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44、作戦
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「美優ちゃん、災難だったね。まあでも美優ちゃん可愛いし優しいからね、こういう勘違いする奴に狙われるんだろうね」
航生が美優にサラリと言った。
その後を引き継ぎ、いつも笑みを湛えてる帆高が珍しく真剣な顔つきで美優に言った。
「いや、ホント危ないから一人で外に出ちゃ駄目だよ? 壱弥が無理なら俺でもいいし航生でもいいから呼びな?」
「私だって構わないわよ?」
「穂澄は口喧嘩は最強だけど流石に相手が刃物持った男だったらヤバいって」
「……そんなの男も女も関係なく危ないよ……」
美優が俯いて深刻に呟いた。
「美優……、最悪の場合だから。気にしなくていいから」
壱弥が美優の肩を抱いて慰める。
美優はやっぱりこんな危ない事に皆を巻き込んでしまった事に罪悪感を覚えた。
「ホントにごめんね、皆に心配かけちゃって……」
壱弥に肩を抱かれた美優は皆に向かって頭を下げる。
「美優ちゃんのせいじゃないんだから気にしなくて良いって」
「そうそう、気にしなくていいし、ここで沈んじゃったら相手の思うツボだし元気出そうよ。と言うわけで今日は俺達も泊まりで宴会するから」
「は? なに勝手な事言ってんの?」
壱弥が抗議したが、実は3人が大きなレジ袋を抱えて訪ねて来た時点で正直察しはついていた。
「まあ良いじゃん、棗先輩の予祝? みたいなやつって事で」
航生がニコニコと笑ってレジ袋から食材を出して来た。
「今日はデパ地下のお惣菜と帆高のパスタにしようかと思うんだけど、どう?」
壱弥が少し不服そうに言う。
「俺達は今日は美優の作ったご飯食べる予定だったんだけど」
「そうなんだ?」
帆高が美優の方を見て訊ねる。
「うん、私の作り置きがあったからそれで食べようかって言ってたの」
「俺もそれ食べてみたいな」
「え?! そんな、ホントに普通の作り置きだからデパ地下のお惣菜と並べられちゃったら私……」
「そんなの気にしなくていいよ。美優ちゃんのご飯食べさせてよ?」
「え? でもホントに普通のご飯だし……」
「美優のご飯美味しいよ。いいじゃん、美優。出してあげれば」
壱弥が美優の肩を抱いたまま、美優に言って笑う。
「いいじゃない、出してよ。食べましょ食べましょ?」
穂澄も賛同し始めて、もうこれは出さないわけにはいかない雰囲気になってしまった。
「……ホントに普通だよ? デパ地下のお惣菜の方が美味しいから、がっかりしないでね?」
「大丈夫だって。これ?」
航生が勝手に冷蔵庫を開けてタッパーを取り出した。
「うん、それだよ。後その奥にあるヤツも私が作ったものだよ」
「美優ちゃん、ちゃんと作り置きとかしてるんだ? マジ偉いね」
帆高が美優に笑いかけて訊ねた。
「うん、単純に節約のためだよ。少しでもお金貯めておきたくて」
「美優はしっかり者なんだよ」
何故かちょっと壱弥が自慢げに答えた。
「あ、それはそうとさ? 棗先輩にはいつ言うの?」
航生が誰にとなく訊ねた。
「ああ。そうね、試合終わってからでいいんじゃない? 今は追い込みかけてる所だと思うから」
「ああ、棗さん、春頃試合だって言ってたもんね。迷惑かけちゃったら悪いもんね」
それに対して航生が答える。
「違う違う。あの人試合前は血の気が多くて完全に戦闘モードになってるから、ストーカー捕まえてボコボコにしちゃうんじゃないかって心配してるんだよ」
「下手したらストーカー半殺しにしちゃうから」
「腹減ってるし試合に向けて精神鋭敏になってるし、そりゃ凄い事になるよ?」
「なっちゃん、殺人罪に問われかねないからね」
「……そういう心配なんだね……」
「そ。で、棗先輩に嘘つくとか出来そうにない忠也先輩も同じ様に黙っとこうと」
「そっか……、でも2人のこと巻き込まずに済んだのは良かったのかな」
帆高が苦笑いしながら首を横に振った。
