99 / 200
99、閑話 -序章6-
しおりを挟む
日を跨いで夜半には風は轟々と鳴り、ポツリと降り始めた雨は次第に地面を叩きつける激しい雨へと変わっていった。
グリムヒルト軍の言う通り、その嵐はとても激しく、しかもその足は恐ろしく鈍かった。
「……本当に嵐が来たわ……」
レイティア姫はどうしても寝付くことが出来ず、ガラス越しに外の様子を眺めていた。
そこにノックが鳴る。
「誰ですか?」
「私です」
「お母様? どうぞ」
王妃であるエレオノーラは、静かにレイティア姫の部屋に入って来た。
「寝付けないだろうと思ったわ」
「……お母様……。」
「……まさか貴女の縁談が、こんな風に決まってしまうなんて、考えもしなかったわ」
エレオノーラ王妃は柔かに笑った。
「ええ、私も。グリムヒルトの王家に嫁ぐ事になるなんて思っても見なかった」
同じ様にレイティア姫は笑う。
エレオノーラ王妃はレイティア姫の横に並び、肩を抱く。
そしてその頭に頬を寄せ、呟く様に言った。
「……よく、決断してくれましたね、レイティア。国の為とは言え、厳しい方だとお噂のグリムヒルト王の元へ嫁ぐと決するのは相当な覚悟が必要だったでしょう……」
「……お母様……。私がこの国を出たら、すぐに私を廃嫡してね……。あちらへ行ってしまってからどんな扱いを受けるのかわからない……。もしすぐに婚姻となってしまったら、グリムヒルト王家にいる私に継承権が残ってしまう。それだけは絶対に避けて。必ずベネディクト王にはわかって戴ける様にお話しするから。
……もし、モトキスがこの件で何か言ってきたとしても、私が勝手に出奔してしまった事にして」
「……貴女は全てを受け入れたのね……」
「……お母様?私はこれでも王家の人間よ?自分の使い途位わかってるわ」
エレオノーラ王妃はレイティア姫の肩をぎゅっと強く抱く。
「……嵐が終わらなければいいのに……」
一言そう言うと、王妃は一筋の涙を流した。
そしてレイティア姫の方に向き直る。
向かい合い、肩を掴み、涙を流しながらレイティア姫に微笑んだ。
「貴女を誇りに思うわ、レイティア。貴女はこの国の宝よ。例えグリムヒルトに行ってしまっても、それは変わらないわ」
「お母様……」
エレオノーラ王妃はレイティア姫をぎゅっと抱きしめた。
母親に抱きしめられて、レイティア姫もポロポロと涙が溢れ出て来た。
きっとこの温もりを感じる事は最後だろう。
「お母様ぁ……」
レイティア姫は母親の背中に腕を回す。
「軍師の仰り様は最初から貴女が目的の様に思うの。だからきっとグリムヒルトに行ってしまっても少なくとも軍師からは無下にされる事はないでしょう」
「……はい……」
レイティア姫はそのまま母親に抱きしめられて、泣き続ける。
「姉上……」
そしてその一部始終をテオフィル王子は扉の影から見守っていた。
◇◇◇
「ふざけるな!」
へリュは珍しく声を荒げ、夫を怒鳴りつける。
「……そうしてお前が声を荒げるのも、初めて見たぞ」
腕を組み、壁に背を預けて、妻の怒声を受け流す。
「当たり前だ! お前は自分のした事がどういう事かわかっているのか!」
嵐の雨音や風の激しく吹き荒れる風切り音も掻き消える位に大声で夫に詰め寄る。
「ああ。一国の王女の人生を大きく捻じ曲げた」
夫は飄々と言って退けた。
そのあまりの態度にへリュは更に激昂する。
「私をダシに、人一人の人生を捻じ曲げる事はお前にとってそこまで軽い事かっ!」
夫はそれを受けて真面目な顔つきでへリュを見た。
「軽くなどない」
「ならば何故っ!」
へリュは今にも掴みかからんばかりの勢いで夫に更に詰め寄る。
「あの王女なら、陛下も気にいると思った」
「何故だ! 根拠は!」
「お前は不快に思うだろうが、陛下とお前の気質はよく似ている。そのお前があの王女と穏やかに話すのを見て、思った。陛下の御心にも何かもたらすのではないかと」
「そんな理由であの王女をこの国から取り上げるつもりか! そんなものはマグダラスには一切関係がないだろう!」
「ああ。だがグリムヒルトには必要だ。
……近頃特に陛下は玉座に飽いておられる……。政に一切興味を持って下さらない……」
「それが! あの王女に一体どんな関係があるというんだ!」
「正直もう万策尽きた。陛下は何をしても動いて下さらない。即位から2、3年の間はなんとか務めて頂けたが、それ以降は何をどう言っても、冗談めかして我らに謀反を起こしてお前達の内の誰かが王になればいいなどと仰る」
