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姫を慰め、後ろ髪を引かれる想いで政務に戻る。
執務室に重臣を呼び集める。
儂は長椅子に座って頬杖をつく。
宰相が軽い口調で言う。
「いやぁ~~、姫様めちゃくちゃですねぇ!」
軍師がくつくつと笑う。
「自分が追従になるとはなんとも思い切りの良い事です」
法相も続く。
「朝議に乗り込んだ挙句、グリムヒルトの強面官吏に黙れと一喝するなんてなかなか出来る事じゃないですねぇ」
如何にも愉快と言った所か。
軍師が真っ直ぐ儂に向き直る。
「我ら一同レイティア姫様を陛下の御正妃として改めて奉迎致します」
頭を下げる。
すると宰相と法相も頭を下げた。
重臣達がレイティア姫を認めた瞬間だろう。
「姫はあのままで良い。そのつもりでおれ」
全員が声を揃える。
「「「御意」」」
壁際に控えるセイレーンに声をかける。
「という事だ。これで文句は無いか?セイレーン殿」
セイレーンは壁に凭れかかり腕組みをして、こちらをチラリと見た。
「正妃であるかどうかは問題ではない。それは貴様らの都合だろう」
儂は苦笑いするしかない。実際その通りだ。
「セイレーン殿は手厳しいな」
「私は庶民の出な上、無骨者だからわからんが、妾妃達は黙っているものなのか?社交の世界にはきな臭い事もあるだろう」
「その辺りは時期を見て対処する」
セイレーンはその冴え冴えした黄色い瞳でこちらを見据える。
ヒラリとそのワインレッドの横髪が垂れた。
「ただし、一つ懸念がある」
儂は頬杖を止め、腕組みをする
「パーテロですか?」
宰相が口添えする。
いつもの軽い口調に嬉々とした色が滲む。
「あぁ。あいつは儀式の主宰に並々ならぬ熱意を持っているようだからなぁ」
儂は首肯する。
「パーテロでしたらいつでも喰えますよ?」
法相が朗らかに言う。
しかし青い瞳は捕食者の目の光を放っている。
「あいつはどこかしこで食い散らかしているのでやり易いです」
「なら準備を進めよ。早晩、奴は姫に手出しする」
ペンッティ・アールニ・パーテロは爺の時代に儀宰となった。
ガッチリした体躯の40過ぎになる男だ。
この男は儀式の際の袖の下で莫大な利益を得ている。
だが、今回姫が儀式に介入する事によって、その利権が脅かされる。
愚直な男なので黙ってはいないだろう。
今まで儂の目の前で派手に使う訳にいかず、さぞかし貯め込んでいる事だろう。
この程度の者ならば放置してもいつでも捕らえられると塩漬けにしていた案件を片付けるだけだ。
「儀宰のアテはあるか?」
宰相に投げる。
「俺の部下に向いた奴がいます。ユッソ・タイスト・ハスという海軍二番艦隊の中隊を任せている大佐です。
姫への配慮も言い含めておきます」
「あの男か。良いだろう。許す」
ーーーーーーーーその夜、パーテロ邸に騎士団が押し入り、ペンッティ・アールニ・パーテロは捕らえられた。
執務室に重臣を呼び集める。
儂は長椅子に座って頬杖をつく。
宰相が軽い口調で言う。
「いやぁ~~、姫様めちゃくちゃですねぇ!」
軍師がくつくつと笑う。
「自分が追従になるとはなんとも思い切りの良い事です」
法相も続く。
「朝議に乗り込んだ挙句、グリムヒルトの強面官吏に黙れと一喝するなんてなかなか出来る事じゃないですねぇ」
如何にも愉快と言った所か。
軍師が真っ直ぐ儂に向き直る。
「我ら一同レイティア姫様を陛下の御正妃として改めて奉迎致します」
頭を下げる。
すると宰相と法相も頭を下げた。
重臣達がレイティア姫を認めた瞬間だろう。
「姫はあのままで良い。そのつもりでおれ」
全員が声を揃える。
「「「御意」」」
壁際に控えるセイレーンに声をかける。
「という事だ。これで文句は無いか?セイレーン殿」
セイレーンは壁に凭れかかり腕組みをして、こちらをチラリと見た。
「正妃であるかどうかは問題ではない。それは貴様らの都合だろう」
儂は苦笑いするしかない。実際その通りだ。
「セイレーン殿は手厳しいな」
「私は庶民の出な上、無骨者だからわからんが、妾妃達は黙っているものなのか?社交の世界にはきな臭い事もあるだろう」
「その辺りは時期を見て対処する」
セイレーンはその冴え冴えした黄色い瞳でこちらを見据える。
ヒラリとそのワインレッドの横髪が垂れた。
「ただし、一つ懸念がある」
儂は頬杖を止め、腕組みをする
「パーテロですか?」
宰相が口添えする。
いつもの軽い口調に嬉々とした色が滲む。
「あぁ。あいつは儀式の主宰に並々ならぬ熱意を持っているようだからなぁ」
儂は首肯する。
「パーテロでしたらいつでも喰えますよ?」
法相が朗らかに言う。
しかし青い瞳は捕食者の目の光を放っている。
「あいつはどこかしこで食い散らかしているのでやり易いです」
「なら準備を進めよ。早晩、奴は姫に手出しする」
ペンッティ・アールニ・パーテロは爺の時代に儀宰となった。
ガッチリした体躯の40過ぎになる男だ。
この男は儀式の際の袖の下で莫大な利益を得ている。
だが、今回姫が儀式に介入する事によって、その利権が脅かされる。
愚直な男なので黙ってはいないだろう。
今まで儂の目の前で派手に使う訳にいかず、さぞかし貯め込んでいる事だろう。
この程度の者ならば放置してもいつでも捕らえられると塩漬けにしていた案件を片付けるだけだ。
「儀宰のアテはあるか?」
宰相に投げる。
「俺の部下に向いた奴がいます。ユッソ・タイスト・ハスという海軍二番艦隊の中隊を任せている大佐です。
姫への配慮も言い含めておきます」
「あの男か。良いだろう。許す」
ーーーーーーーーその夜、パーテロ邸に騎士団が押し入り、ペンッティ・アールニ・パーテロは捕らえられた。
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