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No.48:大切なことを忘れていた。
しおりを挟むテレガラム(Telegaram)はLimeや他のアプリと違って、機密性が非常に高い。
一旦削除すると、その内容はサーバーにもどこにもログが残らないという性質を持つ。
なので犯罪集団や詐欺行為の連絡手法としてもよく利用されているのだが……。
普通のJKが、それをスマホに入れているというのは不自然だ。
「くさいな……」
俺はテレガラムのアイコンをタップした。
登録されている連絡先は一人。
「たかゆき」
水野隆行だな。
メッセージ画面を開く。
………………………………………………………………
たかゆき:いいの手にはいったよー。速攻、マジ飛ぶ。今度やんねー?
七瀬:いいけど、今度の大丈夫? この間の最後吐いたけど。
たかゆき:大丈夫、これはマイルドで長持ち。
たかゆき:これ飲んで七瀬とやりてー
七瀬:いいけどさー。それよりちょっとお仕置きしてほしい女いるんだけど。
たかゆき:いい女?
七瀬:清楚系美人だよ。でも男に色目使って超生意気なんだわ。
たかゆき:マジで? そりゃお灸すえないとな。仲間集めとくわ。
たかゆき:動画撮っときゃ、おとなしくなるだろ。
七瀬:頼むね。
たかゆき:それともまた3人でヤる?
七瀬:あの女とはイヤだな。
………………………………………………………………
「……こいつら……」
拳に俺の爪が食い込む。
全身の血液が沸騰していくのを感じる。
こんな怒りは今まで感じたことがない。
こいつら、心底腐ってやがる!
雪奈は男と付き合ったことすらないんだぞ!
テメエらみたいな薬で薄汚れた連中に、雪奈を指一本でも触れさせるか!
「ぜってー明るいところに、二度と出られなくしてやる!」
どうすればいい?
警察?学校?
情報を流すのは簡単だ。
どうすれば奴らを地獄に叩き落とせる?
だめだ、頭に血がのぼって何も思いつかない。
落ち着け。落ち着くんだ。
俺は深呼吸する。
全ての感情を排除しろ。
トレードと同じだ。
俺は今何をしている?それは何のため?誰のため?目的は?
その時俺の頭の中に、ふっと浮かんだもの。
それは雪奈の笑顔だ。
弁当を作ってくれて、はにかみながら俺に渡してくれた。
浴衣を着て、きらきらした眼差しで花火を見ていた。
ベッドの横で頬杖をついて、楽しそうに俺の顔を眺めていた。
いつも雪奈の可愛い笑顔があった。
ああ、そうか。
大切なことを忘れていた。
俺が今やっていることの目的。
それはたった一つ。
雪奈を守ること。
すべての災いから、雪奈を守ることだ。
もう一度問題を整理する。
七瀬と隆行を糾弾すると、どうなる?
自暴自棄になった七瀬は、何をしてくるかわからない。
隆行は、反社的な連中とも繋がりがあるだろう。
お礼参りの矛先が、雪奈に向けられる可能性もある。
それでは雪奈を守りきれないかもしれない。
ではどうする?
他の選択肢は?
クールダウンした頭から、最適解を導き出す。
個人的には気に入らない。
この方法は好きじゃない。
でも雪奈を守るには、多分ベストな方法だ。
俺は小さく嘆息する。
「ムチとアメ、か……」
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