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第2章 リエナと過ごす日常生活

第21話 帰還勇者の圧倒的な戦闘能力

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 そうしてリエナもすっかりこの世界と高校生活に馴染んできた頃。

「今日はだいぶ遅くなっちまったな」

「ですね。でもみんなで文化祭の準備をするのは楽しかったです。『1―5いちご喫茶スカーレット』、今からもう楽しみです♪」

 『1―5いちご喫茶スカーレット』というのは、クラス出し物のホットケーキ喫茶店の名前だ。
 うちのクラスは当日はみんなで赤色の服を着て、ちょっとしたコスプレ喫茶店を開催することになっているのだ。

「だな。俺もガッツリ参加する文化祭は初めてだから楽しみで楽しみでさ」

 かつて陰キャだった頃の俺は、文化祭もその準備も息をひそめて過ごしていたから。

「ふふっ、一緒ですね」

「ってわけで、早く帰ろうぜ。ちなみに今日の晩飯は皿うどんだって言ってたぞ」

「皿うどん!? また聞いたことのない料理の名前です! それにうどんをお皿で食べたら、お汁がこぼれちゃうじゃないですか?」

「まぁ見てのお楽しみだ」

 そうしていつもと違ってすっかり暗くなった通学路を、俺はリエナと平和に歩いていたんだけど――。

「……!? 勇者様、この気配って――!」

 突然リエナが立ち止まると、遠くの気配を感じ取ろうと意識をどこかに向けるしぐさを見せた。
 少し遅れても俺もその気配の存在に気づく。

「……これって魔獣の気配だよな? でもどういうことだ? なんでこの世界に魔獣の気配があるんだよ?」

「分かりません。何か別のものと勘違いしている……のもしれませんし」

 そう言いながらも、リエナはもう魔獣がいることを確信しているかのような真剣な顔をしていた。

 それも当然か。

 サポート能力に秀でたリエナは、ほぼ戦闘専門の俺よりも探知能力や精度がはるかに高い。
 まだ曖昧にしか気配を捉えきれてない俺と違って、おそらくもう既に確信に近い感覚があるんだろう。

「勘違いかどうかを確認するためにも、まずは気配のするところに向かおう。もし本当に魔獣がいたら大変なことになるからな」

「ですね」

「女神アテナイよ、俺に邪悪を退けし勇者の力を――『女神の祝福ゴッデス・ブレス』!」

 俺は勇者の力を開放すると、

「リエナ、急ぎだから抱っこしていくぞ」
「は、はい!」

 リエナをお姫様抱っこして、魔獣の気配がする方向へ一目散に走り始めた。

 途中リエナに細かい方向を指示してもらいながら、気配のする場所までたどり着く。
 そこは都市の緑化のために整備された大きな公園で、

『グルルルルルルルルル――――ッ!』

「あれは上位魔獣のグレートタイガーです!」
 
 リエナの指差した先で1体の大型の魔獣が獰猛な唸り声をあげていた。

 しかし既に辺りは暗くなっていて、しかも平日ということもあって辺りに一般人がいないのが幸運だった。

「リエナ、何はともあれとりあえずアレを討滅するぞ」

「どうぞお気をつけて」

「上位魔獣1体程度、平和ボケしてても俺の相手にはならないさ」

 俺の存在にグレートタイガーが気付く。
 だがもう遅い!

 リエナを降ろした俺は、弾丸のような神速の踏み込みでグレートタイガーの懐に一気に踏み込むと、

「おおおおぉぉぉぉっっ! 聖光解放! 『セイクリッド・インパクト』!!」

 勢いそのまま強烈な右ストレートをグレートタイガーにお見舞いした。

 白銀の聖なるオーラに覆われた俺の拳が唸りを上げ、グレートタイガーの胸元に当たって激しく光を放って爆ぜる。

『グギャァァァァァッッ!?』

 グレートタイガーの断末魔の絶叫が響きわたり、光が収まった時にはもうそこにグレートタイガーの姿は存在しなかった。

 聖光解放『セイクリッド・インパクト』。

 強大な物理打撃力とともに、女神アテナイの聖なる力を相手に叩き込んで身体の内部から焼き清めることで跡形もなく消し去るという、邪悪を討滅するための勇者の奥義だ。

 本来は聖剣『ストレルカ』を振るいながら使う技なんだけど、たとえ拳一つだったとしてもこんな風に強大な威力を誇る、俺の頼れる必殺技だった。
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