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【7】衰弱

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「魔力を失い、衰弱しておいでです。このままでは、命も危ぶまれます」

 レジーナを信頼できる医師に預け、後始末を終え様子を見に向かったところで告げられる。
 罪人の鎖を嵌められ、魔力を奪われていた。おまけに大掛かりな魔法を発動し、根こそぎ力を奪われている。助けに来たはずが、助けられてしまった自分が情けない。

「そうか」

 感情の宿らない声でなんとか言葉を返す。自分今どんな顔をしているかもわからなかった。もっと早く見つけられていたら、結果は変わっていただろうか。自分の無力さを呪う。

「この方をお救いしたいのなら、魔力供給が必要です」

 不足した魔力は外から補うことができる。体調を崩した者にはあらかじめ蓄えられた魔力を注ぐか、肌を触れ合わせることで他人に魔力を映すことができる。しかし医師の声は硬く、表情も深刻だ。

「しかし通常のものでは足りません。魂すらも結びつける覚悟が必要となりましょう」

 通常魔力を流したいのなら手を握れば事足りる。しかし命の危機にあってはとても供給量が足りない。もっと深く、身も心も繋がらなくてはレジーナの生命力が尽きる方が早いと言う。

「この方は陛下の大切な方でいらっしゃいますか?」

「ああ」

「陛下がそこまでお心を寄せる方であれば、魔力供給に手を上げる者は多いでしょう。ご決断を」

「彼女のことは俺に任せてくれ」

 覚悟なら最初から決まっている。もう一度、迷うことなく医師に答えていた。
 医師は丁寧に頭を下げて部屋を後にする。

「レジーナ」

 眠る彼女の傍に寄り、名を呼ぶ声の頼りなさに笑えてしまう。あの部屋で衣服を奪われていたレジーナは、今は薄く白いローブに身を包んでいる。元々の肌の白さもあり、もう目を覚まさないのではと不安になった。これが大国を担う王だというのだから情けない。
 昔彼女がそうしてくれたように、両手で投げ出された手を握る。すると硬く閉ざされていた瞼が震え、力の無い指先が僅かに動く。待ち望んでいたブルーダイヤモンドの瞳が開いた。
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