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第1章 異世界を救った勇者、リエナと共に現実世界に帰還する。

第8話 職員室にて

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「まずは職員室だな」

 学校に着いてすぐに、俺はリエナを職員室へと案内した。
 ほんのわずか、話が通っていなかったらどうしようかと思ったけれど。

「織田、エリアスさんをわざわざ案内してくれてありがとうな」

 担任の先生は予定通りといった様子で自然とリエナを受け入れてくれていた。

 よし、ちゃんと「そういうこと」になっているみたいだな。
 女神アテナイを信用してなかったわけじゃないけど、世界改変なんてことが起こってる以上、若干の不安はなくはなかったのだ。

 ちなみに「エリアス」はリエナの名字だ。
 リエナエーラ=エリアスがリエナの本名なんだけど、

「先生、どうぞリエナとお呼びください。国でも皆からそう呼ばれていましたので」
 リエナがにっこり笑ってそう言った。

「そうか……ふむ、先生が生徒を愛称で呼ぶのはどうかと思わなくもないんだが。呼ばれ慣れた呼び方の方が、日本の生活にも慣れやすいかもしれんな。じゃあ今後はリエナさんと呼ぶことにしよう」

「お気遣いありがとうございます」

「じゃあ俺はこれで失礼しますね」

 そんなやりとりを見ながら、リエナを案内し終えて用が済んだ俺は、リエナを残して職員室から退出しかけたんだけど。

「……ああ、ちょっと待ってくれないか織田」

「はい、なんでしょう?」

「リエナさんは織田の家にホームステイしていて、昔からの知り合いでもあるんだろう? しかも勇者様と呼ばれて懐かれているとか。だからついでにこのままクラスまで案内してやってくれないか?」

 担任の先生が突然そんなことを言ってきたのだ。

「それは構いませんけど。そのまま始業式もリエナと一緒に出れば良いってことでしょうか?」

「本来なら始業式の間は職員室で待機してもらう予定だったんだが、慣れない日本だろう? リエナさんも織田と一緒の方が安心するだろうと思ってな」

「はい、勇者様と一緒の方がすごく安心できます!」
 言いながらリエナがちょこんと俺の制服の袖を摘まんでくる。

「それに今日の織田は少し雰囲気が違う気がするんだ。任せたくなるようなどっしりとした安心感がある。あと明るくもなったな。夏休みの間に何かあったのか?」

「ええまぁ、ちょっと色々ありまして……」

 さすが担任の先生だ。
 陰キャの俺のことも実によく見てくれている。

 いやまぁそれが先生の仕事といえばそうなんだけど。

 とかく影の薄いネクラ陰キャにとって、親以外で数少なく自分に興味を示してくれる人間が担任の先生なんだよなぁ……。
 
「クラスは織田と同じ1年5組、机も織田の隣に新しく用意してある。真新しい机だからすぐに分かるはずだ」

「はい、分かりました」

「じゃあ頼んだぞ。始業式の時は横についてやっててくれ。リエナさんも分からないことは何でも織田に聞くように。少しくらい話していても注意しないよう、他の先生には伝えておくから」

「はい、先生。ご厚意ありがとうございます」

 とまぁそんなこんなで。
 先生の言いつけに従って、俺はリエナを教室へと案内することにした。

 しかし、この時の俺は不覚にも気付いていなかった――先生のしかけた巧妙な計略に。
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