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【14】★
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「大丈夫。絶対にあんたのことは傷つけたりしないから」
ビリッ――
布が避ける不穏な音に身体が冷えた。手際よく破られたドレスから素肌が覗き、カインの前に晒される。
「カイン!?」
「この服、ずっと気に入らなかったんだよね」
「私には、似合いませんでしたか?」
カインがくれた服だ。どう扱おうと彼に権利があるのかもしれないけれど、気に入っていたので落ち込みもする。
「あのねえ、俺が選んだんだよ。最高に似合うに決まってるでしょ」
ならどうしてという疑問が伝わったのだろう。どうやらカインはとても嫉妬深いらしい。
「あいつのために着飾ったことが許せないだけ。あんたと俺ので汚れちゃったし、もういらないかなって」
ルビアスのために着飾った姿をこの手で乱す。そうでなければ嫉妬で酷くしてしまいそうだ。醜い心を押し留め、カインは大切な存在を傷つけないよう細心の注意を払う。
美しかったドレスは無残な姿へと変わり果てた。しかしカインにとっては嫉妬の対象でも、シレイネにとってはやはり大切なものだ。残念に思っていると、そんな不満もすぐに感じ取られてしまった。
「心配しなくてもまた新しいものを贈るよ。それからこの肌も俺が手入れして、髪だって俺が結ってあげる。あんたに似合うものは、俺が誰よりもわかっているからね。それで今度は俺のために着飾ってよ」
「わ、私は、そういった心配をしていたわけではなく」
シレイネの視線が彷徨い、破れたドレスの胸元を隠そうとする。
「早く脱がせたくて乱暴にしちゃったけど、あんたを犯してるみたいでそそるね」
中性的とはいえ硬い男の指が、纏うもののない肌に沈む。
「んっ!」
胸がカインの手で形を変えていく。好き勝手に振る舞われても、酷い事をされても簡単に許してしまうのはカインだからだ。
「柔らかい」
「な、何を言って」
「全部俺のものなんでしょう? ここも、ずっと触れたかった」
見せつけるように主張を始めた先端をはじかれる。唇を寄せ、柔らかく歯を立てられると我慢の限界だった。
「ひぁっ! それは、だめです……」
「どうして?」
見せつけるように舐められ、手を伸ばして暴れても軽くあしらわれてしまう。
「いや、だめ……助け」
「誰に助けて欲しいの?」
残酷な囁きが聞こえる。
胸をいじめているのはカインなのに、同じ名前を呼びたくなってしまう。
けれどこの声を疑う必要はない。
(いつだって私を助けてくれたのは)
「カイン、カインにっ!」
「んっ、よくできました」
満足そうに、甘い囁きが落とされる。
涙を拭っていると、蜜口に擦りつけられたのは彼の昂ぶりだ。シレイネは困ったようにカインを見つめてしまう。
「だって俺、まだだし。あんたが可愛いのが悪いんだよ」
彼がまだ欲を吐き出していなかったことを思い出す。
濡れた陰茎を擦りつけられると、初めて知った熱を欲して迎え入れようとする。浮き出た筋とひだがこすれる度、もどかしさに震えた。
「やっ、なっ……?」
「はっ、気持ちい」
でも足りないと、お互いの火照った身体が告げていた。
「来て」
背中に手が回り、カインに抱き起こされる。腰を支えられたけれど、力が入らず中途半端な体勢は今にも崩れてしまいそうだ。片腕で身体を支えていると、今更ながらに肌を晒していることに羞恥を覚えた。そっと視線から逃れるように顔を背ける。
「恥ずかしくなっちゃった? いいよ。可愛いあんたのお願いだもんね。聞いてあげる」
本当は抱き合いたかったけれどと呟くカインに後ろを向かされる。
「カイン?」
うつ伏せに倒され、振り返りながら問いかけると、今度は背後から熱を擦りつけられた。
「口、開けて」
命令されると素直に頷いてしまう。無表情だと思っていた人は思いのほかあざとくて、見つめられると悪いことでも頷いてしまいそうだ。
無理やり唇を合わせながら、腹に回された腕に囚われて奥を突かれた。そこからは激しい動きではなかったけれど、密着しながらぐりぐりと中を遊ばれる。
「んんっーー!」
言葉さえ奪われながらも、執拗に追い詰められる。苦しくさに頭がいっぱいになり暴れても、背中に触れるカインの体温がそれを許さない。逞しい身体にのしかかられ、たまらず縋るようにシーツを掻くと、大きな手に覆われる。
