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第3章 文化祭

第55話 戦いの余波

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「くくっ、多少リードしたからといってあまり調子に乗るでないぞ?」

 そう言ったドラグレリアは、いつの間にか犬歯が牙のように少し伸びて飛び出していた。
 しかも頭には小さな角まで出始めている。

 これはまさか――

「ちょ、おいお前。ドラゴンが顔に出かけてるじゃねーか!? 少しは隠す努力をしろよこの大馬鹿野郎!」

「そうは言うてものぅ。もはや人化変身に力を割いておる余裕はないのじゃ。なにせわらわときたら、負けるのが大嫌いなのじゃからの」

「だからって――、くっ! この野郎! 舐めんな! だったら俺も本気の本気でマジの速攻で終わらせてやるっつーの!」

 力がどんどんと増していくドラグレリアに対抗するように、俺も左手に渾身の力を込める。

 再び拮抗する力と力。

「おおおおおぉぉぉぉぉっっ!!」
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

 勇者とドラゴンのガチマジの力の発露によって、大気がビリビリと振動し始めた。
 周囲の小物が余波を受けてカタッ、カタカタッと小さく揺れ始める。
 俺とドラグレリアの闘気がぶつかり合ったところでは、小さな火花がいくつも散っていた。

「恨むならわらわをこうまで昂らせる、その圧倒的なまでの己の強さを恨むのじゃな」

「本気でやれって言ったのはお前の方だろうが、勝手なことばっかり言いやがって!」

「言ったであろう。強き者との戦いに焦がれるはドラゴンの本能より深いところに刻まれた業であるとの。理性を通り越して、魂が昂らずにはおられんのじゃよ!」

「あーもうほんとドラゴンって脳筋の種族はよ……! でもだからこそ、ここでお前を負かしてやる、完膚なきまでにな。どっちが上か白黒はっきりつけてやる」

「受けて立つのじゃ」

 渾身の力を込めて腕相撲をしながら、ドラグレリアと再び舌戦を繰り広げていると――。

「なんかさっきから空気が揺れてないか? 気のせい?」
「俺もなんか変な感じがする。肌がピリピリするっていうか」
「静電気かな?」
「こんな暑い日にか?」

「なぁなぁ、ピシッ、ピシッって火花みたいなのが飛んでない?」
「飛んでる飛んでる。小さな破裂音みたいなのもしてるよな」

「っていうか台がミシミシ言ってないか?」
「嫌な音して軋んでるよな。今にも壊れそうだけど大丈夫かな?」

「それよりあの二人から黒と銀のオーラみたいなの出てない? なにあれ?」
「なんなんだろうなあれ? 俺もずっと気になってたんだ」
「コスモ?」

「っていうかさっきあの女の人、片手一本で人一人持ち上げてなかった? 俺の見間違え?」
「俺も足が完全に浮いてたように見えたけど」
「あんな細身の女の人なのにどうやったんだ?」
「さぁ……ワイヤーで吊ってたとか?」

 ギャラリーがざわざわとし始めた。

 くっ、さすがにこの状況を誤魔化すのは不可能か。
 なんかもう何から何まで明らかに常軌を逸しているもんな。

 でももう俺も引き下がれないんだ。
 ドラグレリアを叩きのめすのが今この場での最優先だから。

 俺は決意を新たにドラグレリアとの腕相撲を続けていたんだけれど。

 しかしここには俺だけではなく、聡明なリエナがいた。

「よしよしうんうん、最新の特殊効果はばっちりですね。今日のためにプロの演出家の方に頼んで、事前にエフェクトを準備してきた甲斐がありました」

 さりげなく――だけどしっかりと周囲に聞こえるようにハキハキと――これが予定されていた特殊効果によるものであると、しれっと嘘の説明をするリエナ。

 それでもさすがにちょっと苦しいかな……?

「「「今日のために用意した特殊効果だってさ! この学校の文化祭は凝ってるなぁ!」」」

 オッケー!
 ギャラリーが物分かりのいい人たちばっかりで本っっっっっっっっ当に良かったよ!!

 ならばもう、後は思う存分戦って勝ち切るるのみ!

 それとリエナ、サポートありがとな。
 リエナの機転の良さは本当に頼りになってるからな!
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