君に打つ楔

ツヅミツヅ

文字の大きさ
36 / 65

36、ワイルドスタジオ

しおりを挟む
 食事を済ませた二人は店を出て、再び目的地のワイルドスタジオへと向かった。
 道は混んでおらず、思いの外早く着き、オフィシャルホテルのパーキングに車を預け、大きな荷物はフロントに預けてホテル直通のパークの入場ゲートまで向かう。
「ホテルから直接パークに入れるんだね」
「うん、宿泊客は並ばずにここから入れるってホームページに載ってたからここにしたんだよね」
「私、前に友達と来た時は一般ゲートから入ったけど、凄く並んだんだよね」
「せっかくの美優ちゃんの誕生日だからね。どうせならゆっくり入りたいなって思ったんだ」
「ありがとう、壱弥君」
 両親が亡くなった時にはこんな誕生日が来るとは想像もしていなかった美優はこの壱弥の計らいに心から感激していた。
 多分今日はあまり野暮な事は言わずに素直に壱弥に甘える方がいいのだろう。
 なので壱弥の負担については後で何かの形で精一杯お返ししようと考える事にした。
「さ、ゲートが開くよ。行こうか」
 手を繋いでホテルにあるパークへのゲートへ向かい、係の人にQRを見せて入場する。
「どこから回ろうか?」
「えっと、パンフレット見てみよっか」
「あ、さっきホテルの人に貰ったのここにあるよ」
 ジーンズのポケットにねじ込んでいたらしいパンフレットを美優に差し出す。
「あ、ありがとう。……どうだろう? この新しいエリアのヤツはどんどん混むよね、きっと。先に行っちゃおうか?」
「うん、そうしようか。行こう?」
 壱弥は美優の手を握って迷いなく歩き出す。
「あれ、どこかわかってるの?」
「地図って一回見ると憶えちゃうんだよね、俺」
「す、凄いね、壱弥君。記憶力良すぎ」
 驚いて目を瞬かせていると、壱弥は美優に優しい笑顔を見せる。
「バイク乗って色々行ったりするから。見慣れてるんだよ」
 こういう事一つとっても、壱弥は本当にとても頭がいいと思う。
 色々な才能に恵まれた人で、何故壱弥の実家が壱弥を無能だと切り捨てたのか、美優は不思議でならなかったし、そして少し悔しかった。
「ねえ、美優ちゃん、多分この新エリアのヤツって大体絶叫系だと思うんだけど、大丈夫?」
「え、ホント? ……多分大丈夫だよ。何回も続けてだと心臓が持ちそうにないけど、ちょっと位だったら……」
「そう? じゃあ一回だけ乗ってみる? 無理そうだったらもっと穏やかな感じのヤツ捜そっか」
「うん。そうする」
 二人は手を繋いで新エリアまで歩き出す。壱弥は迷いなく歩みを進め、美優はそれに付いて行った。
「ねえ、壱弥君?」
「ん? なに?」
「壱弥君は絶叫系大丈夫なの?」
「……さあ? どうだろう? 俺こんな大きなテーマパーク初めてだからね。俺が乗ったのは小さな遊園地の回転ブランコとかメリーゴーランドしかないんだ。でも多分大丈夫。バイク怖いと思った事ないから」
「そうなんだね。壱弥君ももし苦手だったら教えてね?」
「うん、ありがとう」
 二人はまだ15分待ち程度の新エリアのジェットコースターに並ぶ。
 これは足場のないタイプのジェットコースターで足をブラブラさせて乗るので美優は少し顔を引きつらせた。
「大丈夫? やめとく?」
「ううん、これだけ乗ってみる」
「無理しなくていいよ? 俺特別これ乗りたい訳じゃないし」
「……ホント言うと怖いんだけど、それでも新しいアトラクションだから興味津々なんだよね。だから乗ってみたいんだ」
 壱弥はクスリと笑って美優の頭を撫でる。
「わかったよ。じゃ、これは頑張って乗ってみようか」
 二人は手を繋いで談笑しながら順番を待ち、自分達の番が回って来る。
 コースターに乗り込むと安全バーが降りて、緊張感が更に増す。
 心臓がドキドキと五月蠅く鳴るのを感じながら壱弥を見ると美優の方を見て微笑んでいた。
「緊張してるね。手繋いだら怒られるかな?」
「多分怒られちゃうんじゃないかな?」
「そっか、残念」
 話をしている内にキャストが「では、行ってらっしゃい!」と元気良く告げた。
 その言葉と同時にコースターはガタンッと衝撃があって、ゆっくりと動き出した。
「美優ちゃん、大丈夫?」
 壱弥が落ち着いた様子で美優に話しかける。
