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あなたの妻になる
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邸内の案内と使用人の紹介が終わり、ロクサーヌは自室で休んでいた。
そこに、侍女長のノックの音が響く。
「それではロクサーヌ様。本日よりお世話をさせていただく、専属の侍女たちをご紹介いたします」
扉の外から、三人の若い女性が入ってきた。それぞれがきちんと一礼し、床に届くほど深くスカートの裾を落とす。
クラリスが順に紹介する。
「こちらはリゼット。お身の回り――特にお召し物の管理を担当いたします」
一歩前に出たリゼットは、金茶の髪をすっきりとまとめた、快活な印象の娘だった。
「お仕えできて光栄です、ロクサーヌ様。お好きな香りや生地の好みなど、ぜひ教えてくださいませ」
「ええ、ありがとう。よろしくね、リゼット」
ロクサーヌがにこやかに返すと、リゼットの頬が少し赤くなる。
「続いて――マルグリット。お食事やお茶の準備、客人応対を任せております」
栗色の髪のマルグリットが、丁寧に一礼した。控えめな笑顔だが、その手の動きには迷いがない。
「お口に合う紅茶を見つけるのが得意です。……お気に召していただけるよう、頑張ります」
「まあ、楽しみにしているわ。よろしくね、マルグリット」
侍女長は、最後のひとりに目を向けた。
「そして――エマ。掃除や寝室の管理、夜間のお世話を担当いたします」
年若いエマは、緊張した面持ちで小さく頭を下げる。
「は、はい……! まだ未熟ですが、精一杯つとめさせていただきます!」
その声の素直さに、ロクサーヌは思わず口元をやわらげた。
「大丈夫。最初から完璧な人なんていないわ。……一緒に頑張りましょうね、エマ」
三人の侍女が一斉に微笑む。部屋の空気が、ふっと温かくなった。
侍女長が小さく頷き、ロクサーヌに向き直る。
「この者たちは皆、アルベール様ご自身が選ばれた者たちです。“信頼できる人間を、我が妻の傍につけろ”と、旦那様に命じられまして」
「……まあ、アルベール様が?」
ロクサーヌは、彼の意外な一面に触れた気がした。
「はい。若旦那様は、ロクサーヌ様を大切に思っておられますよ」
「…………そう、かしら」
小さく呟いたロクサーヌの頬が、十六歳の少女らしく、ほんのりと染まる。
その時、窓から吹き込む風が、レースのカーテンを大きく揺らした。
専属の侍女三人の紹介が済み、扉近くに控えていたひとりの娘が、ゆるやかに一歩前へ出る。
「そして……こちらは、奥様のご友人からの紹介で入りました、侍女のセリーヌです。かつては男爵家の令嬢でございましたが、事情あって当家にて務めております」
ロクサーヌは、わずかに眉を上げた。
「……男爵令嬢?」
セリーヌは、完璧なカーテシーで頭を下げる。金の髪が波打ち、真珠のような微笑を浮かべて。
「お目にかかれて光栄ですわ、ロクサーヌ様。お噂は耳にしておりました――聡明で、美しく、誰もが憧れる王子妃候補……だったとか」
その声は柔らかく、けれどどこか――甘く絡みつくような響きを帯びていた。
ロクサーヌは、微笑みで応じる。
「まあ。どんな噂なのかしら、ふふ。よろしくね、セリーヌ」
その時、廊下の向こうから、アルベールが家令を呼ぶ声が響いた。
セリーヌの瞳が、ほんの一瞬だけ廊下へ向く。
その刹那で、ロクサーヌは悟った。
(……この娘、アルベール様に興味があるのね)
だが、それを表には出さない。王子妃教育を受けた侯爵令嬢らしく、ただ上品に微笑む。
(セリーヌの母は、後妻エリザベートの学友……なるほど。ただの侍女ではないわけね)
侍女長が空気の緊張を察し、すぐに話題を切り上げた。
「それでは皆、下がってちょうだい。ロクサーヌ様がお疲れです」
「「「はい、侍女長」」」
三人の侍女とセリーヌが、礼をして退出する。
扉が閉まる直前、セリーヌだけが、もう一度振り返った。――まるで「アルベールは渡さない」と言わんばかりの、鋭い眼差しで。
ロクサーヌは、カーテン越しの光を見つめ、小さく息を吐く。
「……屋敷の中にまで遊び相手がいらっしゃるのね」
その声には、わずかな皮肉と――ほんの少しの落胆が滲んでいた。
ロクサーヌがベルネール伯爵家で暮らし始めて、ひと月が過ぎた。日々は穏やかで、だがどこか緊張感を孕んでいる。
婚姻に向け、二人は互いの意思を確認し合った。
「わたくしは、この屋敷で生きていく覚悟はできていますわ。――一人で、立派に」
「俺もだ。君となら、どんな困難も乗り越えられる気がする」
そして正式に、書類上では二人は夫婦となった。だが、結婚式はなかった。両家の会食の場さえ、設けられなかった。
ロクサーヌは、心の奥で静かに誓う。
(……形だけの夫婦でも、私は幸せになる。必ず。誰よりも)
アルベールは、そんな彼女を見つめ、軽く微笑んだ。
「これで君は、俺のものだ」
その声は甘く、温かく、ロクサーヌをふわりと包み込む。
――今日、正式にロクサーヌは、ベルネール伯爵家嫡男アルベールの妻となった。
ベルネール伯爵邸の夜更けは、すでに灯りを落とし、静寂に包まれていた。
ロクサーヌは寝室の長椅子に腰掛け、膝の上に薄手のショールを置いたまま、窓辺を眺めていた。
月明かりが、レースのカーテン越しに淡く床を照らしている。
――眠れない。
理由は分かっていた。昼間のことだ。
廊下の奥で、ふと耳にした低い声。アルベールが家令に何かを指示していた、あの短いやり取り。
内容など、覚えていない。ただ――その声に、応える女の気配があった。
(……セリーヌ)
名前を思い浮かべただけで、胸の奥がわずかにざわめく。
ロクサーヌは、自分の手を見つめた。きちんと整えられた指先。王子妃教育の中で、「感情は制御するもの」と叩き込まれてきた証。
(私は……何を、気にしているの?)
