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13、眷属
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リルとクロエが人間界にやって来て早半年。
そろそろクロエもよく家にいる様になり、クロエとシュバルツはなんとなく交互でリルの世話をし、交互に家事をし、交互にリルと共に眠る権利を行使した。
たまにクロエは呑んで帰ってくる事がある。
人間界の酒は相当呑まないと酔わないはずだが、酔っ払って帰ってはリルに絡む。
今日も酔って帰ってきた。しかも朝日が差している。
「リルリル~⁉︎帰ったよ~!」
リルは必ず駆け寄ってクロエを迎える。
「くぅちゃん、おかえりなさい!」
クロエはリルに抱きつく。
「ただいま~!リルは最っ高~~~~~に可愛いね!」
「くぅちゃん、おもたいよぉ~、くるしいよぉ~」
クロエはそのままリビングのソファでリルを押し倒したまま眠ってしまう。
スヤスヤと眠るクロエの下でリルはじっとしている。
シュバルツがリルに声をかける。
「リル…こりゃ起きねえから這い出てこい。クロエ持ち上げてやるから」
「ううん。いいの。リルくぅちゃんとねてるの」
「…腹減ったろ?」
「うん…でもくぅちゃん、リルのことだっこしてくれてるの」
「わかった。ほら、りんご切ったから、これ食え」
シュバルツにウサギに切ったりんごを食べさせてもらう。
リルはにっこり笑ってシュバルツにお礼を言った。
「ありがとう、しゅうちゃん」
シュバルツはクロエに毛布をかけてやり、静かに家事をして、後は買い物に出かけた。
暖かい日差しがソファの上に差し込んで、とてもいい気持ちだ。
朝からずっと乗られて抱きしめられてるリルもポカポカの陽気につられてウトウトと眠りについた。
二人で眠りこけた昼過ぎ…
クロエは目覚める。
自分の下に柔らかいものがあるのを感じてよく見るとリルだった。
リルも目を覚ますと、クロエを見てにこりと笑う。
「くぅちゃん、おはよう」
「おはよう…リル。…もしかして朝からずっとこうしてた?」
「うん、だってくぅちゃん、だっこしてくれたもん。リルだっこだいすきなの」
「這い出てよかったのに…」
クロエは困った様にリルを見て笑った。
そして愛おしさが込み上げて、リルにキスをしようと唇を近づけた…瞬間、
ぐ~~~…とリルのお腹の音が鳴る。
「…くぅちゃん…。リルね、おなかすいたの…」
クロエは微笑んでリルを撫でた。
「そっか、ご飯も食べずに抱っこされててくれたんだもんね。なんか食べよっか」
シュバルツが用意していた朝食を温め直して二人で食べる。
イチャイチャと食べさせてやったりしながら穏やかに食事は進む。
ガチャガチャと玄関が開く音がする。シュバルツが帰って来たのだろう。
「…帰った…」
心なしか、シュバルツの声は緊張している。
「お邪魔します」
クロエにとっては聞き覚えのある、聞きたくない最悪の声が聞こえた。
一瞬にして不機嫌の谷に突き落とされる。
シュバルツと一緒にリビングに入ってきた男が声をかける。
「やぁ、クロエ、久しぶりですね」
一見女と見紛うばかりの麗人でふわふわと軽いウェーブの黒髪に藍の眼をしたその男はその微笑みで万人を魅了しそうだ。
「相変わらず、嫌われてますね、私」
「…何用だ」
「魔王様に命じられて来たんですよ?クロエの様子を見て来てって」
「そういや留守中に来たらしいな、魔王。傲慢の件ならごめんだ。そんなもんやりたくない」
「今日は様子を見に来ただけですよ。…魔王様に言われたんですよ、リルちゃんに会って来てって」
さっきからリルは頬を染めてその男をじっと見ている。
「リルちゃんだね?私は好色。こっちにおいで」
「…はい…」
リルはフラフラと好色の元へ歩む。そして大人しくその腕に抱かれる。
呆然とそれを見るシュバルツと、嫌悪感一杯と言った顔で見つめるクロエ。
「どうやらリルちゃんは私の眷属の様ですね」
悪魔には7つの大罪の象徴がある。
全ての悪魔はその眷族となる。
クロエは傲慢、シュバルツは憤怒、リルは好色と言った様に自分の力の系統があるのだ。
リルの様に弱い悪魔はこの眷属の長に逆らう事が難しい。
「…リルに触るな。リルが穢れる」
眉間に皺を寄せ、吐き出す様に呟いた。