「え、無理。怖いっ!」
 一方美優は徐々に徐々に落下点に進んでいく恐怖で声が上擦ってしまう。
「目は瞑らないほうがいいよ? 多分その方が怖いから」
 落ち着いた壱弥の声のお陰で少し平静を取り戻した美優は壱弥の方を見る。
「大丈夫。すぐ終わるよ」
 いつもと変わらない優しい笑顔と声音でそう言われた瞬間、身体がふわりと浮く様な感触があった。
 あとは凄いスピードで落下していき、その恐怖で粟立つ感覚に襲われている所へ、風を切りながら右へ左へと体が揺さぶられて重力が働いているのが上下なのか左右なのかわからない程のスピードの中で美優は必死にバーの持ち手に捕まった。
 壱弥のアドバイスに従って恐怖を押し殺して目は開けておく。
 自分の現在地がよくわからないまま、悲鳴をあげる事も出来ずにただただ恐怖が過ぎ去るのを待った。
 何度目かの回転がかかって、ようやくスピードに慣れて来た頃にどんどん減速していき、スタートした場所にコースターは戻った。
 ガタンと衝撃と共にコースターは停まった。
 はあ、と一息吐くとキャストがやって来て安全バーが上がる事を伝える。
 壱弥の方を見るとやはりいつもと変わらず優し気な面持ちに優しい笑顔を浮かべている。
「こ、怖かったね、壱弥君」
 眉尻を下げてにへらと笑った美優は壱弥に問いかけた。
「うん、怖かったね」
 それでも壱弥はいつも通りの笑顔を浮かべているので、大して怖がってない事が窺えた。
「うそ。壱弥君なんか平気そうだよ?」
「そ? 結構怖かったんだけどな」
 キャストの案内されてコースターを降りて手を繋いで出口に向かって歩き出した。
「……美優ちゃんは怖い時、悲鳴上げられないタイプなんだね」
「……うん、そうみたいなの。怖すぎて声が出なくなっちゃうんだよね」
「なんかあった時に声上げられないのは心配だな。ちゃんと防犯ブザーとか持っとこうね」
「そっか……、それもそうだね。そういうの持っといた方がいいかもしれないね」
「こういうトコって売ってないのかな? こういうのはすぐにでも持っといた方がいい」
「う~~ん……、どうかな? 売ってたら買うね」
「うん、そうしようか」
 壱弥はにっこりと笑い、空いた右手で美優の頭を撫でた。
「さて、次どこ行く?」
「あ、映画のショーのヤツってもうそろそろ並んだ方がいいのかな?」
 美優はパンフレットを取り出して次のショーの時刻を確認する。
「あ、これ壱弥君が行きたいって言ってたヤツだね。これもうじき始まるよ? これにする?」
「うん、これがいいな。それならこっちだよ」
 壱弥はまた迷いなく歩き出した。
 美優はそれに付いて行く。
 周りの景色をきょろきょろと見渡しながら歩きながら、ふと気が付いた。
「……私、こんな風にじっくり景色見ながらワイルドスタジオ歩いたの初めてかもしれない」
「? そうなの?」
「うん、友達地図苦手な子が多かったから。いつも地図とにらめっこしてた気がする」
「そっか。 だったら俺といる時はゆっくり景色見てていいよ。ちゃんと連れて行くから」
「うん、ありがとう。お陰で初めてちゃんと見るものいっぱいだよ」
「ちゃんと手も繋いでるから迷子の心配もないしね」
「ふふ。そうだね。ずっと手繋いでるもんね」
 二人は周辺のセットの精巧さに感心しながら次のアトラクションまで歩く。
 次は映画のシーンを切り取った4Dライブショーだ。
 入り口に着くと既に行列が出来ていて、その最後尾に並ぶ。
 どうやらギリギリで入場に間に合った様で列はすぐに動き出した。
「凄くタイミングよかったみたいだね。間に合ってよかった」
 壱弥は美優の手を握ったまま笑いかける。
「ホントだね。美優ちゃんが俺の幸運の女神様だからだね」
「もう、またそんな事言うんだから……」
「だってホントでしょ?」
 そんな会話をしながら、どんどん列は進んでいく。
 二人は最後列の真ん中辺りの席に案内されて、着席しショーを楽しんだ。
 ショーの間、壱弥は一向に美優の手を放そうとはしなかった。
 拍手するタイミングで手を放そうとした手を更にぎゅっと握られてしまう。
 戸惑って壱弥の方を見ると、何事もないように舞台を眺めている。
 困り顔で見つめていると壱弥が美優の方を振り返り、美優の耳元に唇を寄せた。
