48 / 107
第1部
47話 東屋の記憶 前編
しおりを挟む
アドリアン様のエスコートで、庭園まで到着しました。
庭園は広大で、東屋や噴水なども点在しており、季節の花々で彩られています。
今は夏の昼下がり。天気が良く、青空はアドリアン様の瞳のように鮮やかです。
光も燦々と降り注いでいますが、あまり暑くありません。
あちこちに風属性魔法の魔道具が設置されているからでしょうか?
考えていると、アドリアン様に優しく語りかけられました。
「こっちだ。もう少しだけ歩いて欲しい」
「わかりました」
迷いのない、しかし私の歩調に合わせた足取りに微笑みます。
そして私は、九年ぶりに訪れた庭園について思いを馳せました。
九年前の春、【蕾のお茶会】の会場となったこの庭園は、王城に複数ある庭園の一つです。入城を許された者ならば散策が許されているので、私たち以外の人影もちらほらありますが、とても静かです。
今の季節、目を引くのはあの八重咲の向日葵と黄緑色のダリア。
そして、色とりどりの夏薔薇たちです。
よかった。ここに植えられていた薔薇は大切にされているのね。
アーチに伝う赤薔薇も見事に咲いています。少し安心しました。現在、王都の主だった通りでは薔薇が排除されているので。
特に赤薔薇は一輪も見かけません。
【夏星の大宴】が終わっても、しばらくは続くようですね。仕方ないとはいえ、徹底しています。
それだけ、両陛下と王太子殿下の怒りが激しいということなのでしょうが。
薔薇、特に赤薔薇を排除している理由は明確です。名前に薔薇を冠し、赤髪赤目のアンブローズ侯爵家を思わせるからでしょう。
また、同じく赤目を特徴とするルビィローズ公爵家への牽制も兼ねているに違いありません。
王族のお三方は、ルビィローズ公爵家と嫡孫のガスパル様に対する処罰は無いと仰っていました。しかし、代償が無いわけでも信頼が完全に回復したわけでも無いでしょう。
お三方は身内にはお優しい。ですが、為政者としての苛烈さも伴われているのですから。
でなければ、元アンブローズ侯爵家はあそこまで見せ物にされず、尊厳を奪われることもなかったでしょう。
いずれにせよ、ただ名を同じとするだけの花に罪はないのに。お気持ちと政治的な意図は理解できるけれど……。
薔薇と薔薇を扱う農家や商会を思うと複雑です。
「ルルティーナ嬢、なにかあったのかな?」
「いいえ。赤薔薇が綺麗で見惚れていただけです」
「赤薔薇……」
アドリアン様が顔をしかめるので、腕を引っ張って注意しました。
「花に罪はありません。名前が同じだとか色が似てるからと言って、いたずらに嫌っては可哀想です」
アドリアン様まで、いたずらに美しい花を嫌って欲しくない。ただそれだけの私の我儘です。
鮮やかな青い瞳が驚きに見開かれます。
「君は薔薇を見ても不快にはならないのか?」
「はい。むしろ綺麗で好きですね。たくさん品種があるのも興味深いです」
「ははっ!そうか!確かに花に罪はないし綺麗だね」
鮮やかな青い瞳が、今度は嬉しそうに細められます。
「……君は九年前と変わらず、強くて気高い人だ」
九年前の【蕾のお茶会】のことでしょう。私はやはり、アドリアン様が【お茶会のお兄様】である気がしてなりません。事件の目撃者の一人という可能性もまだ残っていますが……。
聞こうとする前に、アドリアン様に東屋に入るよう促されました。
東屋の中にはテーブルと椅子があり、私たちは向き合って座ります。
あら?この東屋は……。
「懐かしいね。君と初めてお茶をした東屋だ」
パッと、九年前の記憶がよみがえります。以前、夢で見た時よりも鮮明に。
そうです。ここはあの時の東屋です。
◆◆◆◆◆
九年前の春。【蕾のお茶会】での出来事です。
私は、ララベーラ様に罵られ殴打されていました。
『この魔力無しのクズが!私の足を引っ張るなと言ったでしょう!』
『……も、申し訳ございません』
