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第2部
第2部 40話 ブリジット・ラピスラズリ侯爵
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王族の居住区域。
夜の廊下には青い影が落ち、冷ややかな空気が流れています。
ラピスラズリ侯爵閣下が、私とドリィとシアンを出口まで案内して下さります。
「こちらです。階段を降りますのでお気をつけください」
職務中だからでしょう。ラピスラズリ侯爵閣下は、アメティスト家のお茶会の時のような朗らかさも私語もありません。淡々とされています。
私たちも会話は控えましたので、とても静かです。
複雑なルートを歩んでどれだけ経ったでしょうか?
ラピスラズリ侯爵閣下が、唐突に口を開きました。
「ルルティーナ・プランティエ伯爵殿、アドリアン・ベルダール辺境伯殿、少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
「はい。どうされましたか?」
ラピスラズリ侯爵閣下は立ち止まり、私たちに向き直りました。
「我が姪、マリーアンヌ・イオリリスがご迷惑をおかけしました。姪の処罰が決まりましたので、お二人にも詳細をご報告します」
イオリリス侯爵令嬢は、未遂とはいえ暴行を幇助しようとしたこと、個人財産とはいえパーレスに貢いでいたこと、非行を繰り返し仲のいい令嬢を巻き込んでいたことなど、数々の悪行を重ねていました。
結果。王都への立ち入りと社交を禁止し、収容更正施設で再教育することが決まりました。期間は五年間で、その間はご家族にも会えないそうです。
収容更正施設とは、刑務所から出所した罪人や素行不良者を再教育するための施設です。
貴族も平民も関わりなく収容され、再教育を受けます。
サフィリス公爵領の収容更正施設は厳格で、教育の進行によっては延長もあり得るそうです。
「教育後は我々が選んだ家に嫁がせます。王都への立ち入りと社交の禁止を解くかどうかは、嫁いでからの態度次第です。
貴女が受けた苦痛に対し、罰が小さくて申し訳ない」
「全くです。罪人であることすら秘されるとは、ルティの受けた被害に見合わない。極刑か終身刑が妥当かと思われますが?」
「ドリィ!それはやり過ぎよ!もういいの!貴方とシアンが助けてくれたのだから!」
それに、イオリリス侯爵令嬢が罪人だと知られれば、サフィリス公爵派閥はもとより王妃陛下の名誉に関わります。
ドリィをなだめていたのですが。
「いいや。プランティエ伯爵殿、ベルダール辺境伯殿の言うことは正しい。
他者への暴行を手引きしようとするなど、淑女の風上にもおけない外道の行いだ。
マリーアンヌには他にも罪がたっぷりある。身をもって己の罪深さをわからせてやる」
「っ!」
ラピスラズリ侯爵閣下の金眼が憤怒に燃えます。今にもイオリリス侯爵令嬢を断罪に行きそうな迫力。私は恐怖で固まりました。
「ラピスラズリ侯爵!殺気を抑えて下さい!貴女の殺気は熊も怯ませるんですよ!」
「ハッ!プランティエ伯爵殿!申し訳ない!」
ドリィの腕が私を抱きしめ、シアンが無言で前に出ました。
ラピスラズリ侯爵閣下はあわてて謝罪し、殺気が霧散します。
「本当に申し訳ない。マリーアンヌの所業については私も業腹で、つい抑えきれなかった」
「い、いえ。お気になさらず。ご報告頂きありがとうございます」
まだ心臓がドキドキしていますが、息を整えます。確認したいことが一つ。
「ラピスラズリ侯爵閣下。私は閣下に、ドリィの婚約者として認めていただけましたでしょうか?」
スッと、金眼がすがめられました。
「ルティ?一体何を言ってるんだ?」
「イオリリス侯爵令嬢の件で、ずっと引っかかっていたんです。ラピスラズリ侯爵とサフィリス公爵夫人は、派閥と王妃陛下の威信を守るため私たちを利用しました。
しかしそれだけではなく、私がドリィに相応しいか確認していたのでは?」
ドリィはラピスラズリ侯爵が忠誠を捧げる王妃陛下の子ですもの。
「なんだと?」
ヒュッと空気が冷たく重くなります。私を抱きしめているドリィの殺気です。
この殺気は怖くない。私を守る怒りだもの。
私はドリィの腕に手を添え、ラピスラズリ侯爵閣下の目を見つめました。
心の奥底まで見抜いているかのような、獲物を狙うかのような鋭い金眼。
先ほどは怯えましたが、もう目を逸らさない。私はドリィの婚約者だもの!