「いや、多分なんで真っ先に知らせなかったんだ、報連相は基本だろうがっ! って怒ると思われるよ?」
「そうなの? でも試合に集中して欲しいな」
「じゃあ、みんなで怒られようって事で」
航生が冷蔵庫の中の物を温めて、壱弥が割り箸や紙皿、紙コップを用意してる間に帆高がパスタのソースを作り始める。
「ワイン、開けるんでしょ? 赤? 白?」
壱弥がぶっきらぼうに帆高に訊ねる。
「今日はナポリタンにすっから赤だな」
「了解」
壱弥はワインセラーから赤ワインのボトルを一本、ノンアルコールワインを一本取り出してアイスバケットに氷を詰めた。
その中にワインボトル二本を突っ込んでテーブルの上に置く。
「パスタ出来てからで開けるから冷やしとくよ」
そして美優の横に座って、美優の手を握りながら笑う。
「美優にはノンアルの赤ワイン開けてあげるから」
「でも、多かったりしないかな?」
今までファロルで見たノンアルコールワインは通常のアルコールワインと全く同じサイズをしていたので、美優は心配になって壱弥に訊ねる。
「大丈夫。一緒に飲むよ」
「え、壱弥呑まないの?」
振り返った航生が壱弥に聞く。
「交互に飲む」
これにもぶっきらぼうに答えてさっさと美優の方に向き直る。
「あんた露骨な位私達の事邪魔だと思ってるわね」
「だって実際邪魔だもん」
「私達はあんたじゃなくて美優のために集まってるんだから勘違いしないでよね。あんただってたった1人で美優の事守り切れるとは思ってないでしょ?」
「…………………………」
「その為にも情報共有はしとかないといけないの。あんたの独占欲はよくわかったけどそのせいで美優が危険に晒されたら意味ないでしょ?」
「…………わかってるよ」
壱弥は仏頂面で穂澄に視線をやる事もなく呟く様に答えた。
「所で美優さ、改めて聞くけど心当たりってないの?」
美優は穂澄に困り顔で答えた。
「うん……。ホントに心当たりはないんだ。でもたまに視線を感じる事はあったかな?」
「それっていつ頃からかわかる?」
「そうだなぁ……、、、、去年の秋位からかな?」
「秋って言ったら私達が会った頃よね」
「そう言えばそうだね」
壱弥が美優の手を離して赤ワインのボトルのコルク栓を開け始めた。
「俺も美優の家から出た時に視線感じた事あったんだよね。多分あれは俺の誕生日の時だったと思う」
「なるほどね……。もうその頃には既にストーカーされてて、壱弥が現れて焦り始めたのかしら?」
出来上がったパスタをフライパンごと持って来た帆高がコルクの鍋敷をテーブルに置いて更にその上にフライパンを置いた。
「それ以前から見張られた可能性が高いね」
航生も温め終えた惣菜をテーブルの上に並べる。
「夏前に何か変わった事ってあった?」
「そうだなぁ……。夏前はここに住んでなかったから。家族と暮らしてたし、遅くなったらお父さんが迎えに来てくれてたから」
「そうだったよね、じゃあそれ以前は心当たりないんだね?」
「うん」
「ま、とりあえず腹ごしらえしながらにしよう。ここトング置いとくから適当に自分で好きなだけ取って?」
帆高が席に着いて食事が始まる。
「「「「「いただきます」」」」」
ワイングラスに赤ワインとノンアル赤ワインが注がれて美優は先ずノンアル赤ワインに口をつけた。
「お、美優ちゃんの作ったこのピクルス美味い」
帆高がピクルスのパプリカを頬張りながら言った。
「ホントだ、後これ、さつまいものレモン煮?」
航生はきゅうりのピクルスを頬張っている。
「そうだよ。全部お母さんのレシピなの」
「へえ、お母さん、めちゃくちゃ料理上手だね。レシピって事はWEBにあんの?」
帆高が美優に笑いかけながら訊ねた。
「うん、結構人気あるみたいで殿堂入りしてるのもあるよ」
「へえ、良かったらURL教えて? 作ってみたい」
「うん、メッセで送るよ」
「あ、私にも教えて教えて」
「グループの方に送っちゃってもいいのかな?」
「ああ、まあいいんじゃない? 私が忠也先輩には適当に言っとく」
「じゃあ、グルチャに送っとくね」
美優はグループチャットにURLを入れて送信した。