周りには同派閥の子女の方々が居ましたが、誰も助けてくれませんでした。
ララベーラ様の扇が、ドレスの上から私を打ちのめします。打たれた場所が燃えるように痛くて涙が滲みます。
『ふん!何が薄紅色の薔薇よ!我がアンブローズ家に相応しくない!老婆の白髪!淫売の薄紅色の目のクズが!この!』
同派閥の子女は『やり過ぎでは?』『当然だろ』『構う事はない。どうせクズだ』『そうですわよ』『むしろララベーラ様がお労しいですわ』と、囁きを交わします。
私は崩れ落ちそうになりながら、ひたすら痛みに耐え続けました。
そして。
『おーい!どこだー?あっ!声が聞こえたぞ!こっちに居るのかもしれない!』
声と共に人影がこちらに向かってきました。
『ララベーラ様、誰かが……』
『ちっ!皆さま、あちらに行きましょう。……お前、今度こそ余計なことはしないように。わかっているわよね?』
『……はい』
私はなんとか頷き、ララベーラ様たちが去っていくまで顔を伏せていました。
気配が完全になくなった。その時でした。
『君、大変だったね』
『え?』
低く優しい声。
顔を上げると、綺麗な金髪と鮮やかな青い瞳の少年がいます。
シャンティリアン王太子殿下と同じ十四歳か、少し歳上でしょうか?とても美しいお顔立ちで、青と紺を基調とした礼服がお似合いです。
美しいお方は、わざわざしゃがんで目線を合わせてくださりました。
『やり取りはある程度聞いていた。救護室に案内したいところだけど、それは君にとってもあまり良くないことだね?』
『……はい』
その通りです。ララベーラ様に口止めされていますし、『ララベーラの足を引っ張るな』『庭園から出ないように』『家名を損なうような真似はするな』と、強く言われているのですから。
『若様、ですが』
青髪に青紫色の瞳の女性が、美しい方に話しかけます。
『グリシーヌ、許可は取ってある。それに、先ほどの愚行はすでに衆目が知るところだ。ここで、君がこの子を治しても問題ないだろう』
『……かしこまりました。お嬢様、失礼します。《治癒魔法》』
グリシーヌ様が唱えると、すぐに身体が楽になりました。
『あ、ありがとうございます』
グリシーヌ様は優しく微笑み、再び後ろに下がります。
そして美しいお方は、片膝をついて手を差し出して下さいました。
『移動しよう。美しいお嬢様、お手をどうぞ』
私は天に昇る気持ちで、その手を取りました。
そして。ああ!なぜ私は忘れていたのでしょう!
『名乗るのが遅れた。僕はアドリアン・ブルーエ。ブルーエ男爵家の三男だ』
『私はルルティーナ・アンブローズです。ブルーエ男爵家令息様』
『アドリアンでいいよ。その代わり、僕の不敬な物言いも許して欲しい。ルルティーナ嬢とお呼びしても?』
『はい。アドリアン様』
やはり【お茶会のお兄様】は、アドリアン様だったのです!
名乗って下さっていたのに忘れていました。名前を忘れてしまったので【お茶会のお兄様】と、お呼びしていたのです。
◆◆◆◆◆
「ルルティーナ嬢。君は覚えていないだろうが、俺たちはこの東屋でお茶を……」
アドリアン様の声に、心が現在に戻りました。私は首を振って否定します。
「いいえ。忘れたことも多いですが、助けて頂いたこともお茶をしたことも覚えています。今ここに来て、さらに鮮明に思い出しました。
テーブルに飾られていた花を、アドリアン様は覚えていらっしゃいますか?あの花の名を貴方は教えて下さりました」
「っ!……ああ!もちろんだ!」
鮮やかに輝く青い瞳は、あの時のままです。
私は再び過去に思いを馳せます。
「あの日、アドリアン様と出会えたことが私の救いでした」
庭園は広大で、東屋や噴水なども点在しており、季節の花々で彩られています。
今は夏の昼下がり。天気が良く、青空はアドリアン様の瞳のように鮮やかです。
光も燦々と降り注いでいますが、あまり暑くありません。
あちこちに風属性魔法の魔道具が設置されているからでしょうか?