見つめあってしばらく。金眼は鋭さをゆるめました。
「プランティエ伯爵殿。私が認めなくても、貴女は諦めないでしょう」
「はい。諦めません。ドリィの伴侶は私です」
「ははっ。即答ですか。愛情深いことだ」
ラピスラズリ侯爵閣下は柔らかな笑みを浮かべました。
「お察しの通りです。私は貴女が、そのお方の伴侶に相応しいか試していました。
貴女自身も色々と価値のある方だ。ただ守られているだけの存在では、お二人とも共倒れしてしまう」
ドリィが唸るように訪ねます。
「ラピスラズリ侯爵。それは母上たちも知ってのことか?」
「いいえ。私の独断です。ご両親はもちろん、サフィリス公爵夫人も知りません。
プランティエ伯爵殿が今回の件に対処できなければ、あらゆる手を使って貴方様との婚約を解消させるつもりでした。
しかし、プランティエ伯爵殿は己の力、そして周囲の力を活かして対処した。
やり方は色々と荒削りで問題だらけですし、これからも様々な者たちに狙われるでしょうが……守られているだけの存在ではない。
認めます。貴方様の伴侶に相応しい」
「貴様……!まさかその確認のため、奴らがルティを狙うよう仕向けたのか?!」
「……」
空気が一段と重く冷たくなりました。さらに前に出たシアンも、無言のままですが怒りが滲んでいます。
私はドリィの腕をポンポンと叩きました。
「ドリィ、落ち着いて。ラピスラズリ侯爵閣下は、王妃陛下とドリィのために私を試しただけよ。認めて頂いたのだからもういいわ」
「ルティ!しかし!」
「それに、イオリリス侯爵令嬢やパーレスをそそのかした訳ではないですよね?」
「ええ。デルフィーヌ・アザレの入れ知恵です。私はそれを止めなかっただけですよ。
……まあ、姪が途中で止める事を期待してもいました。
才にあふれた子だった。周りからも愛されていたというのに、取り返しのつかない事をしてしまった。馬鹿な子だ」
端正な顔に一瞬悲しみが横切り、またキリリとした表情に戻ります。
「先程も申し上げましたが、全ては私の独断です。いかなる処罰も受けます」
「罰は必要ありません。ただ、試すような事は二度となさらないで下さい」
「そうだな。ラピスラズリ侯爵。もう二度と、俺のルティに危ない事をさせないで下さい」
「ドリィ。試すような真似は止めて頂くけど『危ない事をさせるな』というのは無茶よ」
「は?な、何を言ってるんだ?」
「ルルティーナ様?」
ギョッとした顔で私を見るドリィとシアン。
「今回の件は怖かったし、貴方たちに怒られて反省したわ。けれど私は伯爵。いざという時は、民を守るため危険な事もしないといけない。
『王侯貴族とは、率先して民を守り危険に立ち向かう者。だからこそ、高い地位と権力を与えられているのです』って、お義母様も仰っていたし」
「リラ殿の教育が憎い!俺は君に危ない目にあって欲しくないんだ!ずっと安全な場所で!平和に暮らしていて欲しい!」
ドリィの気持ちは嬉しい。わかってる。でも。
「私だってドリィに危ない事をして欲しくないわ!」
手を伸ばしてドリィの頬を包み、顔を覗き込みます。うう。身長差があるから辛い。
「本当は、魔境にだって行って欲しくない。だけど、それではドリィの勤めは果たせないし、貴方の志しを否定することになる。だから私は止めない。無事に帰ってくるのを信じて、祈って待っている。……見送る度に不安で心配だけれど」
「うぐっ!」
「ドリィ。私は、普段は危ない事をしないようにするわ。だから、どうしても危ない事をする時は止めないで。それは必要なことなのよ。
もちろん貴方が必ず魔境から帰って来てくるように、貴方を悲しませないと約束するから」
「うぐぐぐぐぐ……!だ、だが……!」
「盛り上がっているところ水を注しますが、私は帰ってよろしいでしょうか?出口はもうすぐですし」
冷静な声にパッと身を離します。き、気まずい。
「あ、はい。ラピスラズリ侯爵、先ほどの件は……」
なんとも表現しにくい苦笑がこぼれました。
「ええ。もう余計なことはしません。馬に蹴られるだけですからね。どうぞ末永くお幸せに」
「ふん!言われるまでもない!」
「あと人前で二人の世界に浸るのはやめた方がいいですよ」
「なっ!」
ドリィが真っ赤になってしまいました。私も顔が熱いです。
「それでは、またいずれお会いしましょう」
ラピスラズリ侯爵は軽やかに踵を返し、去っていきました。最後にシアンの方を見て。
「シアン。これからもしっかりお二人をお守りするように」
と告げて。
シアンは無言で頭を下げます。
シアンとラピスラズリ侯爵閣下。
同じサフィリス公爵派閥ですし、以前からのお知り合いだったのかしら?
