最近の執事は憂いがあった。
勿論、面持ちや態度などには全く出ていないが。
だが、やはりあまりにも剣を奪われたのがショックだったのか、間近に迫る気配に気付かないのであった。
「執事」
ピクリと執事の肩が微かに震えた。
「…なんだ…、アンタか…」
さも、声の主にやっと気付いたかのような、素振りを見せる。
しかし、執事の心境は決して穏やかなものではなかった。
「随分と探したぞ…執事。」
真っ黒な鱗に覆われた長い尾。
この国では珍しい白粉に赤い化粧。
オワリの国の王、晴明だ。
「すまないが、仕事中だ。他を当たってこい、晴明。」
執事はぶっきらぼうに答えた。
晴明は一国の王だというのに、執事の態度は乱暴な物だった。
それは、二人の関係が友人から始まったことが原因だ。
いや、それ以上に執事に敬語を使われるのが嫌だと駄々をこねた晴明のせいでもある。
「我に帰れと言うのか?こんなにもお主が愛おしいのに…。」
別に執事は帰れ、とは言っていないのに。まるで執事目当てでこの誕生祭に来ているような口ぶりだ。
実際の本人の意向も間違ってはいないが…。
しかも、仮にも友人だというのに、晴明の瞳は明らかに執事を友人と捉えていなかった。
ドロドロと沼のように深い愛の色…。
「執事もっと近う寄れ。」
晴明の切長の瞳が細められる。
この仕草だけでかなりカッコいいどころか美しいのだが、執事はそんな晴明を兎に角嫌がった。
「仕事中だ。」
そうぶっきらぼうに言い放ち、今度は大きく晴明と距離を離す執事。
そんな執事の様子に、晴明は益々笑みを深めた。
「クク…良い…、得難き物こそ欲しくなるもの…。」
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