考えていると、アドリアン様に優しく語りかけられました。
「こっちだ。もう少しだけ歩いて欲しい」
「わかりました」
迷いのない、しかし私の歩調に合わせた足取りに微笑みます。
そして私は、九年ぶりに訪れた庭園について思いを馳せました。
九年前の春、【蕾のお茶会】の会場となったこの庭園は、王城に複数ある庭園の一つです。入城を許された者ならば散策が許されているので、私たち以外の人影もちらほらありますが、とても静かです。
今の季節、目を引くのはあの八重咲の向日葵と黄緑色のダリア。
そして、色とりどりの夏薔薇たちです。
よかった。ここに植えられていた薔薇は大切にされているのね。
アーチに伝う赤薔薇も見事に咲いています。少し安心しました。現在、王都の主だった通りでは薔薇が排除されているので。
特に赤薔薇は一輪も見かけません。
【夏星の大宴】が終わっても、しばらくは続くようですね。仕方ないとはいえ、徹底しています。
それだけ、両陛下と王太子殿下の怒りが激しいということなのでしょうが。
薔薇、特に赤薔薇を排除している理由は明確です。名前に薔薇を冠し、赤髪赤目のアンブローズ侯爵家を思わせるからでしょう。
また、同じく赤目を特徴とするルビィローズ公爵家への牽制も兼ねているに違いありません。
王族のお三方は、ルビィローズ公爵家と嫡孫のガスパル様に対する処罰は無いと仰っていました。しかし、代償が無いわけでも信頼が完全に回復したわけでも無いでしょう。
お三方は身内にはお優しい。ですが、為政者としての苛烈さも伴われているのですから。
でなければ、元アンブローズ侯爵家はあそこまで見せ物にされず、尊厳を奪われることもなかったでしょう。
いずれにせよ、ただ名を同じとするだけの花に罪はないのに。お気持ちと政治的な意図は理解できるけれど……。
薔薇と薔薇を扱う農家や商会を思うと複雑です。
「ルルティーナ嬢、なにかあったのかな?」
「いいえ。赤薔薇が綺麗で見惚れていただけです」
「赤薔薇……」
アドリアン様が顔をしかめるので、腕を引っ張って注意しました。
「花に罪はありません。名前が同じだとか色が似てるからと言って、いたずらに嫌っては可哀想です」
アドリアン様まで、いたずらに美しい花を嫌って欲しくない。ただそれだけの私の我儘です。
鮮やかな青い瞳が驚きに見開かれます。
「君は薔薇を見ても不快にはならないのか?」
「はい。むしろ綺麗で好きですね。たくさん品種があるのも興味深いです」
「ははっ!そうか!確かに花に罪はないし綺麗だね」
鮮やかな青い瞳が、今度は嬉しそうに細められます。
「……君は九年前と変わらず、強くて気高い人だ」
九年前の【蕾のお茶会】のことでしょう。私はやはり、アドリアン様が【お茶会のお兄様】である気がしてなりません。事件の目撃者の一人という可能性もまだ残っていますが……。
聞こうとする前に、アドリアン様に東屋に入るよう促されました。
東屋の中にはテーブルと椅子があり、私たちは向き合って座ります。
あら?この東屋は……。
「懐かしいね。君と初めてお茶をした東屋だ」
パッと、九年前の記憶がよみがえります。以前、夢で見た時よりも鮮明に。
そうです。ここはあの時の東屋です。
◆◆◆◆◆
九年前の春。【蕾のお茶会】での出来事です。
私は、ララベーラ様に罵られ殴打されていました。
『この魔力無しのクズが!私の足を引っ張るなと言ったでしょう!』
『……も、申し訳ございません』
周りには同派閥の子女の方々が居ましたが、誰も助けてくれませんでした。
ララベーラ様の扇が、ドレスの上から私を打ちのめします。打たれた場所が燃えるように痛くて涙が滲みます。
