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【14】決着
「そっかぁ……あたし、おびき出されたんですね。あたしは主人公なのに、みんな酷いなぁ……このまま終わるなんて認めないんだから!」
リリスは忍ばせていた短剣で自らの手を刺した。
「いったぁ! でも、これで発動条件は揃ったわ」
リリスを中心に重苦しい空気が渦巻く。彼女の手から流れた血が魔方陣を描き、黒い光を放った。
「痛いし最後の手段と思ったけど、仕方ないわね」
アンセルはレジーナを背後に庇い、兵士が武器を構える。
「そんなことしても無駄よ。これは悪魔との契約、発動したら誰にも止められないわ。生贄はレジーナ・オルタヌス!」
リリスの放つ見えない力がレジーナに向けられる。
「あの女の魔力をあげる。だからあたしの願いを叶えて! あたしはこの国の女王になるの。誰よりも幸せになるのよ!」
高らかに叫ぶが、その野望が叶うことはない。リリスの発動した魔法はレジーナではなくリリスを取り巻いていた。
「え?」
間抜けなリリスの声が響く。わけがわからないという彼女にアンセルが追い打ちをかけた。
「自分よりも高位の術者に勝てるわけないだろう」
当然だとアンセルが言う。
「なんで……高位魔法の魅了が使えるあたしより、その女の方が強いって言うの!? そんなはずないでしょう。あたしは主人公なのよ!」
「お前が何を言っているのか俺には理解できないが、これが現実だ。レジーナはお前より優れた魔法使いだよ」
「ふざけたこと言うな!」
魔法陣は輝きを失い、禁術に手を染めたリリスの身体が透けていく。失敗したのなら、代償は術者の命だ。
「嘘……やだ、あたし消えちゃうの? そんなのいやぁ!」
「リリス・シャーリー」
取り乱すリリスを前にレジーナは随分と落ち着いていた。あれほど恐いと感じた存在がとても小さく思えた。
「レジーナ様! どうしよう、あたし消えちゃうなんて嫌です!」
レジーナが傍に来たことで希望を見出したリリスは反省もせずに頼ろうとする。どうしてそうも自分勝手でいられるのか。主人公であるという絶対の自信が彼女を歪ませてしまったのかもしれない。
「私の魔力はあの日々のおかげで強くなったわ。貴女を越えるほどにね。これでもう魔力量だけのオルタヌス家とは言えないでしょう」
「そんなことどうでもいいから、早く助けてよ!」
立ち上がろうとしても消えてしまった足では動けない。まるであの日の自分のように、なす術もなくリリスが見上げてくる。
「無理よ。こうなってしまったら誰にも止められない。それにあの日、助けてと願った私に貴女は何を行ったかしら?」
「え?」
リリスにとっては憶えてもいないことだろう。
「私の言葉に貴女は振り返らなかった」
「あれは、エドワード様が勝手にやったんです! あたしは反対して、レジーナ様が可哀想だって」
「そう。でも私は悪役令嬢だから、酷い女なのは貴女も知っているわよね」
「やだ、嘘ですよね? 見捨てたりしませんよね?」
涙をためた瞳で縋りつかれてもレジーナの心は動かない。そうやって今まで人の心を魅力してきたのだろうか。
「主人公なんてお呼びじゃないのよ」
これはゲームじゃない。辿る運命はやり直しのきかない現実。それをこれから思い知ればいい。
「違う、違う違う! こんなのおかしい。あたしは主人公なんだから、待って、いやぁぁ――」
リリスの叫びは不自然に途切れ、最初から存在しなかったようにその場から消えてしまった。
リリスは忍ばせていた短剣で自らの手を刺した。
「いったぁ! でも、これで発動条件は揃ったわ」
リリスを中心に重苦しい空気が渦巻く。彼女の手から流れた血が魔方陣を描き、黒い光を放った。
「痛いし最後の手段と思ったけど、仕方ないわね」
アンセルはレジーナを背後に庇い、兵士が武器を構える。
「そんなことしても無駄よ。これは悪魔との契約、発動したら誰にも止められないわ。生贄はレジーナ・オルタヌス!」
リリスの放つ見えない力がレジーナに向けられる。
「あの女の魔力をあげる。だからあたしの願いを叶えて! あたしはこの国の女王になるの。誰よりも幸せになるのよ!」
高らかに叫ぶが、その野望が叶うことはない。リリスの発動した魔法はレジーナではなくリリスを取り巻いていた。
「え?」
間抜けなリリスの声が響く。わけがわからないという彼女にアンセルが追い打ちをかけた。
「自分よりも高位の術者に勝てるわけないだろう」
当然だとアンセルが言う。
「なんで……高位魔法の魅了が使えるあたしより、その女の方が強いって言うの!? そんなはずないでしょう。あたしは主人公なのよ!」
「お前が何を言っているのか俺には理解できないが、これが現実だ。レジーナはお前より優れた魔法使いだよ」
「ふざけたこと言うな!」
魔法陣は輝きを失い、禁術に手を染めたリリスの身体が透けていく。失敗したのなら、代償は術者の命だ。
「嘘……やだ、あたし消えちゃうの? そんなのいやぁ!」
「リリス・シャーリー」
取り乱すリリスを前にレジーナは随分と落ち着いていた。あれほど恐いと感じた存在がとても小さく思えた。
「レジーナ様! どうしよう、あたし消えちゃうなんて嫌です!」
レジーナが傍に来たことで希望を見出したリリスは反省もせずに頼ろうとする。どうしてそうも自分勝手でいられるのか。主人公であるという絶対の自信が彼女を歪ませてしまったのかもしれない。
「私の魔力はあの日々のおかげで強くなったわ。貴女を越えるほどにね。これでもう魔力量だけのオルタヌス家とは言えないでしょう」
「そんなことどうでもいいから、早く助けてよ!」
立ち上がろうとしても消えてしまった足では動けない。まるであの日の自分のように、なす術もなくリリスが見上げてくる。
「無理よ。こうなってしまったら誰にも止められない。それにあの日、助けてと願った私に貴女は何を行ったかしら?」
「え?」
リリスにとっては憶えてもいないことだろう。
「私の言葉に貴女は振り返らなかった」
「あれは、エドワード様が勝手にやったんです! あたしは反対して、レジーナ様が可哀想だって」
「そう。でも私は悪役令嬢だから、酷い女なのは貴女も知っているわよね」
「やだ、嘘ですよね? 見捨てたりしませんよね?」
涙をためた瞳で縋りつかれてもレジーナの心は動かない。そうやって今まで人の心を魅力してきたのだろうか。
「主人公なんてお呼びじゃないのよ」
これはゲームじゃない。辿る運命はやり直しのきかない現実。それをこれから思い知ればいい。
「違う、違う違う! こんなのおかしい。あたしは主人公なんだから、待って、いやぁぁ――」
リリスの叫びは不自然に途切れ、最初から存在しなかったようにその場から消えてしまった。
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