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(一)三田城の証人
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天文二十三年(一五五四年)八月。
分厚く垂れこめた灰色の雲から、小雨が降り注いでいる。
雨模様の空の下、播磨国の三木から有馬へと抜ける山田道を、蓑笠に身を包んで黙々と東に進む一行の姿があった。
前を行く父・有馬筑後守重則の背を見ながら後に続いて歩くのは、重則の次男・源次郎則頼である。
天文二年(一五三三年)生まれの則頼は、この年、二十二歳。
東播磨八郡二十四万石を領有する別所村治に従属する重則は、三津田三千五百石を領する国衆の当主である。
(親父め、いよいよ俺をどこぞに捨てる気になったか)
則頼は胸の内で吐き捨て、父が背負う簑笠から泥にまみれた足元に視線を落とした。
谷筋に沿って東西に伸びる街道は、左右両側から張りだす山肌を伝って流れこむ雨水でぬかるんでいる。
元々、重則は嫡男・則重に目をかけており、則頼の扱いは幼少時から常にぞんざいであった。
嫡男以外がないがしろにされるのは世の常であり、致し方のないことだと則頼も不承不承ながら理解している。
己の諱をそのまま逆にして名乗らせている時点で、父親がどれだけ長男に期待を寄せているか、嫌でも判るというものだ。
それよりもなお腹立たしいのは、則頼から見た兄は、どうにも覇気に欠け、言い訳ばかり達者な凡庸にみえて仕方ないことだ。
戦さ度胸や知恵の回りといった才覚の点でいけば、よっぽど自分のほうが上であろう、と則頼は自負している。
しかしながら、父の目に映る兄弟の姿は全く違うものらしい。
(まあ、俺はこれまで、親に対して随分と異見したからな)
従順な則重のほうが父にとっては御しやすく、何かと口を挟む俺のことは煙たいのだろう。内心でそう独り決めをする。
かといって、今更許しを乞う気にもなれない。
(それに、俺はどうやら顔が父に似ておらぬ)
若い頃の父は目元涼やかで鼻筋の通った美男子として世に知られていた、とはどこかで聞き知った話である。
歳を重ねたとはいえ、言われてみれば往時の面影が感じられなくもない。
一方の則頼は、鶏卵に目鼻を描いたようなのっぺりとした面構えである。母の血が濃かった為かも知れない。
その点でいけば確かに、兄・則重のほうがまだしも父の血を受け継いだ見た目をしているように見える。
(くだらぬ。くだらぬ話じゃ)
則頼の恨み節は、足元で跳ねる水音にかき消された。
夕闇迫る中、則頼達は摂津国有馬郡にある三田城の城下に辿り付いた。
三田城の城主である有馬月江こと有馬村秀は、有馬郡の分郡守護である。重則の有馬家の本家筋にあたる。
だが、今の三田城の曲輪からは、有馬家の左三つ巴ではなく、三階菱に釘抜、すなわち三好家の旗印がこれみよがしに林立しているのが望見された。
三好家は現当主・三好長慶の代で本貫地の阿波から大きく勢力を伸ばし、今や畿内の大半と四国の半分を支配している大大名である。
その動員力を誇示するかのように、三田城内に入りきれない軍勢が、周囲の寺社や豪農の家を借りて兵馬を休めている。
時折、胡散臭そうに重則一行の様子を伺っている鎧武者もいる。ただ、何かしらの触れが回っているのか、行く手を阻むような動きはみられない。
視線を横目に、則頼達は肩をすくめるようにして大手門へとと向かう。
「親父殿よ、なぜ三好の軍勢が三田城にたむろしておるのじゃ」
「無駄口を叩くな。くだらぬことで喧嘩など引き起こすでないぞ」
則頼の小声の問いかけに、煩わしげに振り向いた重則が険のある声で叱責する。
則頼は返事代わりに鼻を鳴らした。もとより、まともに答えてもらえるなど期待していない。
軍勢の様子を横目で観察しながら、則頼は自ら答えを見つけてやるるとばかりに考えを巡らせる。
有馬村秀は一昨年の天文二十一年(一五五二年)四月、丹波・八上城にて挙兵した波多野氏を討つべく兵を進めていた三好長慶に対して、摂津の芥川孫十郎や池田長正らが離反した旨を通報したとの記録が残る。
この通報により、三好長慶は居城の越水城に無事撤兵している。
則頼にはそこまで詳しい経緯を知る由もないが、有馬の本家筋が三好家と近しい立場にあることは、薄々聞き知っていた。
軍勢の雰囲気をみても、三田城は三好家に占拠された訳ではなく、有馬村秀が三好勢を引き入れたとみるべきであろう。
つまり、三田城はこれから三好勢が押し出すにあたっての足がかりでしかない。
では、そんなところになんの用があって親父は俺をここまで連れてきたのだ、と考えるに至り、則頼は、ようやく自らの立場を理解した。
(そうか、俺は証人に出されるのか)
証人、つまり人質である。
本丸御殿まで案内された重則一行だが、大広間で有馬村秀と対面するのは重則のみ。
則頼は供の者と一緒に、控えの間で待たされる恰好になった。
(三好の軍勢はどこに向かうのか。やはり、別所を討つのだろうか)
人質に出される事実をくよくよと考え込むのも癪なので、則頼は努めて違うところに思考を巡らせようとした。
もっとも、さほどの刻を置かずに、重則が大広間から退出してきた。
その表情は相変わらず険しい。
「聞き分けよくしておるのじゃぞ」
則頼と目が合った重則は、気のない口ぶりで一声をかけると、そのまま供の者を促して部屋を去っていく。
事と次第によってはこれが今生の別れとなるかもしれない。にも関わらず、その態度からは、親子の情を感じさせるものはなにもなかった。
「儂は、もう子供ではないぞ」
思わず立ち上がった則頼が発する抗議の声にも、重則は振り返りもしなかった。
(どうやら、本当に捨てられるらしい)
一人残される則頼は再び腰を落とすと、悔しさのあまり己の太腿を拳で殴りつけた。
(今にみておれ。いまに、親父に目にもの見せてくれる)
やがて、甲冑に身を固めた村秀の配下と思しき武者が、士卒を二名引き連れてやってきた。
「こちらへ参られよ」
鎧武者は、口ぶりこそ丁寧であるが有無を言わさぬ態度で、則頼を御殿の外に連れ出した。
別に両腕を取られて引きずられている訳ではないが、気持ちのうえでは大して変わらない。
いつしか小雨は降り止んでいたが、なおも灰色の雲が頭上に分厚く覆いかぶさっている。
則頼が案内されたのは、南側の曲輪の大手門に近い場所に立てられた離れだった。
その一室があてがわれるという。
「此度の戦さが終われば、すぐに戻れると存じまする。しばしの御辛抱を」
鎧武者はあくまでも丁寧な言葉で告げた。
則頼には、どう答えたものやら見当も付かなかった。
戦さが終わったところで、自分に戻る場所などあるのだろうか……。
分厚く垂れこめた灰色の雲から、小雨が降り注いでいる。
雨模様の空の下、播磨国の三木から有馬へと抜ける山田道を、蓑笠に身を包んで黙々と東に進む一行の姿があった。
前を行く父・有馬筑後守重則の背を見ながら後に続いて歩くのは、重則の次男・源次郎則頼である。
天文二年(一五三三年)生まれの則頼は、この年、二十二歳。
東播磨八郡二十四万石を領有する別所村治に従属する重則は、三津田三千五百石を領する国衆の当主である。
(親父め、いよいよ俺をどこぞに捨てる気になったか)
則頼は胸の内で吐き捨て、父が背負う簑笠から泥にまみれた足元に視線を落とした。
谷筋に沿って東西に伸びる街道は、左右両側から張りだす山肌を伝って流れこむ雨水でぬかるんでいる。
元々、重則は嫡男・則重に目をかけており、則頼の扱いは幼少時から常にぞんざいであった。
嫡男以外がないがしろにされるのは世の常であり、致し方のないことだと則頼も不承不承ながら理解している。
己の諱をそのまま逆にして名乗らせている時点で、父親がどれだけ長男に期待を寄せているか、嫌でも判るというものだ。
それよりもなお腹立たしいのは、則頼から見た兄は、どうにも覇気に欠け、言い訳ばかり達者な凡庸にみえて仕方ないことだ。
戦さ度胸や知恵の回りといった才覚の点でいけば、よっぽど自分のほうが上であろう、と則頼は自負している。
しかしながら、父の目に映る兄弟の姿は全く違うものらしい。
(まあ、俺はこれまで、親に対して随分と異見したからな)
従順な則重のほうが父にとっては御しやすく、何かと口を挟む俺のことは煙たいのだろう。内心でそう独り決めをする。
かといって、今更許しを乞う気にもなれない。
(それに、俺はどうやら顔が父に似ておらぬ)
若い頃の父は目元涼やかで鼻筋の通った美男子として世に知られていた、とはどこかで聞き知った話である。
歳を重ねたとはいえ、言われてみれば往時の面影が感じられなくもない。
一方の則頼は、鶏卵に目鼻を描いたようなのっぺりとした面構えである。母の血が濃かった為かも知れない。
その点でいけば確かに、兄・則重のほうがまだしも父の血を受け継いだ見た目をしているように見える。
(くだらぬ。くだらぬ話じゃ)
則頼の恨み節は、足元で跳ねる水音にかき消された。
夕闇迫る中、則頼達は摂津国有馬郡にある三田城の城下に辿り付いた。
三田城の城主である有馬月江こと有馬村秀は、有馬郡の分郡守護である。重則の有馬家の本家筋にあたる。
だが、今の三田城の曲輪からは、有馬家の左三つ巴ではなく、三階菱に釘抜、すなわち三好家の旗印がこれみよがしに林立しているのが望見された。
三好家は現当主・三好長慶の代で本貫地の阿波から大きく勢力を伸ばし、今や畿内の大半と四国の半分を支配している大大名である。
その動員力を誇示するかのように、三田城内に入りきれない軍勢が、周囲の寺社や豪農の家を借りて兵馬を休めている。
時折、胡散臭そうに重則一行の様子を伺っている鎧武者もいる。ただ、何かしらの触れが回っているのか、行く手を阻むような動きはみられない。
視線を横目に、則頼達は肩をすくめるようにして大手門へとと向かう。
「親父殿よ、なぜ三好の軍勢が三田城にたむろしておるのじゃ」
「無駄口を叩くな。くだらぬことで喧嘩など引き起こすでないぞ」
則頼の小声の問いかけに、煩わしげに振り向いた重則が険のある声で叱責する。
則頼は返事代わりに鼻を鳴らした。もとより、まともに答えてもらえるなど期待していない。
軍勢の様子を横目で観察しながら、則頼は自ら答えを見つけてやるるとばかりに考えを巡らせる。
有馬村秀は一昨年の天文二十一年(一五五二年)四月、丹波・八上城にて挙兵した波多野氏を討つべく兵を進めていた三好長慶に対して、摂津の芥川孫十郎や池田長正らが離反した旨を通報したとの記録が残る。
この通報により、三好長慶は居城の越水城に無事撤兵している。
則頼にはそこまで詳しい経緯を知る由もないが、有馬の本家筋が三好家と近しい立場にあることは、薄々聞き知っていた。
軍勢の雰囲気をみても、三田城は三好家に占拠された訳ではなく、有馬村秀が三好勢を引き入れたとみるべきであろう。
つまり、三田城はこれから三好勢が押し出すにあたっての足がかりでしかない。
では、そんなところになんの用があって親父は俺をここまで連れてきたのだ、と考えるに至り、則頼は、ようやく自らの立場を理解した。
(そうか、俺は証人に出されるのか)
証人、つまり人質である。
本丸御殿まで案内された重則一行だが、大広間で有馬村秀と対面するのは重則のみ。
則頼は供の者と一緒に、控えの間で待たされる恰好になった。
(三好の軍勢はどこに向かうのか。やはり、別所を討つのだろうか)
人質に出される事実をくよくよと考え込むのも癪なので、則頼は努めて違うところに思考を巡らせようとした。
もっとも、さほどの刻を置かずに、重則が大広間から退出してきた。
その表情は相変わらず険しい。
「聞き分けよくしておるのじゃぞ」
則頼と目が合った重則は、気のない口ぶりで一声をかけると、そのまま供の者を促して部屋を去っていく。
事と次第によってはこれが今生の別れとなるかもしれない。にも関わらず、その態度からは、親子の情を感じさせるものはなにもなかった。
「儂は、もう子供ではないぞ」
思わず立ち上がった則頼が発する抗議の声にも、重則は振り返りもしなかった。
(どうやら、本当に捨てられるらしい)
一人残される則頼は再び腰を落とすと、悔しさのあまり己の太腿を拳で殴りつけた。
(今にみておれ。いまに、親父に目にもの見せてくれる)
やがて、甲冑に身を固めた村秀の配下と思しき武者が、士卒を二名引き連れてやってきた。
「こちらへ参られよ」
鎧武者は、口ぶりこそ丁寧であるが有無を言わさぬ態度で、則頼を御殿の外に連れ出した。
別に両腕を取られて引きずられている訳ではないが、気持ちのうえでは大して変わらない。
いつしか小雨は降り止んでいたが、なおも灰色の雲が頭上に分厚く覆いかぶさっている。
則頼が案内されたのは、南側の曲輪の大手門に近い場所に立てられた離れだった。
その一室があてがわれるという。
「此度の戦さが終われば、すぐに戻れると存じまする。しばしの御辛抱を」
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