『ふん!何が薄紅色の薔薇よ!我がアンブローズ家に相応しくない!老婆の白髪!淫売の薄紅色の目のクズが!この!』
同派閥の子女は『やり過ぎでは?』『当然だろ』『構う事はない。どうせクズだ』『そうですわよ』『むしろララベーラ様がお労しいですわ』と、囁きを交わします。
私は崩れ落ちそうになりながら、ひたすら痛みに耐え続けました。
そして。
『おーい!どこだー?あっ!声が聞こえたぞ!こっちに居るのかもしれない!』
声と共に人影がこちらに向かってきました。
『ララベーラ様、誰かが……』
『ちっ!皆さま、あちらに行きましょう。……お前、今度こそ余計なことはしないように。わかっているわよね?』
『……はい』
私はなんとか頷き、ララベーラ様たちが去っていくまで顔を伏せていました。
気配が完全になくなった。その時でした。
『君、大変だったね』
『え?』
低く優しい声。
顔を上げると、綺麗な金髪と鮮やかな青い瞳の少年がいます。
シャンティリアン王太子殿下と同じ十四歳か、少し歳上でしょうか?とても美しいお顔立ちで、青と紺を基調とした礼服がお似合いです。
美しいお方は、わざわざしゃがんで目線を合わせてくださりました。
『やり取りはある程度聞いていた。救護室に案内したいところだけど、それは君にとってもあまり良くないことだね?』
『……はい』
その通りです。ララベーラ様に口止めされていますし、『ララベーラの足を引っ張るな』『庭園から出ないように』『家名を損なうような真似はするな』と、強く言われているのですから。
『若様、ですが』
青髪に青紫色の瞳の女性が、美しい方に話しかけます。
『グリシーヌ、許可は取ってある。それに、先ほどの愚行はすでに衆目が知るところだ。ここで、君がこの子を治しても問題ないだろう』
『……かしこまりました。お嬢様、失礼します。《治癒魔法》』
グリシーヌ様が唱えると、すぐに身体が楽になりました。
『あ、ありがとうございます』
グリシーヌ様は優しく微笑み、再び後ろに下がります。
そして美しいお方は、片膝をついて手を差し出して下さいました。
『移動しよう。美しいお嬢様、お手をどうぞ』
私は天に昇る気持ちで、その手を取りました。
そして。ああ!なぜ私は忘れていたのでしょう!
『名乗るのが遅れた。僕はアドリアン・ブルーエ。ブルーエ男爵家の三男だ』
『私はルルティーナ・アンブローズです。ブルーエ男爵家令息様』
『アドリアンでいいよ。その代わり、僕の不敬な物言いも許して欲しい。ルルティーナ嬢とお呼びしても?』
『はい。アドリアン様』
やはり【お茶会のお兄様】は、アドリアン様だったのです!
名乗って下さっていたのに忘れていました。名前を忘れてしまったので【お茶会のお兄様】と、お呼びしていたのです。
◆◆◆◆◆
「ルルティーナ嬢。君は覚えていないだろうが、俺たちはこの東屋でお茶を……」
アドリアン様の声に、心が現在に戻りました。私は首を振って否定します。
「いいえ。忘れたことも多いですが、助けて頂いたこともお茶をしたことも覚えています。今ここに来て、さらに鮮明に思い出しました。
テーブルに飾られていた花を、アドリアン様は覚えていらっしゃいますか?あの花の名を貴方は教えて下さりました」
「っ!……ああ!もちろんだ!」
鮮やかに輝く青い瞳は、あの時のままです。
私は再び過去に思いを馳せます。
「あの日、アドリアン様と出会えたことが私の救いでした」
35
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
【完】ええ!?わたし当て馬じゃ無いんですか!?
