人質同然だったのに何故か普通の私が一目惚れされて溺愛されてしまいました

ツヅミツヅ

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 姫付きの侍女を下がらせ二人閨に入る。
 姫は緊張した面持ちで寝所に入ったが、閨で話をしていると眠そうに目を擦る様になった。

「もう眠いのか?」
 姫はハッと儂の方を見て首肯する。
「はい……。でももう少し頑張れます……」
「そうか。だが無理はせずとも良い」

 限界が近そうだったのでやはり黙っていてやるとすぐに寝息を立て始める。
 無防備な寝顔を眺めながら、今日1日で聞き出した姫の発言のなんとも面白かった事を反芻する。

 どうやら姫は儂を一切怖いとは思わないらしい。

 確かに儂も姫の前ではかなり気が緩んでいる。

 こんな風に一人の人間と自ら望んで一日中一緒にいた事があっただろうか?
 恐らく、初めての事だ。

 たった1日とは思えない濃厚な日だった。
 明日から毎日こんな日が続くのかと思うと立ち眩みの様な感覚に襲われる。
 悪い予感なのか、良い予感なのか自身でもよくわからずにいる。

 即位以降、王であった時間は全て他者に恐れられていた。
 武断の王である儂の行いを考えたらそれは当然の恐怖心だろう。

 姫付きの侍女の様に恐れを抱くのが普通だ。

(不思議な娘だ……。)

 腕で高枕を作り、姫の寝顔を覗き込んでいると、不意に姫が寝返りを打った。
 儂の首に腕を回し絡み付いてくる。
 姫を確認するとスヤスヤとやはり寝息を立てている。

(どうやら抱き癖があるらしいな……。)

 抱き返して姫の髪に顔を埋めると、
 胸を締め付ける様な、何とも言えない懐かしい香りがした……
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