書類上とはいえ、夫婦になった。アルベールは私の夫だ。今日も、私に向ける視線は穏やかで、独占的で、どこか甘い。
――なのに。 ロクサーヌの脳裏に浮かぶのは、自分の知らない場所で生きてきた彼の時間。
学院時代の過去の婚約者。そして、今も屋敷の中に存在する女の影。
「……馬鹿ね」
小さく呟く声は、誰にも届かない。
嫉妬など、取るに足らない感情だと教えられてきた。政治には不要で、誇りには相応しくない、と。
けれど――
(私は、アルベール様の“妻”なのよ)
その言葉が、胸に落ちた瞬間。思っていた以上に、重く、熱を持った。彼の過去に、割り込めないこと。彼の視線が、自分以外に向く可能性があること。
それが、こんなにも――
ロクサーヌは立ち上がり、鏡の前に立つ。そこに映るのは、落ち着いた色の寝間着に身を包んだ、美しい少女。侯爵令嬢としても、伯爵夫人としても、申し分ない姿。
けれど、鏡の中の瞳だけが、少しだけ揺れていた。
「……私は、欲張りなのね」
ロクサーヌは灯りを落とし、寝台へと身を横たえた。
月明かりの中で、そっと目を閉じる。
それは、ロクサーヌが初めて、妻として抱いた淡い嫉妬の感情だった。
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そこに、侍女長のノックの音が響く。
「それではロクサーヌ様。本日よりお世話をさせていただく、専属の侍女たちをご紹介いたします」
扉の外から、三人の若い女性が入ってきた。それぞれがきちんと一礼し、床に届くほど深くスカートの裾を落とす。
クラリスが順に紹介する。
「こちらはリゼット。お身の回り――特にお召し物の管理を担当いたします」
一歩前に出たリゼットは、金茶の髪をすっきりとまとめた、快活な印象の娘だった。
「お仕えできて光栄です、ロクサーヌ様。お好きな香りや生地の好みなど、ぜひ教えてくださいませ」
「ええ、ありがとう。よろしくね、リゼット」
ロクサーヌがにこやかに返すと、リゼットの頬が少し赤くなる。
「続いて――マルグリット。お食事やお茶の準備、客人応対を任せております」
栗色の髪のマルグリットが、丁寧に一礼した。控えめな笑顔だが、その手の動きには迷いがない。
「お口に合う紅茶を見つけるのが得意です。……お気に召していただけるよう、頑張ります」
「まあ、楽しみにしているわ。よろしくね、マルグリット」
侍女長は、最後のひとりに目を向けた。
「そして――エマ。掃除や寝室の管理、夜間のお世話を担当いたします」
年若いエマは、緊張した面持ちで小さく頭を下げる。
「は、はい……! まだ未熟ですが、精一杯つとめさせていただきます!」
その声の素直さに、ロクサーヌは思わず口元をやわらげた。
「大丈夫。最初から完璧な人なんていないわ。……一緒に頑張りましょうね、エマ」
三人の侍女が一斉に微笑む。部屋の空気が、ふっと温かくなった。
侍女長が小さく頷き、ロクサーヌに向き直る。
「この者たちは皆、アルベール様ご自身が選ばれた者たちです。“信頼できる人間を、我が妻の傍につけろ”と、旦那様に命じられまして」
「……まあ、アルベール様が?」
ロクサーヌは、彼の意外な一面に触れた気がした。
「はい。若旦那様は、ロクサーヌ様を大切に思っておられますよ」
「…………そう、かしら」
小さく呟いたロクサーヌの頬が、十六歳の少女らしく、ほんのりと染まる。
その時、窓から吹き込む風が、レースのカーテンを大きく揺らした。
専属の侍女三人の紹介が済み、扉近くに控えていたひとりの娘が、ゆるやかに一歩前へ出る。
「そして……こちらは、奥様のご友人からの紹介で入りました、侍女のセリーヌです。かつては男爵家の令嬢でございましたが、事情あって当家にて務めております」
ロクサーヌは、わずかに眉を上げた。
「……男爵令嬢?」
セリーヌは、完璧なカーテシーで頭を下げる。金の髪が波打ち、真珠のような微笑を浮かべて。
「お目にかかれて光栄ですわ、ロクサーヌ様。お噂は耳にしておりました――聡明で、美しく、誰もが憧れる王子妃候補……だったとか」
その声は柔らかく、けれどどこか――甘く絡みつくような響きを帯びていた。