112
恋愛
ショーデ侯爵家の令嬢ルイーズは、王太子殿下の婚約者候補として、王宮に上がった。
目的は王太子の婚約者となること──でなく、父からの命で、リンドゲール侯爵家のシャルロット嬢を婚約者となるように手助けする。
助けが功を奏してか、最終候補にシャルロットが選ばれるが、特に何もしていないルイーズも何故か選ばれる。
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
山猿の皇妃
夏菜しの
恋愛
ライヘンベルガー王国の第三王女レティーツィアは、成人する十六歳の誕生日と共に、隣国イスターツ帝国へ和平条約の品として贈られた。
祖国に聞こえてくるイスターツ帝国の噂は、〝山猿〟と言った悪いモノばかり。それでもレティーツィアは自らに課せられた役目だからと山を越えて隣国へ向かった。
嫁いできたレティーツィアを見た皇帝にして夫のヘクトールは、子供に興味は無いと一蹴する。これはライヘンベルガー王国とイスターツ帝国の成人とみなす年の違いの問題だから、レティーツィアにはどうすることも出来ない。
子供だと言われてヘクトールに相手にされないレティーツィアは、妻の責務を果たしていないと言われて次第に冷遇されていく。
一方、レティーツィアには祖国から、将来的に帝国を傀儡とする策が授けられていた。そのためには皇帝ヘクトールの子を産む必要があるのだが……
それが出来たらこんな待遇になってないわ! と彼女は憤慨する。
帝国で居場所をなくし、祖国にも帰ることも出来ない。
行き場を失ったレティーツィアの孤独な戦いが静かに始まる。
※恋愛成分は低め、内容はややダークです
29歳のいばら姫~10年寝ていたら年下侯爵に甘く執着されて逃げられません
越智屋ノマ
恋愛
異母妹に婚約者と子爵家次期当主の地位を奪われた挙句に、修道院送りにされた元令嬢のシスター・エルダ。
孤児たちを育てて幸せに暮らしていたが、ある日『いばら病』という奇病で昏睡状態になってしまう。
しかし10年後にまさかの生還。
かつて路地裏で助けた孤児のレイが、侯爵家の当主へと成り上がり、巨万の富を投じてエルダを目覚めさせたのだった。
「子どものころはシスター・エルダが私を守ってくれましたが、今後は私が生涯に渡ってあなたを守ります。あなたに身を捧げますので、どうか私にすべてをゆだねてくださいね」
これは29歳という微妙な年齢になったヒロインが、6歳年下の元孤児と暮らすジレジレ甘々とろとろな溺愛生活……やがて驚愕の真実が明らかに……?
美貌の侯爵と化した彼の、愛が重すぎる『介護』が今、始まる……!
悪役令息(冤罪)が婿に来た
花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー
結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!?
王女が婚約破棄した相手は公爵令息?
王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした?
あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。
その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。
彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。
そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。
彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。
その数日後王家から正式な手紙がくる。
ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」
イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。
「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」
心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ!
※ざまぁ要素はあると思います。
※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。
ひとりぼっちだった魔女の薬師は、壊れた騎士の腕の中で眠る
gacchi(がっち)
恋愛
両親亡き後、薬師として店を続けていたルーラ。お忍びの貴族が店にやってきたと思ったら、突然担ぎ上げられ馬車で連れ出されてしまう。行き先は王城!?陛下のお妃さまって、なんの冗談ですか!助けてくれた王宮薬師のユキ様に弟子入りしたけど、修行が終わらないと店に帰れないなんて…噓でしょう?12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結】異世界からおかえりなさいって言われました。私は長い夢を見ていただけですけれど…でもそう言われるから得た知識で楽しく生きますわ。
まりぃべる
恋愛
私は、アイネル=ツェルテッティンと申します。お父様は、伯爵領の領主でございます。
十歳の、王宮でのガーデンパーティーで、私はどうやら〝お神の戯れ〟に遭ったそうで…。十日ほど意識が戻らなかったみたいです。
私が目覚めると…あれ?私って本当に十歳?何だか長い夢の中でこの世界とは違うものをいろいろと見た気がして…。
伯爵家は、昨年の長雨で経営がギリギリみたいですので、夢の中で見た事を生かそうと思います。
☆全25話です。最後まで出来上がってますので随時更新していきます。読んでもらえると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる