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第1章 異世界を救った勇者、リエナと共に現実世界に帰還する。

第7話 リエナと一緒に高校へ

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「とりあえずリエナはうちにホームステイすることになってるみたいだな」

「ですね。勇者様と一緒のおうちで暮らせるだなんて、まさに望外の幸せです。偉大なる女神アテナイのご計らいに心からの感謝を」

 リエナが歩きながら手のひらを組んで簡易のお祈りポーズをとった。
 見慣れた神官服ではなくまっさらの制服を着た女子高生になっても、その姿は実に堂に入っている。

「それと今のリエナってどう考えても日本語を喋ってるよな」

 そうなのだ。
 俺とだけならまだしも、リエナは母さんとも普通に会話をしていた。
 つまり日本語を知らないリエナが、日本語で会話していたのだ。

「勇者様が女神アテナイより授けられた、全ての言語を即時理解する最上位スキル『神意広達』ほどではありませんが、私もこの世界に転移する時に言語系のスキルを授けていただいたみたいですね」

「なるほどな。っていうかあの通訳スキルにそんな名前があったのか……」

 5年の異世界生活を終えて日本に戻って初めて、通訳スキルの正式名称を知ったんだが……。
 こうやってリエナがついてこなかったら、俺知らずに一生を終えてたぞ?

「あれ、言ってませんでしたっけ?」

「聞いた覚えはないかな? 異世界転移した初日に、女神アテナイの加護ですってサラッと流された記憶はあるけど」

「あの時は言葉が通じないなら問題ですけど、普通に通じていたのでそんなに深堀りすることでもないかなって思ったんですよ」

「さすがリエナだな、とても合理的な判断をしてる」

 そりゃ特に何もなく言葉が通じてたんだから、そこを問題にする必要はないと言えばなかったよな。
 そんな些細なことよりも、とっとと聖剣『ストレルカ』を抜いて世界を救う旅に出てくれって気持ちだったろうし。

 ――と、

「!? 馬のない馬車がすごいスピードで人を運んでいます! 察するに、もしやあれが旅の途中に勇者様が言っていた『自動車』という乗り物ですね!?」

 人通りの少ない住宅地から車がバンバン走る県道に出た途端、リエナが指を差しながら興奮気味に騒ぎ始めた。

「すごく速いです! しかもこんなにたくさんの自動車が走っているなんて! あ! 人をいっぱい乗せた大きなのが来ましたよ!」

 興奮しすぎて大声で実況解説しちゃっているリエナを、道行く人たちがクスクス笑いながら視線を向けてくる。

「リエナ、できれば驚くのはもう少し控えめにしてくれると嬉しいかな。周りの人が苦笑してるからさ」

 ただでさえリエナは美少女+外国人+さらさら金髪+制服女子高生と属性盛り盛りで目立ちまくっているのだ。
 それが自動車を指差して興奮していたら、目立たないはずはなかった。

「あ、す、すみません。あまりの衝撃の大きさに、つい興奮して声が大きくなってしまいました」

 しかしリエナは一度大きく息を吸って吐くと、すぐに落ち着きを取り戻してみせた。
 この辺りの切り替えの早さも、さすがはリエナだな。

 そのまま現代社会についてリエナの質問に答えながら歩いていく。

「武器防具がないので、早めに買いそろえたいところですね。特に勇者様の強大な力に耐えられる剣を入手しないとです」

「日本には武器とか防具を売ってる店はないな」

「ええっ!? 武器防具屋が存在しないんですか!? じゃあどこで武器や防具を調達したり、手直ししたりするんでしょうか? ないことになっているけど、実質公認の闇市場があるとか? それともまさか各々が手作りしてるんですか?」

「朝言っただろ? そもそも日本は平和だから武器とか防具が必要になることはないんだよ」

「武器を持っていたら捕まるとは言ってましたけど、武器防具屋が存在すらしていないなんて信じられません。つまり何かあった時のために防衛用に家に武器を置いておくのもダメってことですよね?」

「よその国じゃ認められてるところもあるけど、日本じゃそれもダメだな。武器は護身用でも全部アウトだ」

「何かあったらどうするんですか?」
「『何か』がほぼないのがこの国なんだ」

「ふはぁ……」

「その代わり可愛い服を扱ったお店はいっぱいあるから、また今度一緒に行ってみようぜ。残念ながら俺はそういうのに詳しくないから、案内とかはできないんだけど」

 駅前の大きなショッピングモールに行けば、いくらでもそういうお店はあるだろう……あるよな?

 とかなんとか話していると、すぐに懐かしさすら感じる高校へとたどり着いた。
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