人質同然だったのに何故か普通の私が一目惚れされて溺愛されてしまいました

ツヅミツヅ

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 夕食後のティータイム。いつもの日課だ。

 私はいつもの様に長椅子の陛下の横に座り、今日一日侍女達と話した事を陛下にお話しする。
 陛下はそれに相槌を打ちながら紅茶を啜る。

「で、皆んなに揶揄われてしまいました」
 私は照れながらそう言った。
「そうか。ヒメユズリは年二回花をつける。
 結婚式の時のブーケにと思っていた」
「…ええと、そうだったのですか…。う、嬉しいです」
 自然と顔が赤くなってしまう。
 愛と忠誠だなんて勿体ない。

 陛下は笑んで私の頭を撫でた。
「普通は白い花を選ぶらしいがな」

「ヒメユズリは何色の花なんですか?」

「桃色に近い色だ。まぁ白に映えるだろう」

「そうなのですか! それは確かに映えますね! どんな花なんでしょうか。でも当日まで楽しみにしています」

 でも、陛下はそんな事を考えてくれてたんだ……。
 得意じゃないなんて言ってしまったのは失礼でした。

 私は一息ついて紅茶のカップを持ち上げて口にする。

 なんとなく視界に入った砂糖を眺める。

 ……お砂糖……
 ……粉……
 そうだ! 粉だ!

「……思い出した」

「何をだ?」
 私は目を見開き、声を上げる。
「太公様のお話にあったんです! アガターシェという植物です!
 太公様がご禁制になさった植物で、その茎から出る液を乾燥させて粉状にしたものがとてもたちが悪いって仰ってて、お聞きした症状が第一妾妃様の症状そのままです!」

 陛下は顎に指を当て、呟く。
「成る程……アガターシェの粉末であれば、摂取させる事が出来る」

「確か諸侯のライタネン家が主導してヴィンゼンツ大陸から輸入していたものを太公様が禁じられてからはこの国には出回っていない筈です」

「その通りだ」
 でもライタネン家は妾妃様達の後ろ盾にはいない。

 では、どうやって入手したのだろう。
 アガターシェをどうやって摂取させたのだろう。
 私は腕を組み、頭を悩ませる。

 もう少しで答えが出そうだけど、出てこない。

 陛下が私の頭をポンポンと撫でる。
「もう良い。そんなに悩む必要はない」
「陛下?」
 陛下のお顔が少し不敵に笑っている。
「さて、そろそろ湯浴みに行くか」

 ……もしかして、陛下はもう犯人がわかったのかしら……?
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