「私の名前はアナエルですよ、リル?あーちゃんと呼んで下さいね」
「…あーちゃん…」
リルはぼんやりと好色を見つめながら、名を呟いた。
「何があーちゃんだ。さっさと巣へ帰れよ、このド変態」
「相変わらず、酷い言いようですよね、クロエは。まぁ本当の事だからいいんですけど。最もその言葉も私にとってはご褒美みたいなものです」
クロエの眉間の皺が一層深くなる。
「そんなキモい事を言いながらリルを抱くな。返せ」
シュバルツがあまりのクロエの言いように口を挟む。
「…お前の言いようも凄いな…何がそんなに気に入らないんだよ…」
「お気に入りの死体、時間魔法で防腐して死姦する様な変態なんだよ、この男は」
「…そりゃ…確かに…」
シュバルツも好色にドン引きする。
「しかもそのお気に入りが先代の傲慢だ。こいつら一緒に堕天して来た時からそんな契約してたらしいぞ」
思わず嫌悪感一杯で饒舌になるクロエ。
一人では抱えきれない醜悪な好色の性趣向を吐き出してしまった様だ。
「…へぇ…」
シュバルツはそれしかコメントのしようがなかった。
その間も好色はリルを抱擁して頭を撫でている。
「私は何でもイケるだけですよ。男も女も老いも若きも生も死も愛おしい。リルちゃんだって好みなんですよ」
好色はぼんやりと惚けるリルの顎をクイっと持ち上げて顔を近づける。
「やめろ!」
クロエが好色からリルをもぎ取る。
「冗談ですよ、冗談」
好色は特に堪える様子もなくカラカラと笑う。
「用件は済んだだろ。さっさと帰れよ」
「ハイハイ、わかりましたよ。あ、そうそう、クロエ?『傲慢が嫌なら、魔王でもいいよ?』と魔王様が言ってましたよ?さも名案と言わんばかりに」
「嫌に決まってんだろ」
クロエは渋面で答える。
「じゃあ、シュバルツ君、君も気が変わらない?」
「…変わらないっスね…」
「じゃあリルちゃんの観光ポスターは?」
「…」
「…」
クロエもシュバルツも答えない。
それはリルが決める事だ。
「リルちゃん、ポーズとってお写真撮ったりするの、嫌ですか?」
「…いやじゃないです」
「じゃあ、魔界の観光ポスターのモデルになってくれるかな?」
「⁇…リルでもできる?」
「うん、出来ますよ」
「…じゃあ、やる」
こうして、リルは魔界観光ポスターのモデルになる事になった。
そろそろクロエもよく家にいる様になり、クロエとシュバルツはなんとなく交互でリルの世話をし、交互に家事をし、交互にリルと共に眠る権利を行使した。
たまにクロエは呑んで帰ってくる事がある。
人間界の酒は相当呑まないと酔わないはずだが、酔っ払って帰ってはリルに絡む。
今日も酔って帰ってきた。しかも朝日が差している。
「リルリル~⁉︎帰ったよ~!」
リルは必ず駆け寄ってクロエを迎える。
「くぅちゃん、おかえりなさい!」
クロエはリルに抱きつく。
「ただいま~!リルは最っ高~~~~~に可愛いね!」
「くぅちゃん、おもたいよぉ~、くるしいよぉ~」
クロエはそのままリビングのソファでリルを押し倒したまま眠ってしまう。
スヤスヤと眠るクロエの下でリルはじっとしている。
シュバルツがリルに声をかける。
「リル…こりゃ起きねえから這い出てこい。クロエ持ち上げてやるから」
「ううん。いいの。リルくぅちゃんとねてるの」
「…腹減ったろ?」
「うん…でもくぅちゃん、リルのことだっこしてくれてるの」
「わかった。ほら、りんご切ったから、これ食え」
シュバルツにウサギに切ったりんごを食べさせてもらう。
リルはにっこり笑ってシュバルツにお礼を言った。
「ありがとう、しゅうちゃん」
シュバルツはクロエに毛布をかけてやり、静かに家事をして、後は買い物に出かけた。
暖かい日差しがソファの上に差し込んで、とてもいい気持ちだ。
朝からずっと乗られて抱きしめられてるリルもポカポカの陽気につられてウトウトと眠りについた。
二人で眠りこけた昼過ぎ…
クロエは目覚める。
自分の下に柔らかいものがあるのを感じてよく見るとリルだった。
リルも目を覚ますと、クロエを見てにこりと笑う。
「くぅちゃん、おはよう」
「おはよう…リル。…もしかして朝からずっとこうしてた?」
「うん、だってくぅちゃん、だっこしてくれたもん。リルだっこだいすきなの」
「這い出てよかったのに…」
クロエは困った様にリルを見て笑った。
