20 / 88
第2章 リエナと過ごす日常生活

第20話 智哉の極秘ミッション(2)

しおりを挟む
「へへっ、ありがと。実は最近はずっともうこれにかかりっきりでさ。特に頭部は納得いかなくて何度も作り直したんだ」

 頭部をカポっと外して素顔を晒した智哉が、お気に入りのオモチャを紹介する男の子みたいに誇らしげな顔で言った。

「その成果は間違いなく出てるぞ」
「ですね!」

「ちなみにあごの所にレバーが仕込んであって、こうやってレバーを動かすとモノアイが左右に動くんだ。って言ってもちょっとだけどな」

「動くだけですごいだろ」
「ほんと凝ってますよね」

「しかもだ! 実際にパーフェクトグレードのプラモを買ってきて、細かいところまで見比べて再現してるんだぜ? 寝る前に作業進めるかって思って作り始めて、気付いたら朝だったりしてさ。おかげで未消化の今期アニメがレコーダーに溜まりに溜まってるから、これからしばらくはそっちに全集中しないとだよ」

 実にアニオタらしい悩みを言いながら笑う智哉。

 チラリと本棚に視線を向けると――智哉はプラモデルは作らないはずなのに――そこには1体の大きなシ〇ア専用ザ〇が、両手でマシンガンを構えるカッコいいポーズで飾ってあった。

「本当はさ、冬コミデビュー用にって思ってたんだけど。修平に言われて文化祭に間に合うように気合入れて頑張ってみて良かったよ」

「そっか、うん」

「期間が短かったから無理かなって思ってたんだけど、逆にすごいやる気が出てさ。ありがとな修平」

「なに言ってんだよ。俺は軽く提案しただけで、その後は全部智哉が一人でやり遂げたんじゃないか」

「そうですよ、ここは智哉さんが一人で誇っていいところです!」

「修平、リエナさん……」

「文化祭当日は楽しみにしてるからな? このコスプレで客引きしたら、お父さん世代はもうついてこずにはいられないぞ? クラス出し物のホットケーキ喫茶店もすぐに完売するだろうな」

「おうよ、当日は任せとけ! これなら顔を晒さなくていいし視線も合わせなくていいから、人前に出ても割と気楽にいられるだろうし」

「なるほど、そこまで考えてたのか。用意周到だな」

「人の目を見て話すのが苦手な自分のことは、自分が一番よく分かってるからさ」

 そんな智哉の気持ちが、かつて同じく陰キャだった俺にはどうしようもなく分かってしまう。
 俺もずっと人の目を見て話すのが苦手で、視線が合ってしまうとそれだけでキョドってしまうことが多かったから。

 そしてだからこそ、俺はこの提案を智哉にしたわけなんだけど。

 俺はある日突然、異世界『オーフェルマウス』に召喚されて勇者になったことで、変わることができた。
 『オーフェルマウス』では魔王の脅威にみんなが苦しんでいて、勇者適性が極めて高い俺に最後の望みを託していた。

 だから変わらざるを得なかった。
 リエナたちを守るために、俺は陰キャを辞めてみんなの求める最強の勇者にならざるを得なかった。

 でも変わって良かったって思っているんだ。

 智哉だって別に社会や人間が嫌いなわけじゃない。
 俺以外の友達が増えたらいいなと思ってるし、可愛い彼女が欲しいとも思ってるんだ。

 でも自分に自信がなくて、自分を否定されるのが怖くて、最初の一歩が踏み出せないだけなんだ。
 かつての俺がそうだったように。

 だから今回の件を切っ掛けに智哉も少し変われたらいいなと。
 俺は変わることができた先輩として、文化祭にかこつけて少しだけ智哉にお節介をしたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~

名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」 「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」 「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」 「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」 「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」 「くっ……」  問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。  彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。  さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。 「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」 「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」 「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」  拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。  これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...