実際、ベネディクト王は政務に関心がなく、殆どの時間を自室に引きこもり主に読書をし、
気が向いた様に剣を握り、軽く稽古などをして過ごしている。
子を残すつもりもないのか、もう何年も前から妾妃の誰の元にも渡ってすらいない。
「私には全てを閉ざし、王である事、それ以前に生きる事すら飽いてしまわれた様に見える」
「……」
妻は射殺すように夫を睨みつけ、その言葉を黙って聞いている。
「……もうお手上げなんだ。私にはどうする事も出来ない。……何か少しでもきっかけが欲しい。あの王女に賭けてみたい」
「……私があの王女に心を開いたからと言って、あの男が同じ様に感じるとは限らないだろう……」
「そうだな。だからこれは本当に賭けだ」
「そんな下らぬ博打に! あの善良な王女を巻き込むな!」
「お前の怒りは尤もだ。私とて理解している。もしも、あの王女に陛下が何も心を動かされなかった場合、私は陛下の元を去る」
へリュは言葉に詰まる。
自分の夫がベネディクト王にどれほど心酔し、どれほど忠義を誓っているかをよく知っている。主の元を去るという事は、軍師の職も辞して領地に篭るという事だ。
「もし王女を他の妾妃同様に扱われたなら、私が後ろ盾になり、即廃妃にして、良い嫁ぎ先を探す。本人が望むならばマグダラスに帰す手筈も整える」
夫は姿勢を正す。そして真っ直ぐへリュに向き直り、真剣な面持ちで訴えた。
「頼む、へリュ。あの王女に賭けさせてくれ」
その夫の様子にへリュは気概を削がれた。
「…………せめて、一旦国に戻り、あの男を説得して正式に申し入れるという事は出来ないのか?」
「無理だ。陛下を説得するのも難しければ、マグダラスを頷かせる事も難しい。どちらも受け入れない。……それに良い品はすぐに売れる。これは世の理だ」
しばしの沈黙の後、へリュは夫を睨んで宣言する。
「……もし、あの男が王女をぞんざいに扱うならば、私もお前と離縁する。国向きがどうだとか関係なく、私がマグダラスに連れ帰る。グリムヒルトにはもう戻らない」
「……わかった。それでいい」
へリュは慚愧の念に、拳を強く握った。
グリムヒルト軍の言う通り、その嵐はとても激しく、しかもその足は恐ろしく鈍かった。
「……本当に嵐が来たわ……」
レイティア姫はどうしても寝付くことが出来ず、ガラス越しに外の様子を眺めていた。
そこにノックが鳴る。
「誰ですか?」
「私です」
「お母様? どうぞ」
王妃であるエレオノーラは、静かにレイティア姫の部屋に入って来た。
「寝付けないだろうと思ったわ」
「……お母様……。」
「……まさか貴女の縁談が、こんな風に決まってしまうなんて、考えもしなかったわ」
エレオノーラ王妃は柔かに笑った。
「ええ、私も。グリムヒルトの王家に嫁ぐ事になるなんて思っても見なかった」
同じ様にレイティア姫は笑う。
エレオノーラ王妃はレイティア姫の横に並び、肩を抱く。
そしてその頭に頬を寄せ、呟く様に言った。
「……よく、決断してくれましたね、レイティア。国の為とは言え、厳しい方だとお噂のグリムヒルト王の元へ嫁ぐと決するのは相当な覚悟が必要だったでしょう……」
「……お母様……。私がこの国を出たら、すぐに私を廃嫡してね……。あちらへ行ってしまってからどんな扱いを受けるのかわからない……。もしすぐに婚姻となってしまったら、グリムヒルト王家にいる私に継承権が残ってしまう。それだけは絶対に避けて。必ずベネディクト王にはわかって戴ける様にお話しするから。
……もし、モトキスがこの件で何か言ってきたとしても、私が勝手に出奔してしまった事にして」
「……貴女は全てを受け入れたのね……」
「……お母様?私はこれでも王家の人間よ?自分の使い途位わかってるわ」
エレオノーラ王妃はレイティア姫の肩をぎゅっと強く抱く。
「……嵐が終わらなければいいのに……」
一言そう言うと、王妃は一筋の涙を流した。
そしてレイティア姫の方に向き直る。
向かい合い、肩を掴み、涙を流しながらレイティア姫に微笑んだ。
「貴女を誇りに思うわ、レイティア。貴女はこの国の宝よ。例えグリムヒルトに行ってしまっても、それは変わらないわ」
「お母様……」
エレオノーラ王妃はレイティア姫をぎゅっと抱きしめた。
母親に抱きしめられて、レイティア姫もポロポロと涙が溢れ出て来た。
きっとこの温もりを感じる事は最後だろう。
「お母様ぁ……」