ロクサーヌは、微笑みで応じる。
「まあ。どんな噂なのかしら、ふふ。よろしくね、セリーヌ」
その時、廊下の向こうから、アルベールが家令を呼ぶ声が響いた。
セリーヌの瞳が、ほんの一瞬だけ廊下へ向く。
その刹那で、ロクサーヌは悟った。
(……この娘、アルベール様に興味があるのね)
だが、それを表には出さない。王子妃教育を受けた侯爵令嬢らしく、ただ上品に微笑む。
(セリーヌの母は、後妻エリザベートの学友……なるほど。ただの侍女ではないわけね)
侍女長が空気の緊張を察し、すぐに話題を切り上げた。
「それでは皆、下がってちょうだい。ロクサーヌ様がお疲れです」
「「「はい、侍女長」」」
三人の侍女とセリーヌが、礼をして退出する。
扉が閉まる直前、セリーヌだけが、もう一度振り返った。――まるで「アルベールは渡さない」と言わんばかりの、鋭い眼差しで。
ロクサーヌは、カーテン越しの光を見つめ、小さく息を吐く。
「……屋敷の中にまで遊び相手がいらっしゃるのね」
その声には、わずかな皮肉と――ほんの少しの落胆が滲んでいた。
ロクサーヌがベルネール伯爵家で暮らし始めて、ひと月が過ぎた。日々は穏やかで、だがどこか緊張感を孕んでいる。
婚姻に向け、二人は互いの意思を確認し合った。
「わたくしは、この屋敷で生きていく覚悟はできていますわ。――一人で、立派に」
「俺もだ。君となら、どんな困難も乗り越えられる気がする」
そして正式に、書類上では二人は夫婦となった。だが、結婚式はなかった。両家の会食の場さえ、設けられなかった。
ロクサーヌは、心の奥で静かに誓う。
(……形だけの夫婦でも、私は幸せになる。必ず。誰よりも)
アルベールは、そんな彼女を見つめ、軽く微笑んだ。
「これで君は、俺のものだ」
その声は甘く、温かく、ロクサーヌをふわりと包み込む。
――今日、正式にロクサーヌは、ベルネール伯爵家嫡男アルベールの妻となった。
ベルネール伯爵邸の夜更けは、すでに灯りを落とし、静寂に包まれていた。
ロクサーヌは寝室の長椅子に腰掛け、膝の上に薄手のショールを置いたまま、窓辺を眺めていた。
月明かりが、レースのカーテン越しに淡く床を照らしている。
――眠れない。
理由は分かっていた。昼間のことだ。
廊下の奥で、ふと耳にした低い声。アルベールが家令に何かを指示していた、あの短いやり取り。
内容など、覚えていない。ただ――その声に、応える女の気配があった。
(……セリーヌ)
名前を思い浮かべただけで、胸の奥がわずかにざわめく。
ロクサーヌは、自分の手を見つめた。きちんと整えられた指先。王子妃教育の中で、「感情は制御するもの」と叩き込まれてきた証。
(私は……何を、気にしているの?)
書類上とはいえ、夫婦になった。アルベールは私の夫だ。今日も、私に向ける視線は穏やかで、独占的で、どこか甘い。
――なのに。 ロクサーヌの脳裏に浮かぶのは、自分の知らない場所で生きてきた彼の時間。
学院時代の過去の婚約者。そして、今も屋敷の中に存在する女の影。
「……馬鹿ね」
小さく呟く声は、誰にも届かない。
嫉妬など、取るに足らない感情だと教えられてきた。政治には不要で、誇りには相応しくない、と。
けれど――
(私は、アルベール様の“妻”なのよ)
その言葉が、胸に落ちた瞬間。思っていた以上に、重く、熱を持った。彼の過去に、割り込めないこと。彼の視線が、自分以外に向く可能性があること。
それが、こんなにも――
ロクサーヌは立ち上がり、鏡の前に立つ。そこに映るのは、落ち着いた色の寝間着に身を包んだ、美しい少女。侯爵令嬢としても、伯爵夫人としても、申し分ない姿。
けれど、鏡の中の瞳だけが、少しだけ揺れていた。
「……私は、欲張りなのね」
ロクサーヌは灯りを落とし、寝台へと身を横たえた。
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それは、ロクサーヌが初めて、妻として抱いた淡い嫉妬の感情だった。
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