夜の廊下には青い影が落ち、冷ややかな空気が流れています。
ラピスラズリ侯爵閣下が、私とドリィとシアンを出口まで案内して下さります。
「こちらです。階段を降りますのでお気をつけください」
職務中だからでしょう。ラピスラズリ侯爵閣下は、アメティスト家のお茶会の時のような朗らかさも私語もありません。淡々とされています。
私たちも会話は控えましたので、とても静かです。
複雑なルートを歩んでどれだけ経ったでしょうか?
ラピスラズリ侯爵閣下が、唐突に口を開きました。
「ルルティーナ・プランティエ伯爵殿、アドリアン・ベルダール辺境伯殿、少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
「はい。どうされましたか?」
ラピスラズリ侯爵閣下は立ち止まり、私たちに向き直りました。
「我が姪、マリーアンヌ・イオリリスがご迷惑をおかけしました。姪の処罰が決まりましたので、お二人にも詳細をご報告します」
イオリリス侯爵令嬢は、未遂とはいえ暴行を幇助しようとしたこと、個人財産とはいえパーレスに貢いでいたこと、非行を繰り返し仲のいい令嬢を巻き込んでいたことなど、数々の悪行を重ねていました。
結果。王都への立ち入りと社交を禁止し、収容更正施設で再教育することが決まりました。期間は五年間で、その間はご家族にも会えないそうです。
収容更正施設とは、刑務所から出所した罪人や素行不良者を再教育するための施設です。
貴族も平民も関わりなく収容され、再教育を受けます。
サフィリス公爵領の収容更正施設は厳格で、教育の進行によっては延長もあり得るそうです。
「教育後は我々が選んだ家に嫁がせます。王都への立ち入りと社交の禁止を解くかどうかは、嫁いでからの態度次第です。
貴女が受けた苦痛に対し、罰が小さくて申し訳ない」
「全くです。罪人であることすら秘されるとは、ルティの受けた被害に見合わない。極刑か終身刑が妥当かと思われますが?」
「ドリィ!それはやり過ぎよ!もういいの!貴方とシアンが助けてくれたのだから!」
それに、イオリリス侯爵令嬢が罪人だと知られれば、サフィリス公爵派閥はもとより王妃陛下の名誉に関わります。
ドリィをなだめていたのですが。
「いいや。プランティエ伯爵殿、ベルダール辺境伯殿の言うことは正しい。
他者への暴行を手引きしようとするなど、淑女の風上にもおけない外道の行いだ。
マリーアンヌには他にも罪がたっぷりある。身をもって己の罪深さをわからせてやる」
「っ!」
ラピスラズリ侯爵閣下の金眼が憤怒に燃えます。今にもイオリリス侯爵令嬢を断罪に行きそうな迫力。私は恐怖で固まりました。
「ラピスラズリ侯爵!殺気を抑えて下さい!貴女の殺気は熊も怯ませるんですよ!」
「ハッ!プランティエ伯爵殿!申し訳ない!」
ドリィの腕が私を抱きしめ、シアンが無言で前に出ました。
ラピスラズリ侯爵閣下はあわてて謝罪し、殺気が霧散します。
「本当に申し訳ない。マリーアンヌの所業については私も業腹で、つい抑えきれなかった」
「い、いえ。お気になさらず。ご報告頂きありがとうございます」
まだ心臓がドキドキしていますが、息を整えます。確認したいことが一つ。
「ラピスラズリ侯爵閣下。私は閣下に、ドリィの婚約者として認めていただけましたでしょうか?」
スッと、金眼がすがめられました。
「ルティ?一体何を言ってるんだ?」
「イオリリス侯爵令嬢の件で、ずっと引っかかっていたんです。ラピスラズリ侯爵とサフィリス公爵夫人は、派閥と王妃陛下の威信を守るため私たちを利用しました。
しかしそれだけではなく、私がドリィに相応しいか確認していたのでは?」
ドリィはラピスラズリ侯爵が忠誠を捧げる王妃陛下の子ですもの。
「なんだと?」
ヒュッと空気が冷たく重くなります。私を抱きしめているドリィの殺気です。
この殺気は怖くない。私を守る怒りだもの。
私はドリィの腕に手を添え、ラピスラズリ侯爵閣下の目を見つめました。
心の奥底まで見抜いているかのような、獲物を狙うかのような鋭い金眼。
先ほどは怯えましたが、もう目を逸らさない。私はドリィの婚約者だもの!