「さて。じゃあ食べながら対策を考えましょうか」
「先ず美優。美優はしばらく壱弥の家に避難ね。出来るだけ壱弥と一緒に行動してね」
「うん、わかった」
「で、壱弥が無理な時は私でも航生でも帆高でもいいから必ず連絡して?」
「うん」
「3人全員が全く動けないって事はないと思うから」
「ね? 私が美優に変装して一回ストーカー誘き寄せるとかどうかしら?」
「まあ、一回捕まえてお話し合いはしないといけないよね」
航生がいつもと同じ爽やかな笑顔で言った。
「このまま守りに徹するなんて私達の性に合わないのよね。ストーカー如きに良いようにされるなんて腹立たしいわ」
「俺も同感だな、このまま壱弥の家にずっといるって訳にはいかんよな」
帆高がそう言った横で壱弥が呟くように言った。
「俺は別にこのまま美優が俺の家にいてくれても良いけどね」
帆高がそんな壱弥を呆れ顔で見て答える。
「お前な、そりゃお前からしたら美優ちゃん独占出来てウハウハだろうけど、美優ちゃんは心休まらないだろう? 怖い奴に付き纏われてるわ、自分の家に帰れないわ、彼氏独占欲の塊だわ」
「彼氏の件は余計」
「大体お前そんなキャラじゃなかっただろうが。何豹変してんだよ」
「俺はずっとこんなだよ。ただ美優がそばにいなかっただけ。なんにせよ、俺も囮作戦はいいと思うよ? 穂澄に美優の代わりしてもらって……」
「そんなのダメだよ! 穂澄だって女の子なのに! だったら私が囮になるよ!」
美優が食事の手を止めて必死に訴える。
「心配しなくても大丈夫だよ。穂澄って合気道の有段者だし」
「まあ、美優ちゃんが囮になるより絶対安全だとは思うよ? 俺達で守るのもあるし」
航生が美優の美優の作ったキャベツとカニカマのサラダを咀嚼し終えたタイミングで美優に何でもない事の様に言った。
「でも……っ」
「俺達としては美優ちゃんが囮になるよりも穂澄の方が安心なんだよね」
帆高も同じ様に美優さつまいものレモン煮を咀嚼し終えたタイミングで答える。
「……でも……」
皆に説得されるがやはり心配で反論したくなる。
「俺達に任せて? ね?」
壱弥が美優の頭をポンポンと優しく乗せる。
皆を見渡してもニッコリ笑っている。
「……………………」
長く悩んで、美優は一つこくんと頷いた。
航生が美優にサラリと言った。
その後を引き継ぎ、いつも笑みを湛えてる帆高が珍しく真剣な顔つきで美優に言った。
「いや、ホント危ないから一人で外に出ちゃ駄目だよ? 壱弥が無理なら俺でもいいし航生でもいいから呼びな?」
「私だって構わないわよ?」
「穂澄は口喧嘩は最強だけど流石に相手が刃物持った男だったらヤバいって」
「……そんなの男も女も関係なく危ないよ……」
美優が俯いて深刻に呟いた。
「美優……、最悪の場合だから。気にしなくていいから」
壱弥が美優の肩を抱いて慰める。
美優はやっぱりこんな危ない事に皆を巻き込んでしまった事に罪悪感を覚えた。
「ホントにごめんね、皆に心配かけちゃって……」
壱弥に肩を抱かれた美優は皆に向かって頭を下げる。
「美優ちゃんのせいじゃないんだから気にしなくて良いって」
「そうそう、気にしなくていいし、ここで沈んじゃったら相手の思うツボだし元気出そうよ。と言うわけで今日は俺達も泊まりで宴会するから」
「は? なに勝手な事言ってんの?」
壱弥が抗議したが、実は3人が大きなレジ袋を抱えて訪ねて来た時点で正直察しはついていた。
「まあ良いじゃん、棗先輩の予祝? みたいなやつって事で」
航生がニコニコと笑ってレジ袋から食材を出して来た。
「今日はデパ地下のお惣菜と帆高のパスタにしようかと思うんだけど、どう?」
壱弥が少し不服そうに言う。
「俺達は今日は美優の作ったご飯食べる予定だったんだけど」
「そうなんだ?」
帆高が美優の方を見て訊ねる。
「うん、私の作り置きがあったからそれで食べようかって言ってたの」
「俺もそれ食べてみたいな」
「え?! そんな、ホントに普通の作り置きだからデパ地下のお惣菜と並べられちゃったら私……」
「そんなの気にしなくていいよ。美優ちゃんのご飯食べさせてよ?」
