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第3章 文化祭

第54話 最強最悪の皇竜の娘vs『最強不敗の絶対勇者』(腕相撲編)

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「おぉぉぉぉっっっ!!」
 開始の掛け声とともに、俺は全力を込めてドラグレリアの腕を倒しにかかった。

 しかし、

「くふふふふふ……よいのよいのう! さすがは『絶対不敗の最強勇者』と呼ばれるだけのことははある! 素晴らしいのぅ! これならばわらわも思う存分に力を出せるというもの――!」

 ドラグレリアの腕はビクともしやがらない。

「おおおおぉぉぉぉぉっっっっ!!」

 さらに猛烈な力を込めるも、

「くくっ、あれだけグズっておったと言うのに、一度やると決めたらまるで別人じゃのう。とても人間族とは思えん驚異的な力を、容赦なくこれでもかと叩き込んできよるのじゃ。さすがは我が父をほふった史上最強の勇者よ! よいのぅ、たまらんのぅ!」

 やはりドラグレリアの腕はピクリとも動かなかった。
 互いの力が完全に均衡して、開始位置からピクリとも動きやしない。

 まるっきりさっきのクマ先輩との勝負の焼き直しだな。
 完全に力が拮抗している。

 しかもドラグレリアの頬は朱に染まり、口調は妙に早口で、俺との互角の戦いに興奮しているのが一目で伝わってくる。

 だがな。
 今の俺は勇者なんだ。
 こんな程度で終わりはしないぞ?

 見せてやる、史上最強と言われた勇者の力ってやつをな――!

「うおおおおおぉぉぉぉぉあああぁぁぁぁ――――っっ!!!!」
 獣の咆哮のごとき俺の雄たけびと共に、ドラグレリアの腕がゆっくりと倒れ始めた。

 強引にねじ伏せようとする圧力にミシミシと耳障りな音を立てているのは、俺の骨か。ドラグレリアのそれか。
 それともその両方か。

「ぬぅ……? むぅっ!? なんじゃと……?」
 押し込まれ始めたドラグレリアが驚いたような顔を見せる。

 そしてその状況を見たリエナがハッとしたように解説を始めた。

「これはまさか!? 本来は総合的にパラメータが向上する総合スキル『女神の祝福ゴッデス・ブレス』による能力値アップを、パワーにだけ大きく割り振っているんですか!? そんなことができるだなんて!」

 そう。
 リエナの解説してくれた通りだった。

 俺は全体的にバランスよく能力値を向上させる『女神の祝福ゴッデス・ブレス』によるパラメータアップを、今は『パワー』にだけに特化して割り振っていたのだ。

「実はこの世界に帰還してから、暇な時にネットで異世界ファンタジーを読んでたんだよな」

「カクヨムと小説家になろうでしたっけ? 無料で読めるんですよね? 時々スマホで読んでいたのは知ってますけど、急にどうしたんですか?」

「俺はあれで『異世界あるある』を楽しんで追いたんだ」

「それはまた、異世界を実体験した勇者様ならではの楽しみ方ですね」

「それでその中にパラメータをバフするバッファーって職業が主人公の作品があってさ。そこで相手や状況に合わせて、バフスキルの能力アップ値を割り振って調整するシーンがあったんだ。それを応用させてもらった」

「ですが本来スキルや加護は、決められた効果が決められたとおりに発揮されるはず。消耗を避けるために威力や効果を落とすことはできても、個別に調整し直すことができるなんて初めて聞いたんですけど……」

「なんでもやってみるもんだよなぁ」

 この知見をくれたネット小説さんありがとう。
 おかげで助かったぜ。

 ちなみに読んだのは、

・S級【バッファー】(←不遇職)の俺、結婚を誓い合った【幼馴染】を【勇者】に寝取られた上パーティ追放されてヒキコモリに→金が尽きたので駆け出しの美少女エルフ魔法戦士(←優遇職)を育成して養ってもらいます
https://www.alphapolis.co.jp/mypage/content/detail/233532411

 って作品だ。
 タイトルは少しアレだけど、ベテランの軍師系主人公が培ってきた経験と圧倒的な知識で、駆け出しのエルフの少女をSランク冒険者へと育て上げる育成系異世界ファンタジーだ。
 面白いからおすすめだぞ!

「おそらくこれも、勇者様が女神アテナイにとりわけ深く愛されているからこそなのでしょうね」

 リエナがなんとも感慨深くつぶやいた。

 さてと、ネタばらしはそれくらいにしてだ。
 俺はリエナとのやりとりを終えると、さらにパワーにだけステータスアップを重点的に割り振って、一気に勝負を決めに行こうとする。

 だがしかし、

「なに……っ!?」
 そこでピタリと俺の腕が停止した。

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