9 / 88
第1章 異世界を救った勇者、リエナと共に現実世界に帰還する。

第9話 帰還勇者、リエナと一緒に2学期から高校デビューする。

しおりを挟む
「おはよう!」

 俺はクラスに入るなり元気よく朝の挨拶をした。
 するとクラスメイト達が一様にぎょっとしたように俺を見る。

 何人かが反射的に「おはよう」と返してくれるけど、彼ら彼女らも驚いたような顔をしているのは同じだった。

 ああうん。
 まあそうなるよな。

 1学期はずっと陰キャでネクラだった織田くん(下手したら名前すら覚えられていない)が、夏休みが明けた途端に陽キャに変身してハイテンションで挨拶しながら教室に入ってくるようになってたら、そりゃみんな驚くよな。

(ま、今じゃこっちのほうが素になってるから、わざわざ元の陰キャに戻すつもりはないんだけどさ)

 だがしかし。
 クラスメイト達は陰キャ織田くんが陽キャにモデルチェンジしたことよりも、もっと興味のあることにすぐに意識を向け直していた。

 クラスメイトたちの視線の先にいるのは、もちろん一緒に来たリエナだった。
 そして、

「皆さん、おはようございます。本日より留学生としてこのクラスで一緒に勉強することになりました、リエナエーラと申します。以後お見知りおきを。あ、呼びにくいのでどうぞリエナって呼んでくださいね」

「「「「「「うおおおおおおおっっっ!!!???」」」」」」

 リエナが自己紹介した途端に教室中がどよめいたかと思ったら、一気にお祭り騒ぎになった。

 もはや2学期から遅れた高校デビューをかました織田くんの存在は、みんなの意識から完全に消え失せてしまっている。

「えっ、なになに!? どゆこと!?」
「まさかの転校生!?」
「留学生って言ってたよな!?」
「めっちゃ美人じゃね?」
「金髪きれー!」
「可愛い~」

「でもなんでこんな時期なんだ?」
「お前知らないのかよ、海外は9月入学が普通なんだぞ」
「なるほどそういうことか」

「そんなことよりお前ちょっと話しかけてみろよ?」
「何で俺だよ? お前が行けよ」
「おいおいそんなこと俺にできるわけないだろ」

「リエナちゃんって言ったよな?」
「あの新しい席ってリエナちゃんのだったんだ」
「留学生ってだけあって日本語上手だなぁ」

 などなど、教室の全員がリエナに全集中しているからだ。

 これを見て、俺は担任の先生の計略を察した。

 これって絶対に、ホームルームでリエナを紹介したら収拾がつかなくなるから、先に俺と一緒にクラスに行かせたよな?


「じゃあリエナ、行くぞ。俺の机はあそこで、隣の1個だけ綺麗な机がリエナの席だ」
「はい、勇者様♪」

 期待にざわめきながらも、なかなかリエナとの最初のコミュニケーションを図れないでいるクラスメイト達を突っ切って、俺はリエナを机へと案内した。

 そしてそんな様子を見てやっと、リエナと俺がセットであることにみんなは思い至ったようだ。

「なぁなぁ勇者様ってなんだ?」
「なんだってそりゃ織田の下の名前なんだろ?」
「織田勇者って名前だったのか、知らなかった」
「まぁ最近だとなくはないのかな?」
「古い名前でも『正義』とか『英雄』とか『勝利』とか普通にいるしな」

「名前なんか親がつける親ガチャの1つなんだからどうでもいいじゃん。それより俺のリエナちゃんは織田と知り合いなのか? そこが一番大事だろ?」

「まぁそうっぽいよな」
「めっちゃ仲良さそうだもんな」
「っていうか恋人? 付き合ってそうじゃね?」
「そもそもの話として、リエナちゃんはお前のじゃねえよ」

「時期的に夏休みに何かあったのかな?」
「っていうか織田ってあんなに明るかったっけ? 別人みたいじゃね?」
「つまり夏休みにリエナちゃんと出会って変わったってこと?」

「そもそも織田がどんな奴だったかほとんど覚えてないんだけど」
「少なくとも朝一で元気よく挨拶して教室に入ってくるタイプじゃなかったな。帰宅部だし」
「俺もほとんど別人に見えるかも」
「前は暗くてちょっと話しかけにくかったもんな」

 いやおいちょっと待て。
 俺がネクラで話しかけにくかったってのは事実だから別にいいとして。

 織田勇者はないだろ、織田勇者は。
 どんなキラキラネームだよ。

 しかもなんでそこでみんな普通に納得してるんだよ?
 このクラス、斜め上に順応性高すぎだろ。

 クラスメイト達が遠巻きに見ている中、

「修平、おはようさん。あとリエナエーラさん……えっとその……あの、お、おはようございます……」

 俺の高校での唯一の友人・柴田智哉が近寄ってくると、おどおどと挙動不審気味に話しかけてきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
【週三日(月・水・金)投稿 基本12:00〜14:00】 異世界にクラスメートと共に召喚された瑛二。 『ハズレモノ』という聞いたこともない称号を得るが、その低スペックなステータスを見て、皆からハズレ称号とバカにされ、それどころか邪魔者扱いされ殺されそうに⋯⋯。 しかし、実は『超チートな称号』であることがわかった瑛二は、そこから自分をバカにした者や殺そうとした者に対して、圧倒的な力を隠しつつ、ざまぁを展開していく。 そして、そのざまぁは図らずも人類の命運を握るまでのものへと発展していくことに⋯⋯。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~

名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」 「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」 「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」 「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」 「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」 「くっ……」  問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。  彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。  さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。 「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」 「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」 「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」  拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。  これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

処理中です...