「え? でもホントに普通のご飯だし……」
「美優のご飯美味しいよ。いいじゃん、美優。出してあげれば」
壱弥が美優の肩を抱いたまま、美優に言って笑う。
「いいじゃない、出してよ。食べましょ食べましょ?」
穂澄も賛同し始めて、もうこれは出さないわけにはいかない雰囲気になってしまった。
「……ホントに普通だよ? デパ地下のお惣菜の方が美味しいから、がっかりしないでね?」
「大丈夫だって。これ?」
航生が勝手に冷蔵庫を開けてタッパーを取り出した。
「うん、それだよ。後その奥にあるヤツも私が作ったものだよ」
「美優ちゃん、ちゃんと作り置きとかしてるんだ? マジ偉いね」
帆高が美優に笑いかけて訊ねた。
「うん、単純に節約のためだよ。少しでもお金貯めておきたくて」
「美優はしっかり者なんだよ」
何故かちょっと壱弥が自慢げに答えた。
「あ、それはそうとさ? 棗先輩にはいつ言うの?」
航生が誰にとなく訊ねた。
「ああ。そうね、試合終わってからでいいんじゃない? 今は追い込みかけてる所だと思うから」
「ああ、棗さん、春頃試合だって言ってたもんね。迷惑かけちゃったら悪いもんね」
それに対して航生が答える。
「違う違う。あの人試合前は血の気が多くて完全に戦闘モードになってるから、ストーカー捕まえてボコボコにしちゃうんじゃないかって心配してるんだよ」
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「そっか……、でも2人のこと巻き込まずに済んだのは良かったのかな」
帆高が苦笑いしながら首を横に振った。
「いや、多分なんで真っ先に知らせなかったんだ、報連相は基本だろうがっ! って怒ると思われるよ?」
「そうなの? でも試合に集中して欲しいな」
「じゃあ、みんなで怒られようって事で」
航生が冷蔵庫の中の物を温めて、壱弥が割り箸や紙皿、紙コップを用意してる間に帆高がパスタのソースを作り始める。
「ワイン、開けるんでしょ? 赤? 白?」
壱弥がぶっきらぼうに帆高に訊ねる。
「今日はナポリタンにすっから赤だな」
「了解」
壱弥はワインセラーから赤ワインのボトルを一本、ノンアルコールワインを一本取り出してアイスバケットに氷を詰めた。
その中にワインボトル二本を突っ込んでテーブルの上に置く。
「パスタ出来てからで開けるから冷やしとくよ」
そして美優の横に座って、美優の手を握りながら笑う。
「美優にはノンアルの赤ワイン開けてあげるから」
「でも、多かったりしないかな?」
今までファロルで見たノンアルコールワインは通常のアルコールワインと全く同じサイズをしていたので、美優は心配になって壱弥に訊ねる。
「大丈夫。一緒に飲むよ」
「え、壱弥呑まないの?」
振り返った航生が壱弥に聞く。
「交互に飲む」
これにもぶっきらぼうに答えてさっさと美優の方に向き直る。
「あんた露骨な位私達の事邪魔だと思ってるわね」
「だって実際邪魔だもん」
「私達はあんたじゃなくて美優のために集まってるんだから勘違いしないでよね。あんただってたった1人で美優の事守り切れるとは思ってないでしょ?」
「…………………………」
「その為にも情報共有はしとかないといけないの。あんたの独占欲はよくわかったけどそのせいで美優が危険に晒されたら意味ないでしょ?」
「…………わかってるよ」
壱弥は仏頂面で穂澄に視線をやる事もなく呟く様に答えた。
「所で美優さ、改めて聞くけど心当たりってないの?」
美優は穂澄に困り顔で答えた。
「うん……。ホントに心当たりはないんだ。でもたまに視線を感じる事はあったかな?」
「それっていつ頃からかわかる?」
「そうだなぁ……、、、、去年の秋位からかな?」
「秋って言ったら私達が会った頃よね」
「そう言えばそうだね」
壱弥が美優の手を離して赤ワインのボトルのコルク栓を開け始めた。
「俺も美優の家から出た時に視線感じた事あったんだよね。多分あれは俺の誕生日の時だったと思う」
「なるほどね……。もうその頃には既にストーカーされてて、壱弥が現れて焦り始めたのかしら?」