そして愛おしさが込み上げて、リルにキスをしようと唇を近づけた…瞬間、
ぐ~~~…とリルのお腹の音が鳴る。
「…くぅちゃん…。リルね、おなかすいたの…」
クロエは微笑んでリルを撫でた。
「そっか、ご飯も食べずに抱っこされててくれたんだもんね。なんか食べよっか」
シュバルツが用意していた朝食を温め直して二人で食べる。
イチャイチャと食べさせてやったりしながら穏やかに食事は進む。
ガチャガチャと玄関が開く音がする。シュバルツが帰って来たのだろう。
「…帰った…」
心なしか、シュバルツの声は緊張している。
「お邪魔します」
クロエにとっては聞き覚えのある、聞きたくない最悪の声が聞こえた。
一瞬にして不機嫌の谷に突き落とされる。
シュバルツと一緒にリビングに入ってきた男が声をかける。
「やぁ、クロエ、久しぶりですね」
一見女と見紛うばかりの麗人でふわふわと軽いウェーブの黒髪に藍の眼をしたその男はその微笑みで万人を魅了しそうだ。
「相変わらず、嫌われてますね、私」
「…何用だ」
「魔王様に命じられて来たんですよ?クロエの様子を見て来てって」
「そういや留守中に来たらしいな、魔王。傲慢の件ならごめんだ。そんなもんやりたくない」
「今日は様子を見に来ただけですよ。…魔王様に言われたんですよ、リルちゃんに会って来てって」
さっきからリルは頬を染めてその男をじっと見ている。
「リルちゃんだね?私は好色。こっちにおいで」
「…はい…」
リルはフラフラと好色の元へ歩む。そして大人しくその腕に抱かれる。
呆然とそれを見るシュバルツと、嫌悪感一杯と言った顔で見つめるクロエ。
「どうやらリルちゃんは私の眷属の様ですね」
悪魔には7つの大罪の象徴がある。
全ての悪魔はその眷族となる。
クロエは傲慢、シュバルツは憤怒、リルは好色と言った様に自分の力の系統があるのだ。
リルの様に弱い悪魔はこの眷属の長に逆らう事が難しい。
「…リルに触るな。リルが穢れる」
眉間に皺を寄せ、吐き出す様に呟いた。
「私の名前はアナエルですよ、リル?あーちゃんと呼んで下さいね」
「…あーちゃん…」
リルはぼんやりと好色を見つめながら、名を呟いた。
「何があーちゃんだ。さっさと巣へ帰れよ、このド変態」
「相変わらず、酷い言いようですよね、クロエは。まぁ本当の事だからいいんですけど。最もその言葉も私にとってはご褒美みたいなものです」
クロエの眉間の皺が一層深くなる。
「そんなキモい事を言いながらリルを抱くな。返せ」
シュバルツがあまりのクロエの言いように口を挟む。
「…お前の言いようも凄いな…何がそんなに気に入らないんだよ…」
「お気に入りの死体、時間魔法で防腐して死姦する様な変態なんだよ、この男は」
「…そりゃ…確かに…」
シュバルツも好色にドン引きする。
「しかもそのお気に入りが先代の傲慢だ。こいつら一緒に堕天して来た時からそんな契約してたらしいぞ」
思わず嫌悪感一杯で饒舌になるクロエ。
一人では抱えきれない醜悪な好色の性趣向を吐き出してしまった様だ。
「…へぇ…」
シュバルツはそれしかコメントのしようがなかった。
その間も好色はリルを抱擁して頭を撫でている。
「私は何でもイケるだけですよ。男も女も老いも若きも生も死も愛おしい。リルちゃんだって好みなんですよ」
好色はぼんやりと惚けるリルの顎をクイっと持ち上げて顔を近づける。
「やめろ!」
クロエが好色からリルをもぎ取る。
「冗談ですよ、冗談」
好色は特に堪える様子もなくカラカラと笑う。
「用件は済んだだろ。さっさと帰れよ」
「ハイハイ、わかりましたよ。あ、そうそう、クロエ?『傲慢が嫌なら、魔王でもいいよ?』と魔王様が言ってましたよ?さも名案と言わんばかりに」
「嫌に決まってんだろ」
クロエは渋面で答える。
「じゃあ、シュバルツ君、君も気が変わらない?」
「…変わらないっスね…」
「じゃあリルちゃんの観光ポスターは?」
「…」
「…」
クロエもシュバルツも答えない。
それはリルが決める事だ。
「リルちゃん、ポーズとってお写真撮ったりするの、嫌ですか?」
「…いやじゃないです」
「じゃあ、魔界の観光ポスターのモデルになってくれるかな?」
「⁇…リルでもできる?」
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