殺人遊戯 マーダーゲーム 殺人犯捜査第四係比嘉可南子

繁村錦

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CHAPTER4

7

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 細川がトイレに行っている間、再び情報屋の及川竜平から電話が入った。

「はい、比嘉です」

 店の外、路上で電話に出る。

《お嬢、俺だ。及川だ》

「何っ?」

《細川のじいさんが、電話中だったから、お前に掛けた。歌舞伎町でボクサーが転落死した例の事件の目撃者がいた。森博一って名前の私立高校の教師だ》

「森博一っ? どっかで聞いたことのある名前ね……」

《その男はもう消されている。三ヵ月ほど前、何者かに毒を盛られて》

「あっ思い出した。トリカブト毒とフグ毒の拮抗左様を利用した保険金目当ての殺人事件。確か被疑者は、被害者の妻だった筈。それがまたどうして……?」

 可南子の頭の中で、まるで全てのことがジグソーパズルのように組み合わさっていく。

《俺にはこれ以上のことはわからない。ただ一ついえることは、一連の事件の裏で凄腕の掃除人スイーパーが動いていることは確かだ》

「凄腕の掃除人スイーパー……?」

《女だっていう噂だ》

「女っ!?」

 スマホを右耳に当てる比嘉の手が震えていた。

《じゃあな、また、何か掴んだら情報を入れる。お嬢、この事件、なんか危険な匂いがする。あまり深追いするな》

「ありがとう……」

 といった可南子の耳には、不通音しか届いていなかった。
 話終わった直後、店からすっきりした顔で細川が出て来た。

「……もう大丈夫?」

「はい、膀胱にたっぷり溜まった小便、全部出したんで……」

 と答える細川の話が終わらないうちに顰め面の可南子が言葉を被せて来た。

「だ・か・ら、いつもいってるでしょ。私の前で下品な言葉を使わないでって」

「重ね重ね済みません」

 本当に心から謝罪しているのかどうか疑わしいが、細川は取り敢えず申し訳なさそうに頭を下げる。

「あの、巡査長? トイレに行っている最中、どこへ電話していたの?」

 可南子が訊ねると細川は、どうしてそれを知っているんだ、といったような目で彼女を見て、

「……高山警部補へ。情報の共有化って奴ですよ、共有化」

 と答えた。

「あのね、さっきあんたがトイレに行っている間に、竜ちゃんからさぁ、電話が入ってね。あんた電話中だったみたいだから私に掛かって来たのよぉ。ボクサー転落死の目撃者がいたんだって」

「目撃者、ですか……?」

「うん、目撃者。でも、もう既に何者かの手によって消されていたわ」

「消されていたって?」

 歌舞伎町交番に向かって歩きながら会話は続く。

「森博一、私立高校の教師。一応表の方だと、トリカブト毒とフグ毒の拮抗左様を利用した保険金目当ての殺人事件ってことになってるわ」

「ああ、警部補殿が以前、検視官さんとお話になっていたあの事件ですね。確か、保険金の額が三億五千万とか仰ってた筈」

「うん、その通り被疑者は妻ってことになってるわ。捜査本部は三田中央署で、担当は八係だった」

「なるほど」

「ちょっと整理させてね。頭の中、こんがらがって来ちゃったから」

「ええ、どうぞ。一連の事件が複雑に絡まってますから、どうぞ心行くまでごゆっくりと」

 細川は愛想笑いを浮かべた。
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