政略結婚した浮気男が、今さら本気で愛を囁いてきます!

恋せよ恋

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攻めるアルベール

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 アルベールの胸がぎゅっと締めつけられる。真剣に好きだと思っているのに、まだ彼女に触れられないもどかしさ――。
 ロクサーヌは、ちらりと彼の顔を見上げる。目が合い、心が震える。

 柔らかく、だけど甘すぎない、絶妙な距離感。アルベールは思わず息を飲む。美しく気高い。時に冷徹で、突然、年相応に可愛くもなる。そのギャップに、アルベールの手は自然と彼女の肩に触れそうになった。

「……ロクサーヌ」
 声が少し震える。思いが溢れて、理性と欲望が混ざり合う瞬間。

 しかしロクサーヌは、軽く手を払い、にこりと笑った。
「まだ早いですわ、旦那様。私たちは、焦る必要はありませんのよ」
(...... どうしたの、急に!色っぽすぎるわ)

 その上品な拒絶に、アルベールは息を呑む。焦らされるほどに、胸の奥がじんわり熱くなる。
 ロクサーヌの目が優しく、でも強く彼を見つめる――。この距離、この瞬間。二人の間に、甘く切ない緊張が漂った。

 アルベールの手が、ロクサーヌの腰のあたりに触れかける。
「……やっぱり、我慢できない」

 低く、震える声で囁くように。けれども、彼の瞳は真剣で、情熱に満ちている。

 ロクサーヌは一瞬、胸の奥がドキリと熱くなるのを感じた。こんなにも彼が自分を求めている――。だが、ふわりと微笑みながら軽く手を払い、優雅に一歩下がる。

「まだですわ、旦那様。焦ってはいけません」
(なに急に迫ってるの!無駄に色気をだすのはやめて!)

 その言葉に、アルベールは唇を噛む。悔しさと熱情が入り混じる。
「……君の言う通りだ。だが、我慢は……限界かもしれない」

 ロクサーヌは小さく息をつき、目を細める。
「焦る必要はないのですわ。こうして見つめ合えるだけで十分……嬉しいのです」
(白い結婚成立まで残り一年!どうしたのよ急に!)

 アルベールは思わず彼女を抱き寄せたくなる。
 しかし、ロクサーヌはすぐに体を少し逸らし、でもにこりと笑う――まるで小悪魔系の焦らし技。

 その上品な拒絶に、アルベールの胸はぎゅっと締めつけられる。
「……ずるいな、ロクサーヌ。君は、こんなに可愛いのに、どうして俺を焦らすんだ」

 ロクサーヌは笑みを崩さず、軽やかに答える。
「焦る必要はありませんわ、旦那様。私は、あなたをじっくり見守るのが好きですの」
( なに勝手に迫ってるのよ!他所で遊んでないからなの?いいのか、悪いのか複雑だわ )

 その言葉に、アルベールの心はさらに熱く揺れる――。アルベールは、胸の高鳴りに抗えず、そっとロクサーヌの手首に触れた。
 その瞬間、指先から伝わる温もりに、彼の心は一層揺さぶられる。

「……っ」 
 小さく息を漏らすロクサーヌを見て、アルベールの視線が鋭くなる。

「……君の手、柔らかい……」
 思わず口にしたその言葉に、ロクサーヌは小さく笑い、少しだけ頬を染める。
「ふふ……簡単に触らせると思ったら、大間違いですわ」

 アルベールは目を細め、くいっと指を絡める。
「でも……やっぱり、触れたいんだ」
 その声には、真剣な想いが滲んでいた。

 ロクサーヌは一瞬だけ戸惑うが、すぐに柔らかく目を細める。
「……ほんの少しだけなら、許して差し上げますわ」
 
 その言葉に、アルベールの心は跳ね上がる。二人の距離はますます近くなる。
 触れるか触れないかのぎりぎりで、ロクサーヌは甘く、しかし冷静にアルベールの熱を受け止める。

「……十九歳になったら、じっくり楽しませていただきますわ」
 初対面の日を彷彿とさせる、潤んだ美しいヘーゼルの瞳、小さく震えるピンクのぷるぷるの唇、胸の前で組まれた白く柔らかそうな手...... 完璧に計算された庇護欲を刺激する“儚げな美少女”。

 アルベールは思わず息を詰め、目を閉じたくなるほどの甘い緊張感に包まれた。ロクサーヌの柔らかさと、上品な挑発が、彼の理性を揺さぶる。

 ——初めて、ただの遊びではない感情が、アルベールの胸に芽生えていた。

 アルベールは思わずロクサーヌを強く抱き寄せた。
「……もう、我慢できない……!」
 その腕に包まれた瞬間、ロクサーヌの頬が一瞬赤く染まる。

 しかし、すぐに冷静な声が響く。
「アルベール様……! お手柔らかにお願いいたしますわっ」
 ロクサーヌは軽く押しのけ、距離をとる。
「まずは“手をつないでお出かけ“からですわ!いきなりなんて、甘いですわよっ」

 アルベールは唇を噛み、目を逸らす。
「……君は……やっぱり、ずるい……」
 その目には、嫉妬と焦燥が混ざる。

 翌朝。アルベールは昨夜のことを謝ろうとロクサーヌの執務室に向かう。廊下を歩くアルベールの目に、ロクサーヌの背中が小さく見える。

 真剣に仕事に向かう彼女の姿を見て、胸が苦しくなる。
「……僕があんなことをして……」
 後悔と切なさに押しつぶされそうになりながら、アルベールはそっとその背中を見送った。

 すれ違う二人の心。甘くて切ない恋の駆け引きは、今日も静かに伯爵邸で始まったばかりだった。
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