まるでどこにも逃げ場はないと教え込まれるように。
ビリッ――
布が避ける不穏な音に身体が冷えた。手際よく破られたドレスから素肌が覗き、カインの前に晒される。
「カイン!?」
「この服、ずっと気に入らなかったんだよね」
「私には、似合いませんでしたか?」
カインがくれた服だ。どう扱おうと彼に権利があるのかもしれないけれど、気に入っていたので落ち込みもする。
「あのねえ、俺が選んだんだよ。最高に似合うに決まってるでしょ」
ならどうしてという疑問が伝わったのだろう。どうやらカインはとても嫉妬深いらしい。
「あいつのために着飾ったことが許せないだけ。あんたと俺ので汚れちゃったし、もういらないかなって」
ルビアスのために着飾った姿をこの手で乱す。そうでなければ嫉妬で酷くしてしまいそうだ。醜い心を押し留め、カインは大切な存在を傷つけないよう細心の注意を払う。
美しかったドレスは無残な姿へと変わり果てた。しかしカインにとっては嫉妬の対象でも、シレイネにとってはやはり大切なものだ。残念に思っていると、そんな不満もすぐに感じ取られてしまった。
「心配しなくてもまた新しいものを贈るよ。それからこの肌も俺が手入れして、髪だって俺が結ってあげる。あんたに似合うものは、俺が誰よりもわかっているからね。それで今度は俺のために着飾ってよ」
「わ、私は、そういった心配をしていたわけではなく」
シレイネの視線が彷徨い、破れたドレスの胸元を隠そうとする。
「早く脱がせたくて乱暴にしちゃったけど、あんたを犯してるみたいでそそるね」
中性的とはいえ硬い男の指が、纏うもののない肌に沈む。
「んっ!」
胸がカインの手で形を変えていく。好き勝手に振る舞われても、酷い事をされても簡単に許してしまうのはカインだからだ。
「柔らかい」
「な、何を言って」
「全部俺のものなんでしょう? ここも、ずっと触れたかった」
見せつけるように主張を始めた先端をはじかれる。唇を寄せ、柔らかく歯を立てられると我慢の限界だった。
「ひぁっ! それは、だめです……」
「どうして?」
見せつけるように舐められ、手を伸ばして暴れても軽くあしらわれてしまう。
「いや、だめ……助け」
「誰に助けて欲しいの?」
残酷な囁きが聞こえる。
胸をいじめているのはカインなのに、同じ名前を呼びたくなってしまう。
けれどこの声を疑う必要はない。
(いつだって私を助けてくれたのは)
「カイン、カインにっ!」
「んっ、よくできました」
満足そうに、甘い囁きが落とされる。
涙を拭っていると、蜜口に擦りつけられたのは彼の昂ぶりだ。シレイネは困ったようにカインを見つめてしまう。
「だって俺、まだだし。あんたが可愛いのが悪いんだよ」
彼がまだ欲を吐き出していなかったことを思い出す。
濡れた陰茎を擦りつけられると、初めて知った熱を欲して迎え入れようとする。浮き出た筋とひだがこすれる度、もどかしさに震えた。
「やっ、なっ……?」
「はっ、気持ちい」
でも足りないと、お互いの火照った身体が告げていた。
「来て」
背中に手が回り、カインに抱き起こされる。腰を支えられたけれど、力が入らず中途半端な体勢は今にも崩れてしまいそうだ。片腕で身体を支えていると、今更ながらに肌を晒していることに羞恥を覚えた。そっと視線から逃れるように顔を背ける。
「恥ずかしくなっちゃった? いいよ。可愛いあんたのお願いだもんね。聞いてあげる」
本当は抱き合いたかったけれどと呟くカインに後ろを向かされる。
「カイン?」
うつ伏せに倒され、振り返りながら問いかけると、今度は背後から熱を擦りつけられた。
「口、開けて」
命令されると素直に頷いてしまう。無表情だと思っていた人は思いのほかあざとくて、見つめられると悪いことでも頷いてしまいそうだ。
無理やり唇を合わせながら、腹に回された腕に囚われて奥を突かれた。そこからは激しい動きではなかったけれど、密着しながらぐりぐりと中を遊ばれる。
「んんっーー!」
言葉さえ奪われながらも、執拗に追い詰められる。苦しくさに頭がいっぱいになり暴れても、背中に触れるカインの体温がそれを許さない。逞しい身体にのしかかられ、たまらず縋るようにシーツを掻くと、大きな手に覆われる。
まるでどこにも逃げ場はないと教え込まれるように。
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