人質同然だったのに何故か普通の私が一目惚れされて溺愛されてしまいました

ツヅミツヅ

文字の大きさ
185 / 200

185

しおりを挟む
 その掲げられた旗の紋章から、それに軍師が乗っている事はわかった。
 その軍船が取り囲んでる商船風の武装船は、バリスタで矢を放ち、船員達が弓を引いている。
 軍師の船はそれに応戦する事無く、ただ防御に徹している。
 取り囲む武装船の中で最も大きく最も豪奢な船の船首に大きな炎球が浮かんでいる。そしてその下には人影が小さく見えた。
 あれはレイティアだ。
 そう確信した瞬間、炎は突如消える。
 そして小さく見えていたその人影は、海に飛び込んだ。
「レイティアめ、早まったか!」
 儂は思わず大声を上げる。
 距離が遠すぎるこの場では一緒に飛び込んでも助けてやれない。
 すると、空から蒼白銀の光の塊が一筋の尾を描いて、レイティアの飛び降りた海面を滑る様に駆けた。
 光の塊は再び空に舞い上がり、弧を描いてひらひらと遊ぶ様に舞った。
 しばらく宙に浮いて静止すると、その光の塊はこちらを目指した。
 王軍の兵士達は光の塊に弓をつがえたが、儂はそれを制する。
 徐々に近づくその蒼白銀の光の塊は大きな獅子の獣の姿をしていて、レイティアをその背に乗せていた。
 獅子の背に乗ったレイティアは真っすぐに儂を見つめている。
 儂とレイティアの目は随分と遠くから合っていた。
「陛下!」
 レイティアから儂を呼ぶ声が上がる。
 その声は弾んでいて、喜色がありありと感じられた。
 目の前に儂の目の位置よりも高い所にレイティアの目がある。
 こんな風にレイティアを見上げた事はあまりない。見下ろしてくるレイティアは頬を紅潮させ、清廉な瞳を潤ませていた。
「……陛下」
 レイティアの手を取る。
 レイティアは儂にその体重を預け、儂の目の前に降り立った。
「……陛下? ご心配おかけしました」
 小首を傾げていつもの様に見上げてくるレイティアを、これ以上ないほど抱きしめる。
 そして我を忘れるほど、その唇に吸い付き、舌を這わせ、絡めた。
 レイティアは必死で身を捩り、儂の胸を叩き、抵抗したが儂はやめる気になれなかった。
 そのまま強く抱き込み、更に唇を密着させてその吐息をも奪ってやる。
 しばらく抵抗していたレイティアは徐々にそれを諦めたのか、儂にしがみつき、身体の力を抜いた。
「……ん……っ」
 息の限界が来たのか、また抵抗を始め出したので、一旦離れてやる。
 そしてそのままレイティアを抱きとめて、皆に命じた。
「あの商船の者達は皆生け捕りにしろ。ラヤラ、後は軍師の指示に従え」
「は~~い」
 儂はレイティアを抱き上げて、儂の船室に向かう。
「あの、陛下? 私いっぱいお話ししたい事があるんです、まずですね」
「五月蠅い」
 歩いている間、何やら喋っていたのでまた唇を奪って黙らせてやると、やはり抵抗をする。
「んっ……! ぅ……ん……っ!」
 顔を背けようとしているが頭を片手で抱え込んで阻止してやる。
 レイティアはこうして抵抗していても、決して儂を傷つけようとはしない。
 交わっている最中でも、爪を立てられた事は一度もなく、必死でシーツや手を握っている。
 儂はいつもそのレイティアの理性を飛ばしてやりたくなり、ついムキになってしまう。
 特に今日はその悪い癖が我慢出来そうにない。
 とてもではないが、理性など保てないだろう。
 唇を拘束したまま船室の扉を開く。
 ドアノブに手をかけた事でレイティアの頭から手が離れ、やっとの事でレイティアは顔を反らす。
 今度は空いた首筋に吸い付いてやった。
「あ……っ! ん……っ あ、ダメ、いや……、陛下……」
 儂はレイティアの首筋を丹念に吸い上げる。
 レイティアの耳輪に吸い付きながら、ベットの上に押し倒した。
「ああ……! 待って、待って下さい、陛下! 今はホントにダメ!」
 儂の肩を押しながら、必死で抵抗する。その抵抗が更に儂を煽った。
「戦をした。昂っておる。相手をせよ」
 その言葉に眉を下げてレイティアは拒否する。
「陛下? 今は国の大事の時です。後でいくらでもお望みにお応え致します。ですから今は……」
 レイティアの言葉を待たずに服を脱がしにかかってやる。
「あっ……! ダメ! イヤです! 陛下!」
 逃げる様に身を反らしてベッドの中心からズレていくレイティアを力任せに引き戻す。
「逃げるな」
「お願いです! 陛下! やめて! お願いします!」
四つ這いになり、逃げようとするレイティアの腰帯をするりと解いてやる。
「ダメ! お願いです……陛下、イヤ! やめて下さい!」
 後ろを振り返り、瞳に涙を溜めて、必死に儂に抗おうとする。
 そんなレイティアの後ろから覆いかぶさって、今度は腰の細紐を解いてやった。
 儂の腕を押さえて、それを必死に止めようと足掻く。
「ダメ! ダメなの! 今はイヤなの! お願いします、陛下!」
 後ろから首筋に吸い付いて、胸を揉みしだいてやる。
 まさぐると指先に固くなったレイティアの胸の小さな蕾が触れた。
「あ……! あ……」
 レイティアのこれはかなり感じやすい。
 この蕾を虐めてやると、結局いつも流される様に儂の意に従う。
「……あぁ……、ダメ、ダメなの……、今は、こんな事、してちゃダメなのっ……!」
 体を仰け反らせて、感じているらしいのに今日は流されまいと必死に抵抗する。
 蕾を弄る儂の腕を懸命に払い除けようとする。
 首筋に吸い付き、儂のものである証を刻んでやる。
「ああ! イヤ! お願い! やめて!」
 レイティアのズボンを脱がせる。粗野な旅装束の頑丈な麻の服は肌触りも悪く、レイティアの柔肌を擦って少し赤みを帯びさせていた。
 さっさとその様な物は取り払って、儂だけが知る、一糸纏わぬ姿で泣き濡れるレイティアを見たい。

 いつもと違い、必死に抵抗するレイティアは、儂にはこれ以上ないほど蠱惑的に映った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

イケメンとテンネン

流月るる
恋愛
ある事情から、イケメンと天然女子を毛嫌いする咲希。彼らを避けて生活していた、ある日のこと。ずっと思い続けてきた男友達が、天然女子と結婚することに! しかもその直後、彼氏に別れを告げられてしまった。思わぬダブルショックに落ち込む咲希。そんな彼女に、犬猿の仲である同僚の朝陽が声をかけてきた。イケメンは嫌い! と思いつつ、気晴らしのため飲みに行くと、なぜかホテルに連れ込まれてしまい――!? 天邪鬼なOLとイケメン同僚の、恋の攻防戦勃発!

ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています

木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。 少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが…… 陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。 どちらからお読み頂いても話は通じます。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

処理中です...