出来上がったパスタをフライパンごと持って来た帆高がコルクの鍋敷をテーブルに置いて更にその上にフライパンを置いた。
「それ以前から見張られた可能性が高いね」
航生も温め終えた惣菜をテーブルの上に並べる。
「夏前に何か変わった事ってあった?」
「そうだなぁ……。夏前はここに住んでなかったから。家族と暮らしてたし、遅くなったらお父さんが迎えに来てくれてたから」
「そうだったよね、じゃあそれ以前は心当たりないんだね?」
「うん」
「ま、とりあえず腹ごしらえしながらにしよう。ここトング置いとくから適当に自分で好きなだけ取って?」
帆高が席に着いて食事が始まる。
「「「「「いただきます」」」」」
ワイングラスに赤ワインとノンアル赤ワインが注がれて美優は先ずノンアル赤ワインに口をつけた。
「お、美優ちゃんの作ったこのピクルス美味い」
帆高がピクルスのパプリカを頬張りながら言った。
「ホントだ、後これ、さつまいものレモン煮?」
航生はきゅうりのピクルスを頬張っている。
「そうだよ。全部お母さんのレシピなの」
「へえ、お母さん、めちゃくちゃ料理上手だね。レシピって事はWEBにあんの?」
帆高が美優に笑いかけながら訊ねた。
「うん、結構人気あるみたいで殿堂入りしてるのもあるよ」
「へえ、良かったらURL教えて? 作ってみたい」
「うん、メッセで送るよ」
「あ、私にも教えて教えて」
「グループの方に送っちゃってもいいのかな?」
「ああ、まあいいんじゃない? 私が忠也先輩には適当に言っとく」
「じゃあ、グルチャに送っとくね」
美優はグループチャットにURLを入れて送信した。
「さて。じゃあ食べながら対策を考えましょうか」
「先ず美優。美優はしばらく壱弥の家に避難ね。出来るだけ壱弥と一緒に行動してね」
「うん、わかった」
「で、壱弥が無理な時は私でも航生でも帆高でもいいから必ず連絡して?」
「うん」
「3人全員が全く動けないって事はないと思うから」
「ね? 私が美優に変装して一回ストーカー誘き寄せるとかどうかしら?」
「まあ、一回捕まえてお話し合いはしないといけないよね」
航生がいつもと同じ爽やかな笑顔で言った。
「このまま守りに徹するなんて私達の性に合わないのよね。ストーカー如きに良いようにされるなんて腹立たしいわ」
「俺も同感だな、このまま壱弥の家にずっといるって訳にはいかんよな」
帆高がそう言った横で壱弥が呟くように言った。
「俺は別にこのまま美優が俺の家にいてくれても良いけどね」
帆高がそんな壱弥を呆れ顔で見て答える。
「お前な、そりゃお前からしたら美優ちゃん独占出来てウハウハだろうけど、美優ちゃんは心休まらないだろう? 怖い奴に付き纏われてるわ、自分の家に帰れないわ、彼氏独占欲の塊だわ」
「彼氏の件は余計」
「大体お前そんなキャラじゃなかっただろうが。何豹変してんだよ」
「俺はずっとこんなだよ。ただ美優がそばにいなかっただけ。なんにせよ、俺も囮作戦はいいと思うよ? 穂澄に美優の代わりしてもらって……」
「そんなのダメだよ! 穂澄だって女の子なのに! だったら私が囮になるよ!」
美優が食事の手を止めて必死に訴える。
「心配しなくても大丈夫だよ。穂澄って合気道の有段者だし」
「まあ、美優ちゃんが囮になるより絶対安全だとは思うよ? 俺達で守るのもあるし」
航生が美優の美優の作ったキャベツとカニカマのサラダを咀嚼し終えたタイミングで美優に何でもない事の様に言った。
「でも……っ」
「俺達としては美優ちゃんが囮になるよりも穂澄の方が安心なんだよね」
帆高も同じ様に美優さつまいものレモン煮を咀嚼し終えたタイミングで答える。
「……でも……」
皆に説得されるがやはり心配で反論したくなる。
「俺達に任せて? ね?」
壱弥が美優の頭をポンポンと優しく乗せる。
皆を見渡してもニッコリ笑っている。
「……………………」
長く悩んで、美優は一つこくんと頷いた。
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