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アサとリアの過去編

憎しみから信頼へ

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「まあ、誰の娘ってわかってたんだよな?
お前達 」

アリアファミリー、その有名差は
世界を超える程に有名らしく、そこの幹部
であるライと言う男は決して敵に回しては
いけない存在なのである

「ライ アーガイル 嘘だろ……!! 」

6人の男はひどく後悔した、もう謝っても
許される問題ではない

「なら…… 殺してやる 」

追い込まれた人間はヤケになり、前に前に
突っ込んでくる……もうそこが地獄の一歩
だってのによ

「撃て!! 」

そう言うと、ライの後ろから大量の
マシンガンが飛び出し、その6人を撃った
そして、その男達は蜂の巣と化した

「ふぅ~~ 」

辺りを見回す、そうすると目の前には
アサが立っていた

「お姉ちゃん……? 」

リアが心配そうにアサを見つめる。

ライに向かって歩いてくる、そして
アサはライの胸元に飛びかかる勢いで
ライを抱き締めた

「ぅぅ…… 」

「ケガはしてないか? 」

「ぅぅ……こわかった…… こわかったよ 」

はじめて見せた涙、余程こわかったのだろう
いつも冷静ぶってるけどまだまだガキなん
だな……。

「こわかった…… うああああああ 」

泣き叫ぶアサを優しく更に抱き締める

「ごめんな……遅くなって 」

その光景を見たリアも泣いた、そして
一緒にライの方に行き
リアはライを抱き締めた

「うああああああああああああ 

怖かったんだな……。

「大丈夫だ!俺がお前らを守るから 」

初めて見たアサの涙、それは信頼した
と言う事でいいんだろうか?

それとも……たまたまアサの勢いのままの
感情に過ぎないのだろうか?

そんなのはどうでもいい
2人がこうして生きている、それだけで
奇跡なんだ。

なぁ?神様よ、この世界はまだ醜くなんか
ないよな?だってよ…… 彼女達はまだ息を
して、未来を見つめ、同じ時間を過ごして
るんだから…… まだクサってはないはずだ。

俺は2人を連れ、外に出た。

勝手な俺の言動、そんな安易な気持ちで
俺は彼女達を育てると言った、もし万が一
彼女達が俺無しで生きられなかったら……
もし、俺の身勝手な行いのせいで、彼女達を
今以上に辛くなる状況に追いやってしまった
ら……それで、命の危機的な場面に……。

俺を殺したいと思ってる奴らは、五万と
いる。

「うん…… 」

まだだと抗う、ウチに俺はもしかしたら
彼女達を苦しめるかも知れない、彼女達を
育てると言ったんだから……。

「アサ 俺はお前の存在価値になれた
かな?」

そう、ライが言うと…… アサは恥ずかしそ
うにライから視線を逸らした

「うん…… 多分だけど なれたん
じゃないかな? 」

まだ、ぎこちない、だけどいつの日か
彼女達が自然と笑える日々が来るなら
俺は、その日を待つ。

「リア 俺は お前の存在価値になれた
かな? 」

同じ言葉、ただ繰り返した、俺は確かな
言葉が欲しかった

それは 「愛してる 」とか 「ここに居たい 」
とかじゃなくて、ただ「うん。 」と言う
短くて、聴きやすい言葉が。

「うん…… なれたよ お父さん 」

そう、2人の声が聞こえてきた
「うん」と言うただ短い言葉に過ぎないけど
俺はそれで充分だった

「ありがとうな…… 」

涙で溢れて居た、俺の全てがお前達に
届いてくれてる気がして……。

「お父さん……って私も呼んでいいかな? 」

アサがライにそう言った、そうすると
ライは更に泣き出した、そしてアサを抱き締めた……。

「娘達よ!! 俺は最高に今幸せだ!! 」

そんなに悪くない世界、今俺は夕日を
バックにアサとリアを抱き締めた

「私達も幸せ!!!! ね?お姉ちゃん 」

「うん…… 」

これから少しずつ、俺は彼女達の中にある
氷を徐々に溶かしていく

「お父さん お腹すいたよ 」

そして、ライは手を差し伸べ
アサとリアを「我が家 」へと連れて行く

「おぅ!! 美味いもの作ってやるよ 」

お互いがお互いを信頼し合えば、それで
いい…… 絶対にお前達を裏切る真似はしない

「やったー!! 」

「うん…… 」

喜ぶ2人をライは隣で見ている
まるで幼い子を見るように……。

そして、ライは夕日の中アサとリアの
手を引き街を歩いて行く、風は穏やかで
街には灯りが差し込み、人々は賑わい

「安いよ!!林檎がなんと3個で
3ドルだよー!! 」

活気に溢れていた

「お兄さん!今日二人いい娘ついて
120ドル どうかな? 」

「んー 迷うな 」

ただ短いか、長いかはわかんないけど
人生を俺は楽しむことにした、そして
そんな俺のたった一回の人生の中で、
お前達と出会えた……。

「ただそれだけで満足なんだ 」

人から見たらただの偽善者に過ぎない
行為に過ぎないのかも知れない。

そして、残酷な結末と言う物は
案外すぐ近くにあった

「おいコラ!!!!  」

目の前に現れたのは、グラサンを付けた
どこかのマフィア崩れっぽい奴だった

「ぶち殺してやるよ!! 」

そして、マフィア崩れの男は
ライを刺した、そしてライは二人を庇う
ように倒れた。

「あっはっはっはっはっ、俺がライを
殺した!! アリアファミリーの最高幹部を
殺したぞ!!!! あっはっはっはっはっはっ
はっはっはっはっ!!! 」

そのマフィア崩れは、その場を笑いながら
去って行った

「…… 」

「…… 」

何も言葉が浮かんで来ない二人。
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