史上最強のあなたの祈り

入野 柚葉

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はじめまして

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 ………………………
僕は家で寝ていたはずなのに、目が覚めるとそこは、広がる緑ととても広くて青い空の下にいた。
「ここは………どこだ……………」
あたりを見回してみるが、見えるのは広大な芝生と青い空、建物らしきものは何も見えなかった
「あのー………だれかいますかー?………」
もしかしてここには僕一人の世界なのか……?
すると、4羽の鳥が空から降りてきた。こちらをじっと見つめてくる。そして、まるでついてこいと言わんばかりの態度で飛び立った。
「んっ!…ちょっ!まって!」
走って僕はついていく。僕の知ってる世界の中よりもすごく動きやすいし、素早く動ける。………楽しい。
しばらく走ってついていくと、道が見えてきた。その先には、街があった。
「……街だ………」
僕は四羽の鳥と一緒に街に走っていった。
街に近づくと、一つわかったことがある。ここは僕の知っている現実世界とは違う。……起きたと思ったけどここは夢の世界なのだろうか……それにしても、匂いとか温度とか、すごい繊細に入ってくる。
街に入るととりあえず人を探した。
「あのー!すみません!誰かいますかー?」
……やはり誰もいない。ここらの家やら何やら、空き家なのは見てもわかる。燃えたあとっぽいのもある。
「あのー!………すみませーん…だれかっ!」
僕は誰かに引っ張られ、家の中へとつれて来られた。
「お前!死ぬ気か!」
突然怒鳴られるが、死ぬ気はないし、もはや意味がわからない。
「あのー……この街では今何が起こっているのですか………」
……すごい怪訝そうな顔をされる。
「お前……もしかして記憶ねぇのか?………………」
「えっ……記憶って……?」
ちゃんと記憶はある。僕の名前も年齢も知り合いも、ちゃんと思い出せる。……
「……お前…大丈夫か?名前、ちゃんとわかるか?」
「僕の名前ですか?……もちろん覚えてます。左巻野々葉…」
……また怪訝そうな顔をする。
「こりゃだめだ…………良いか!お前の名前はスズハ!お前は今戦場に来てんの!……お前……………」
僕の足元に目をやる。
「コゴの鳥………」
コゴの鳥?……初めて聞く鳥だ。
「……コゴの鳥ってっ……?」
口に手を当てられる。
「本部へ。迅速通。」
………………
「!?……ここは!?」
僕はさっきとは違う建物の中にいた。すごくでかい。
「良いか。この長い廊下をずっと行った先に、…………今の団上位騎長がいる部屋がある。この世界で一番強い人だ。」
「団上位きっ!」
口を手で塞がれた
「質問には今は答えない。お前の記憶が戻ってからだ。いいから行け。……迅速通…」
……消えた……とりあえず僕は言われたとおりに廊下を歩いた。
6キロくらい歩いた先に、大きな扉が見えた。僕は自然に。無意識に手を触れると、扉は光走して開かれる。
「………………スズハ?どうした?」
そこには若い女の人が座っていた。その人も僕の足元にいる!コゴの鳥と呼ばれるものを目にし。少し固まった。この鳥は何なのだろう。
「…あ。あの。」
その人は私に近づいて、がっしりと肩を持つ。
「お前は今、ここの世界の記憶がないだろう。だが、すぐに思い出す。」
「……はぁ……」
「よろしく頼んだぞ。スズハ。」
その人は僕の頭に自分のおでこをコツンと当てた。
目が覚めるとそこは、いつもの自分の部屋だった。
「………おはよう。すずは。」
「っ!?へ!?」
そこには、あの世界で1番最初に出会った女の子が僕の椅子に腰掛けていた。
「…君は……」
「…私はみつや。美しいに、津波の津、弓矢の矢で、美津矢だ。」
「あの、みつやはなんで僕の部屋に……」
みつやは僕の口に人差し指を当て、
「めんどくさいけど、今から全部説明するから、私が話し終わるまで口を挟むな。わかったな」
僕はコクンと頷いた。
「お前の記憶は、この人間界で生まれ、人間界で育った、しかも独りっ子。……これであってるか?」
僕はコクンと大きく頷いた。
「……今から説明したあと。お前の記憶をすべて思い出させる儀式をする。……まぁ。とりあえず説明していく、」
……儀式かぁ、…長くなりそうだなぁ。僕は時計を見た。すると、秒針が止まっていた。……しまった……時計こわれてんじゃん。
「今この世界の時間は止まっている。あんしんしろ。」
いやありえないから。
「私は。とりあえず説明すると、君の妹だ。」
僕はひとりっ子です。
「そして、君の生まれは人間界じゃない。灸界。お前から見て異世界だ。灸界の。アヴィナズという村で生まれた。」
どこ?きゅ、きゅうかい?
「君は生まれつき特殊能力を持っていて、向こうの世界ではガダムという悪霊を駆除している。とても危険な、命に関わる仕事だ。」
「!?」
「そして。もう時期あの世界での団上位騎長となる。」
「………?、」
意味わからん
「コゴの鳥というのは、そういう人のそばにつく。」
……僕が世界で一番強い人………
「あとー、私はこの世界の人には基本見えない。霊感がある人しか。」  
「は!?」
美津矢は唇に人差し指を当てた、
「なんでか、私はお前の妹でもあり、守護霊だから。そして、お前はこれからいろんな人の守護霊が見えるようになるだろう。それは、コゴの鳥がついて、霊感が莫大にアップしたからだ。もともとお前の霊感レベルは94今は246だ。」
………???
「………めんどくさいなぁ。人に説明するのって………」
「なんかごめん」
僕が意味わかってないのが伝わったのだろうか? なんか、申し訳ない………っていうかあり得ない!!そんなの信じれるわけがない。
「んー、謝らなくていいんだ、私に言語力がないのが行けないんだ。」
美津矢は頭を掻いた。そして、一つため息をつき、こちらを見た。
「?」
「……記憶を思い出させる儀式を……やる。から、ちょっと、目を瞑っててくれ。」
私は言われたとおり目を瞑る。
「あー、寝っ転がって、」
ベットに寝っ転がった。儀式って何をするんだろう。
なんて考えてたら、美津矢の声が聞こえた
「我が心を、我が身を、我が魂をお前に授けし、いかなるときも、仲間を守り、いかなるときも、仲間を愛し、我が灸界を救いたまへ。ー」
夢を見ていた。自分が生まれたときの夢。
僕は特別だった。何をやっても一番だった。そして、生まれつき灸界に招待される戦士は僕だけだと言われた。すごい才能らしい。灸界は楽しかった。楽しい仲間、何不自由ない世界。……だが、ある日僕達の街は、ガダムの蓮騎士たちによって焼け野原にされ、住民を殺され、………戦争が起きた。 僕は団長に昇格した。ちょっと休憩のつもりでテントで僕は寝ていた。寝て起きるとそこは人間界で、当たり前の存在となっていた。団上位騎長様に言われた。お前は今、ヒガン、シガンの間中の存在だ。お前は生きながらに死んでいる。…………僕は死んでいた。でも生きていた。10歳になれば人間界に行ける。10歳のときに人間界に遊びに行った。楽しかった。ずっとこの世界にいたいとか思った。
僕はすずはである以上それは許されなかった。僕は目を覚まし、僕が生まれたところへ行った。僕の大好きな場所。広がる緑と青い空。木々のざわめき。僕は大きな木の下に寝っ転がった。そして、長い夢を見ていた。僕の記憶は無くなった。………全部思い出したようだった。ゆっくりと目を開けた。
「……美津矢」
僕を見てニコっと笑った。
「戻ったようだな。団上位騎長昇格、おめでとう。すずは。」
なん違和感があった。ぎこちない笑顔を見せる美津矢に僕は自然にほほ笑みかけ、頭を撫でた。
「大丈夫。僕は死なないよ。」
「うん」
僕らは灸界へ急いだ。灸界入り口には団上位騎長様が立っていた。
「待ってたぞ、スズハ、今は休戦中だ。急いで儀式をしてしまおう。」
「はい、」
……………………………三時間くらいだっただろうか。すべての儀式を終え、僕は団上位騎士となった。この世界初の。戦う団上位騎長だ。なぜなら僕は強いからだ。ずっと世界を守り戦ってきたからだ。この世界中の人々の命が僕にかかっている。
…怖いなぁ。
そして、団上位騎長になったのと同時に、新しい班にっなった。
僕は班の班長で、班長である以上。自分の班員のプロフィールやらなんやらを覚えておかないといけない。昔から記憶力にはあまり自身がない。5人ものプロフィールを一気に頭に叩き込むのはしんどいなぁ、
めんどくさいことに、私達の所属する軍隊は本名では呼びあえない。いつスパイが入ってくるかわからないからだ。軍隊に入るときに新しい呼び名を貰う。ただ、班長はその本名を知ることができる。皆の命を預かる。……もし死んでしまって、もう再生できない状況にあると、本名で記録する必要があるからだ。
こんこん。とドアが鳴った。
「……誰?」
「私だ。ラドだ。」
ラド…それが美津矢の呼び名だった。
「入れ」
険しい顔で入ってきたラドを見て、良からぬ何かを感じた。
「…どうした。」
「街を見ろ。」
僕はカーテンを開け、街を見渡す。相変わらずの焼けた家や、崩れた何かしらの建物。仲間の亡骸。見るだけで心が痛む。
「……どうした。」
少し悲しく、そして険しい顔をしたラドは下を向き、無言でドアまで歩いていく。そして振り返り笑顔で言った。
「別に、それだけだ…気にするな」
すでにドアの向こう側にいるラドに聞こえないような小さい声でなんだって言うんだよ。って言った。何が言いたいのかがわからなかった。
 朝、僕達は中央の広間に集まっていた。各班の顔合わせだ。
「ランディッドです。F-17です」
F-17とは、部屋の位置を表している。F塔の17番の部屋ということだ。
「ヴィントル。O-53」
「ラド。A-」
「お前は良い、飛ばせ」
なぬっ!という顔で睨まれそこで笑いが起きる。場が和み、緊張がほぐれたようでよかった。
「リヴァイアサン。G-1」
誰だこの名前をさずけたのは……かわいそうな名前つけやがって。悪魔の名前ではないか…
「クゥインっす。B-168」
出た問題児………めんどくせぇなぁ……
「えー、僕の名はラビット。妹からはラビ、と呼ばれている。自由に呼んでくれ。A-1だ。」
「あっ、あの!先輩!」
ランディッドが前に出た。
「先輩はやめてくれ。あと、敬語も。窮屈なのは嫌いなんだ。」
頭を掻き、ランディッドは改めて話し出す。
「えっとー、ラビットは、A-1なんだよね?……俺、実はAの塔がどこかわからなくて……案内してもらってもいいかな?」
………確かに、この建物は異常なデカさではある。一日に誰か一人は絶対迷うほどだ。
「いいだろう。俺の部屋に案内してやる。ついてこい。体力がお前らにあればな」
僕の部屋は等の一番上にあって、いつでも街を見渡せるようになっている。
今いる広間は1階にあって、A塔へ行く階段までここから軽く40分はかかる。
「ラビ、迅速通ではなんとかならんのか?」
確かに、迅速通なら、その場の景色だけでも覚えていれば行ける可能性は高いが、それでは……楽をしすぎだ
「えー、とー、今ラドからー、迅速通がどうのこうのって意見が出たが、迅速通は使わない。」
僕は歩きながら話し出すが、誰もついてこないことに気づき、手招きをしてまた歩き出した。
「迅速通が多く使われるようになってから、方向音痴は増えるし、体力がない奴らも増えてきた。それに、この広間からA塔へ、歩いて大体40分。訓練の一部にしてもいいと思うんだ。この距離……」
僕は振り返りニコっとした。
…やはり嫌な顔をしている。ラドが
「班それぞれの訓練トレーニングでは、広間から、僕の部屋までダッシュさせようと思う。もちろん、それだけではないがな」
ドヤ顔してまた僕は歩き始める。
僕の班になったことを後悔するがいい。僕は手加減はしない。訓練に苦しむ奴らの顔を見るのは楽しい。疲れが一気に吹き飛ぶ。………俺嫌なやつだな……
…………どれくらい歩いただろうか。後ろの奴らはもうへっとへとだった。
「……お前ら。もう少しだから頑張れ。」
「この階段いつまで続くんだよ……はぁ、階段がゲシュタルト崩壊しちまってるよ……はぁ、」
クゥインが座り込む。
「んー、まぁ、初日だし……休憩させてもいいんじゃねぇのか?」
後ろの方からラドが言う。まぁ、ラドは毎日この階段を登ってるから……体力はもっているようだった。
「…………いいだろう。」
班員をそこへ座らせ、涼しいと感じさせる魔法を唱える。もちろん初日だから少しだけ甘やかせているだけだ。……本当だからね!?
「ヒール。」
「……………………………涼しい……」
自分の部屋にたどり着いたとき。ラドと僕以外はやっとついたとへたり込んだ。
「明日からはここまでを走るからね。頑張れ。」
「嘘だろ……………」
そうそう。そういう訓練に対しての絶望っていう顔が好きなんだよ。……明日から楽しくなりそうだなぁ……
僕の部屋はみんなの部屋より広く、16人くらいがそこで大の字になっても全然余裕なくらいだった。
今日は僕の部屋にみんなを寝かせ、明日の訓練に備えさせた。
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