「ねえ、美優ちゃん! 凄いね、役者さん達の演技」
 美優もそれに答える為に壱弥の耳元に唇を寄せる。
「そうだね。やっぱり臨場感が全然違うね」 
 再び壱弥が美優の耳元に唇を寄せた。
「うん、美優ちゃんと来られてホントよかったよ。楽しい」
 美優も再び壱弥の耳元に唇を寄せる。
「うん、私も凄く楽しい。ありがとう、連れて来てくれて」
 そう告げて壱弥の顔を見た美優は微笑みを返す。
 壱弥も同じ様にうっとりする様な優しい顔で微笑んで、繋いだ美優の手を更にぎゅっと握った。
 ショーを堪能した二人は、再びパーク内を歩み始める。
「ね、これ見たいって言ってたよね、壱弥君」
「ああ、水上バイクのショーだよね。これは絶対行きたかったんだ」
「じゃあ、時間が1時からみたいだから、早めにお昼ご飯食べちゃおうか?」
「まあ、明日もあるからそんなに計画的に行かなくても大丈夫だよ?」
「あ、そっか。ついつい色々回らないとって急いちゃった」
「次は美優ちゃんの行きたかったヤツ行こうよ」
「ホント? じゃあ、私このアニメのXRライド見に行きたいな」
「ああ、これ凄い人気みたいだから午後になると凄く待つ事になりそうだね。それ先に行こう」
 そう言うと壱弥はやはり迷う事無く歩き出し、目的のアトラクションまで歩み出す。
 それは青と赤の眼鏡をかけて観ると映像が飛び出して見えるというアトラクションで今度は開演時間より少し早めに着いたらしく、開場まで少し待ち、前の方の観覧席で見る事になった。
 大迫力のアニメーションが飛び出してくる様な感覚と五感に訴えかけてくる仕掛けは充分に迫力満点だった。
 そのアトラクションを観終えると丁度昼ご飯時になっていた。
 なので二人はパーク内のファーストフード店に入って、ハンバーガーのセットメニューを頼む。
「美優ちゃん、席そこ取っといて欲しいから座ってて? 俺持っていくから」
「一人で持って来られる?」
「うん、平気」
「じゃあ、お願いします」
「任せて」
 二人掛けの席に座って、少しスマホを覗きながら待っていると、しばらくして壱弥は食事の乗ったトレイを二つ両手に持ってやって来た。
「お待たせ」
「あ、ありがとう」
 美優は席をサッと立って壱弥が持つ片方のトレイを受け取る。
「どういたしまして。ね、ここのハンバーガー超大きくない?」
「ホントだね、こんなに大きいと思わなかった。しかもポテトも厚切りで凄く多いね」
「しかもジュースこれでMサイズ?」
「ホントだ。普通のLサイズ位あるね。全部食べられるかな?」
「多かったら俺が食べるから残していいよ」
「頑張って食べてみるけど、ダメそうだったらお願いするかも」
「うん、今日は夜、ホテルのディナーもあるし、無理しなくていいからね」
「うん、わかった。ありがとう」
 二人は向かい合わせの着席して、付いていたおしぼりで手を拭くと先ずはポテトを摘まんだ。
「ほくほく系のポテトだね。私これも結構好きだな」
「俺も厚切りのほくほく系好き」
「細切りのもいいんだけど、私お芋のほくほくしたの好きなんだよね」
「ああ、わかるよ。俺も好きだな」
「でも一番仲のいい友達がほくほくしたもの苦手だっていつも言ってるんだよね」
 美優はジュースのストローに口をつけて一口飲んだ。
「それって金井さん?」
「ううん。紗雪は学校では一番仲いいけど、小学校と中学が一緒だった子がいてね。その子が一番仲良しなんだ」
「そう。今度会わせてくれる?」
「うん。卒業祝いしようねって言ってるから、近い内会うんだ。壱弥君の事も言ってあるし向こうも会いたいって言ってたし、その時一緒に会うか聞いてみるね」
「うん。いつでもいいよ。合わせられるから」
「わかった。決まったら教えるね」
「会えるの楽しみにしてるよ」
 そう微笑んで答えるとジュースを一口飲んでハンバーガーを手に持って一口齧る。

 穏やかな雰囲気で食事は進み、二人はその後もパーク内のアトラクションやセットの鑑賞を楽しんだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

専属秘書は極上CEOに囚われる

有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...