レイティア姫は母親の背中に腕を回す。
「軍師の仰り様は最初から貴女が目的の様に思うの。だからきっとグリムヒルトに行ってしまっても少なくとも軍師からは無下にされる事はないでしょう」
「……はい……」
レイティア姫はそのまま母親に抱きしめられて、泣き続ける。
「姉上……」
そしてその一部始終をテオフィル王子は扉の影から見守っていた。
◇◇◇
「ふざけるな!」
へリュは珍しく声を荒げ、夫を怒鳴りつける。
「……そうしてお前が声を荒げるのも、初めて見たぞ」
腕を組み、壁に背を預けて、妻の怒声を受け流す。
「当たり前だ! お前は自分のした事がどういう事かわかっているのか!」
嵐の雨音や風の激しく吹き荒れる風切り音も掻き消える位に大声で夫に詰め寄る。
「ああ。一国の王女の人生を大きく捻じ曲げた」
夫は飄々と言って退けた。
そのあまりの態度にへリュは更に激昂する。
「私をダシに、人一人の人生を捻じ曲げる事はお前にとってそこまで軽い事かっ!」
夫はそれを受けて真面目な顔つきでへリュを見た。
「軽くなどない」
「ならば何故っ!」
へリュは今にも掴みかからんばかりの勢いで夫に更に詰め寄る。
「あの王女なら、陛下も気にいると思った」
「何故だ! 根拠は!」
「お前は不快に思うだろうが、陛下とお前の気質はよく似ている。そのお前があの王女と穏やかに話すのを見て、思った。陛下の御心にも何かもたらすのではないかと」
「そんな理由であの王女をこの国から取り上げるつもりか! そんなものはマグダラスには一切関係がないだろう!」
「ああ。だがグリムヒルトには必要だ。
……近頃特に陛下は玉座に飽いておられる……。政に一切興味を持って下さらない……」
「それが! あの王女に一体どんな関係があるというんだ!」
「正直もう万策尽きた。陛下は何をしても動いて下さらない。即位から2、3年の間はなんとか務めて頂けたが、それ以降は何をどう言っても、冗談めかして我らに謀反を起こしてお前達の内の誰かが王になればいいなどと仰る」
実際、ベネディクト王は政務に関心がなく、殆どの時間を自室に引きこもり主に読書をし、
気が向いた様に剣を握り、軽く稽古などをして過ごしている。
子を残すつもりもないのか、もう何年も前から妾妃の誰の元にも渡ってすらいない。
「私には全てを閉ざし、王である事、それ以前に生きる事すら飽いてしまわれた様に見える」
「……」
妻は射殺すように夫を睨みつけ、その言葉を黙って聞いている。
「……もうお手上げなんだ。私にはどうする事も出来ない。……何か少しでもきっかけが欲しい。あの王女に賭けてみたい」
「……私があの王女に心を開いたからと言って、あの男が同じ様に感じるとは限らないだろう……」
「そうだな。だからこれは本当に賭けだ」
「そんな下らぬ博打に! あの善良な王女を巻き込むな!」
「お前の怒りは尤もだ。私とて理解している。もしも、あの王女に陛下が何も心を動かされなかった場合、私は陛下の元を去る」
へリュは言葉に詰まる。
自分の夫がベネディクト王にどれほど心酔し、どれほど忠義を誓っているかをよく知っている。主の元を去るという事は、軍師の職も辞して領地に篭るという事だ。
「もし王女を他の妾妃同様に扱われたなら、私が後ろ盾になり、即廃妃にして、良い嫁ぎ先を探す。本人が望むならばマグダラスに帰す手筈も整える」
夫は姿勢を正す。そして真っ直ぐへリュに向き直り、真剣な面持ちで訴えた。
「頼む、へリュ。あの王女に賭けさせてくれ」
その夫の様子にへリュは気概を削がれた。
「…………せめて、一旦国に戻り、あの男を説得して正式に申し入れるという事は出来ないのか?」
「無理だ。陛下を説得するのも難しければ、マグダラスを頷かせる事も難しい。どちらも受け入れない。……それに良い品はすぐに売れる。これは世の理だ」
しばしの沈黙の後、へリュは夫を睨んで宣言する。
「……もし、あの男が王女をぞんざいに扱うならば、私もお前と離縁する。国向きがどうだとか関係なく、私がマグダラスに連れ帰る。グリムヒルトにはもう戻らない」
「……わかった。それでいい」
へリュは慚愧の念に、拳を強く握った。
10
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!
柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる