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謹慎を申し渡された私は退屈なので、侍女達とお喋りする。
「姫様の結婚式のドレスはもう製作に入っているとの事ですよ」
マリがまるで自分の事の様に嬉しげに言う。
「そうなんですか。きっと縫い子さん達大変でしょうね。ウェディングドレスなんて凄く手間がかかりそうですから」
その苦労を思うと申し訳ないやらありがたいやら。
「だからこそやり甲斐もあるのではないですか? きっと素敵なドレスが仕上がりますよ」
ヨアンナもまるで自分のドレスが仕上がるみたいな顔で言った。
「皆んなの方が私より楽しみにしてるみたいですね」
私は笑いながら言う。
「姫様の関心が薄い分、私達が関心を持たなきゃドレスが可哀想ですよ」
イーリスが言う。
「だって仕方ないでしょう?私は貧しい国の王女だったんだから、ドレスなんかに興味があったらやっていけなかったんですよ」
「せめて姫様も他の妾妃の方々くらい、ご自分を着飾る事に興味を持って頂けたら、我々も仕事のしがいがありますのに」
ヨアンナが口元に手を当てて笑う。
「他の妾妃様方と言えば、近頃、プレゼントの交換をなさっているらしいですよ」
マリが言う。
「へぇ。皆様どんな物をやり取りしてるのかしらね?」
私が訊ねる。
「香油や紅やパウダーや香水などの化粧品類だと聞きましたよ」
ヨアンナが言い添える。
「私は宝石類だと聞きましたが」
仲の良いのは良い事だ。
「そうなんですね。それってそんなに最近なんですか?」
「確かひと月程前からだったと思いますよ」
マリが答えた。
「姫様?そろそろおやつの時間ではないですか?準備させて頂きますよ」
イーリスが柔かに言う。
「あら、もうそんな時間なのですね。
せっかくだから用意して皆んなで頂きましょう」
ヨアンナが笑う。
「しかし一体どこの世界に侍女達におやつを御相伴される御正妃様がいらっしゃるんだか」
「ここにいますよ。だって一人で食べたって仕方ないでしょう?」
「そういう所が姫様の変わってらっしゃる所ですね」
マリが笑って言う。
「そういえば姫様は私達には敬語で、衛兵達には砕けた喋り方をなさいますね。なんだかちぐはぐですね」
イーリスも笑う。
「これは、せめて城の中では王女らしくって言われて育って、癖になっているのですよ。一歩外に出るとついタガが外れてしまうんです」
衛兵達は畏まって喋ると距離が出る。軍人さんだから目上にはちゃんとしなきゃっていうのが働くのだと思う。なので敢えて砕けた喋り方をしてたりする。
お茶の準備が終わって椅子に促される。
アフターヌーンのセットが置かれて侍女達と一緒に座って頂く。
「……マルッティネン様は大丈夫かしら……」
ふと思い出して呟く。
「姫様は本当にお人好しですね! 落とされかけたのでしょう?」
マリは憤っている様子で言った。
「でも、本当に正気を失っておられた様子だったんですよ」
私は困ってそう言うと、
「そんなもの姫様には関係ありません!」
「そうですよ。姫様の身に何かあったらと思うと、それだけでゾッとします」
皆んなの顔を見ながら言う。
「ありがとうございます。でもこうして無事だったし、大丈夫ですよ」
皆んなに心配かけてしまったみたいだ。
「お話は変わりますけど、姫様も少しはお化粧などなさってはいかがですか?」
イーリスが言う。
「私はいいですよ。落ちてしまうんじゃないかと気が気じゃないんですよ。この間のお披露目の時も不安で不安で」
私は困りながら否定する。
「落ちましたら、私達がお直し致しますよ?」
マリが任せてくれと言わんばかりに言う。
「ほら、でも私みたいにお淑やかじゃない人間がお化粧なんてしたって……ねえ?
それに今更と言うか何というか……」
「プストの時も結局簡素にしていらしたし」
ヨアンナが残念そうに言う。
「そう言えばプストっていつまでやってるんでしたっけ?」
これは話を逸らさねばと、話題を変える。
「明日までですよ」
「そうですか。また行きたいです。皆んなは行ったのですか?」
「私は行きましたよ!やはりプストはワクワクしますね」
マリが思い出す様に言った。
「ヨアンナは?」
「私はまだ行っておりません。明日にでも行こうと思います」
「いいですね! 最終日は一番盛り上がるのでしょう? イーリスは?」
「私は初日に行かせて頂きましたよ」
「ああ、私達が行った日ですね」
「シャイリンバイの花が綺麗だったんですよね」
「私が見たのはヒメユズリの花でしたよ」
イーリスが笑って言う。
「へぇ…。ヒメユズリはどういう意味があるのでしょう?」
「愛と忠誠ですよ」
マリがうっとりと言う。
「プストでヒメユズリを送り合うと永遠に結ばれるとか」
「素敵ですね」
「陛下は姫様に送って差し上げなかったのですか?」
「え⁉︎」
急に話を振られてびっくりした。
「だって、ヒメユズリの花に出くわさなかったし…。それに陛下はそういう事はあまり得意な方じゃないと思うんです」
それに、もっと素敵な言葉を頂いた。
……おでこにキスされた事もついでに思い出す。
思い出すと恥ずかしくなって顔が赤くなってしまう。
「あら? 姫様のお顔が真っ赤」
ヨアンナが口元に手を当てて揶揄う。
「何を思い出されたのですか?」
イーリスまで同じ様に口元に手を当てて揶揄う。
「本当に陛下は姫様を溺愛なさっておられますね」
マリが何故か嬉しげに言う。
このまま、私はしばらく揶揄われて、なかなか頬の熱が引かなかった。
「姫様の結婚式のドレスはもう製作に入っているとの事ですよ」
マリがまるで自分の事の様に嬉しげに言う。
「そうなんですか。きっと縫い子さん達大変でしょうね。ウェディングドレスなんて凄く手間がかかりそうですから」
その苦労を思うと申し訳ないやらありがたいやら。
「だからこそやり甲斐もあるのではないですか? きっと素敵なドレスが仕上がりますよ」
ヨアンナもまるで自分のドレスが仕上がるみたいな顔で言った。
「皆んなの方が私より楽しみにしてるみたいですね」
私は笑いながら言う。
「姫様の関心が薄い分、私達が関心を持たなきゃドレスが可哀想ですよ」
イーリスが言う。
「だって仕方ないでしょう?私は貧しい国の王女だったんだから、ドレスなんかに興味があったらやっていけなかったんですよ」
「せめて姫様も他の妾妃の方々くらい、ご自分を着飾る事に興味を持って頂けたら、我々も仕事のしがいがありますのに」
ヨアンナが口元に手を当てて笑う。
「他の妾妃様方と言えば、近頃、プレゼントの交換をなさっているらしいですよ」
マリが言う。
「へぇ。皆様どんな物をやり取りしてるのかしらね?」
私が訊ねる。
「香油や紅やパウダーや香水などの化粧品類だと聞きましたよ」
ヨアンナが言い添える。
「私は宝石類だと聞きましたが」
仲の良いのは良い事だ。
「そうなんですね。それってそんなに最近なんですか?」
「確かひと月程前からだったと思いますよ」
マリが答えた。
「姫様?そろそろおやつの時間ではないですか?準備させて頂きますよ」
イーリスが柔かに言う。
「あら、もうそんな時間なのですね。
せっかくだから用意して皆んなで頂きましょう」
ヨアンナが笑う。
「しかし一体どこの世界に侍女達におやつを御相伴される御正妃様がいらっしゃるんだか」
「ここにいますよ。だって一人で食べたって仕方ないでしょう?」
「そういう所が姫様の変わってらっしゃる所ですね」
マリが笑って言う。
「そういえば姫様は私達には敬語で、衛兵達には砕けた喋り方をなさいますね。なんだかちぐはぐですね」
イーリスも笑う。
「これは、せめて城の中では王女らしくって言われて育って、癖になっているのですよ。一歩外に出るとついタガが外れてしまうんです」
衛兵達は畏まって喋ると距離が出る。軍人さんだから目上にはちゃんとしなきゃっていうのが働くのだと思う。なので敢えて砕けた喋り方をしてたりする。
お茶の準備が終わって椅子に促される。
アフターヌーンのセットが置かれて侍女達と一緒に座って頂く。
「……マルッティネン様は大丈夫かしら……」
ふと思い出して呟く。
「姫様は本当にお人好しですね! 落とされかけたのでしょう?」
マリは憤っている様子で言った。
「でも、本当に正気を失っておられた様子だったんですよ」
私は困ってそう言うと、
「そんなもの姫様には関係ありません!」
「そうですよ。姫様の身に何かあったらと思うと、それだけでゾッとします」
皆んなの顔を見ながら言う。
「ありがとうございます。でもこうして無事だったし、大丈夫ですよ」
皆んなに心配かけてしまったみたいだ。
「お話は変わりますけど、姫様も少しはお化粧などなさってはいかがですか?」
イーリスが言う。
「私はいいですよ。落ちてしまうんじゃないかと気が気じゃないんですよ。この間のお披露目の時も不安で不安で」
私は困りながら否定する。
「落ちましたら、私達がお直し致しますよ?」
マリが任せてくれと言わんばかりに言う。
「ほら、でも私みたいにお淑やかじゃない人間がお化粧なんてしたって……ねえ?
それに今更と言うか何というか……」
「プストの時も結局簡素にしていらしたし」
ヨアンナが残念そうに言う。
「そう言えばプストっていつまでやってるんでしたっけ?」
これは話を逸らさねばと、話題を変える。
「明日までですよ」
「そうですか。また行きたいです。皆んなは行ったのですか?」
「私は行きましたよ!やはりプストはワクワクしますね」
マリが思い出す様に言った。
「ヨアンナは?」
「私はまだ行っておりません。明日にでも行こうと思います」
「いいですね! 最終日は一番盛り上がるのでしょう? イーリスは?」
「私は初日に行かせて頂きましたよ」
「ああ、私達が行った日ですね」
「シャイリンバイの花が綺麗だったんですよね」
「私が見たのはヒメユズリの花でしたよ」
イーリスが笑って言う。
「へぇ…。ヒメユズリはどういう意味があるのでしょう?」
「愛と忠誠ですよ」
マリがうっとりと言う。
「プストでヒメユズリを送り合うと永遠に結ばれるとか」
「素敵ですね」
「陛下は姫様に送って差し上げなかったのですか?」
「え⁉︎」
急に話を振られてびっくりした。
「だって、ヒメユズリの花に出くわさなかったし…。それに陛下はそういう事はあまり得意な方じゃないと思うんです」
それに、もっと素敵な言葉を頂いた。
……おでこにキスされた事もついでに思い出す。
思い出すと恥ずかしくなって顔が赤くなってしまう。
「あら? 姫様のお顔が真っ赤」
ヨアンナが口元に手を当てて揶揄う。
「何を思い出されたのですか?」
イーリスまで同じ様に口元に手を当てて揶揄う。
「本当に陛下は姫様を溺愛なさっておられますね」
マリが何故か嬉しげに言う。
このまま、私はしばらく揶揄われて、なかなか頬の熱が引かなかった。
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