見つめあってしばらく。金眼は鋭さをゆるめました。
「プランティエ伯爵殿。私が認めなくても、貴女は諦めないでしょう」
「はい。諦めません。ドリィの伴侶は私です」
「ははっ。即答ですか。愛情深いことだ」
ラピスラズリ侯爵閣下は柔らかな笑みを浮かべました。
「お察しの通りです。私は貴女が、そのお方の伴侶に相応しいか試していました。
貴女自身も色々と価値のある方だ。ただ守られているだけの存在では、お二人とも共倒れしてしまう」
ドリィが唸るように訪ねます。
「ラピスラズリ侯爵。それは母上たちも知ってのことか?」
「いいえ。私の独断です。ご両親はもちろん、サフィリス公爵夫人も知りません。
プランティエ伯爵殿が今回の件に対処できなければ、あらゆる手を使って貴方様との婚約を解消させるつもりでした。
しかし、プランティエ伯爵殿は己の力、そして周囲の力を活かして対処した。
やり方は色々と荒削りで問題だらけですし、これからも様々な者たちに狙われるでしょうが……守られているだけの存在ではない。
認めます。貴方様の伴侶に相応しい」
「貴様……!まさかその確認のため、奴らがルティを狙うよう仕向けたのか?!」
「……」
空気が一段と重く冷たくなりました。さらに前に出たシアンも、無言のままですが怒りが滲んでいます。
私はドリィの腕をポンポンと叩きました。
「ドリィ、落ち着いて。ラピスラズリ侯爵閣下は、王妃陛下とドリィのために私を試しただけよ。認めて頂いたのだからもういいわ」
「ルティ!しかし!」
「それに、イオリリス侯爵令嬢やパーレスをそそのかした訳ではないですよね?」
「ええ。デルフィーヌ・アザレの入れ知恵です。私はそれを止めなかっただけですよ。
……まあ、姪が途中で止める事を期待してもいました。
才にあふれた子だった。周りからも愛されていたというのに、取り返しのつかない事をしてしまった。馬鹿な子だ」
端正な顔に一瞬悲しみが横切り、またキリリとした表情に戻ります。
「先程も申し上げましたが、全ては私の独断です。いかなる処罰も受けます」
「罰は必要ありません。ただ、試すような事は二度となさらないで下さい」
「そうだな。ラピスラズリ侯爵。もう二度と、俺のルティに危ない事をさせないで下さい」
「ドリィ。試すような真似は止めて頂くけど『危ない事をさせるな』というのは無茶よ」
「は?な、何を言ってるんだ?」
「ルルティーナ様?」
ギョッとした顔で私を見るドリィとシアン。
「今回の件は怖かったし、貴方たちに怒られて反省したわ。けれど私は伯爵。いざという時は、民を守るため危険な事もしないといけない。
『王侯貴族とは、率先して民を守り危険に立ち向かう者。だからこそ、高い地位と権力を与えられているのです』って、お義母様も仰っていたし」
「リラ殿の教育が憎い!俺は君に危ない目にあって欲しくないんだ!ずっと安全な場所で!平和に暮らしていて欲しい!」
ドリィの気持ちは嬉しい。わかってる。でも。
「私だってドリィに危ない事をして欲しくないわ!」
手を伸ばしてドリィの頬を包み、顔を覗き込みます。うう。身長差があるから辛い。
「本当は、魔境にだって行って欲しくない。だけど、それではドリィの勤めは果たせないし、貴方の志しを否定することになる。だから私は止めない。無事に帰ってくるのを信じて、祈って待っている。……見送る度に不安で心配だけれど」
「うぐっ!」
「ドリィ。私は、普段は危ない事をしないようにするわ。だから、どうしても危ない事をする時は止めないで。それは必要なことなのよ。
もちろん貴方が必ず魔境から帰って来てくるように、貴方を悲しませないと約束するから」
「うぐぐぐぐぐ……!だ、だが……!」
「盛り上がっているところ水を注しますが、私は帰ってよろしいでしょうか?出口はもうすぐですし」
冷静な声にパッと身を離します。き、気まずい。
「あ、はい。ラピスラズリ侯爵、先ほどの件は……」
なんとも表現しにくい苦笑がこぼれました。
「ええ。もう余計なことはしません。馬に蹴られるだけですからね。どうぞ末永くお幸せに」
「ふん!言われるまでもない!」
「あと人前で二人の世界に浸るのはやめた方がいいですよ」
「なっ!」
ドリィが真っ赤になってしまいました。私も顔が熱いです。
「それでは、またいずれお会いしましょう」
ラピスラズリ侯爵は軽やかに踵を返し、去っていきました。最後にシアンの方を見て。
「シアン。これからもしっかりお二人をお守りするように」
と告げて。
シアンは無言で頭を下げます。
シアンとラピスラズリ侯爵閣下。
同じサフィリス公爵派閥ですし、以前からのお知り合いだったのかしら?
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