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第四章「昔語り」
第42話 姉の携帯電話
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「携帯、携帯を――」
ガクガクと震え言うことをきかない手で、ポケットから唯一の心のよりどころであるピンクの携帯電話を取りだそうとして――、
「ぐ、あ――ぐガ――」
突如として襲ってきた今日一番の過呼吸によって、俺は携帯電話を取り落としてしまいそうになり、しかし震えながらも慌てて両手で掴み直したのだが――、
「――ぁ」
その時に震える指先が操作キーに触れてしまって、俺は意図せず空メールを誤送信をしてしまう。
送信先は履歴の一番上、マナカを除いてはほぼ唯一の送り先である――それは、今は亡き最愛の姉の携帯アドレスだった。
そしてその直後――誤送信から2秒ほどで――、
ブブブ、ブブブブ。
『俺の持っていたピンクの携帯』が小さく震えると、メールの着信があったことを伝えてくる――。
こんな絶妙のタイミングでいったい誰から?
見なくても分かる、送信元は『姉の携帯電話』からだった。
――そりゃそうだろう。
だって今、メールを送ったこの『ピンクの携帯電話』は――、「お守りだよ」と渡されたこの『ピンクのくまさんが付いた携帯電話』は――、送信先だった『姉の携帯電話』そのものでもあるのだから――。
そう。あの日から。
大好きだった姉の死を受け入れられなかった俺は――、僕は――、剣部優刀は――。
心にぽっかりと開いた欠落を埋めるために、鬼籍に入った姉にメールを送るという代償行為でもって、どうにか精神の安定を保っていたのだから――。
そんな俺の弱さの象徴とも言うべき携帯電話を握りしめて、それだけを心のよりどころとして、俺はただただうずくまって震え続ける。
いつものようにいくらか症状がおさまるまで、ずっとずっとずぅっと。
ただただずっと、震え続けるしかない――はずだった。
「もう大丈夫だよ、ユウトくん」
そんな俺のところに全速力で走ってきたマナカが、震えて縮こまっている俺を安心させるように言うと、そっと優しく抱きしめてくれたのだ。
「大丈夫、大丈夫だよ」
「くっ、はっ――」
「落ち着いて、ね。はい、しんこきゅー」
言いながら、マナカは俺の頭を包み込むようにして宝物を扱うようにして自分の胸へと抱き抱えてくる。
呼吸を誘導するように、ゆっくりと優しく背中がさすられて。
世代を超えて育ちきったマナカの胸に、俺は赤ちゃんみたいに顔をうずめた様な格好になってしまっていて。
するとどうだろう、あれだけ苦しかった過呼吸が、ふっと和らいできたのだ。
しかもなんということだろうか、ちょうどマナカの胸のところでシャツのボタンが一つ外れてしまっており、
「――!?」
俺はそこにガッツリと顔を突っ込んでしまっていたのだった。
ブラジャーの柔らかい布地と、それをはるかに凌駕する瑞々しい乙女の柔肌に触れて――俺は何とも言えない幸せな気持ちに包まれていたんだけれど――
いやこれマナカは気付いていないのか!?
ガクガクと震え言うことをきかない手で、ポケットから唯一の心のよりどころであるピンクの携帯電話を取りだそうとして――、
「ぐ、あ――ぐガ――」
突如として襲ってきた今日一番の過呼吸によって、俺は携帯電話を取り落としてしまいそうになり、しかし震えながらも慌てて両手で掴み直したのだが――、
「――ぁ」
その時に震える指先が操作キーに触れてしまって、俺は意図せず空メールを誤送信をしてしまう。
送信先は履歴の一番上、マナカを除いてはほぼ唯一の送り先である――それは、今は亡き最愛の姉の携帯アドレスだった。
そしてその直後――誤送信から2秒ほどで――、
ブブブ、ブブブブ。
『俺の持っていたピンクの携帯』が小さく震えると、メールの着信があったことを伝えてくる――。
こんな絶妙のタイミングでいったい誰から?
見なくても分かる、送信元は『姉の携帯電話』からだった。
――そりゃそうだろう。
だって今、メールを送ったこの『ピンクの携帯電話』は――、「お守りだよ」と渡されたこの『ピンクのくまさんが付いた携帯電話』は――、送信先だった『姉の携帯電話』そのものでもあるのだから――。
そう。あの日から。
大好きだった姉の死を受け入れられなかった俺は――、僕は――、剣部優刀は――。
心にぽっかりと開いた欠落を埋めるために、鬼籍に入った姉にメールを送るという代償行為でもって、どうにか精神の安定を保っていたのだから――。
そんな俺の弱さの象徴とも言うべき携帯電話を握りしめて、それだけを心のよりどころとして、俺はただただうずくまって震え続ける。
いつものようにいくらか症状がおさまるまで、ずっとずっとずぅっと。
ただただずっと、震え続けるしかない――はずだった。
「もう大丈夫だよ、ユウトくん」
そんな俺のところに全速力で走ってきたマナカが、震えて縮こまっている俺を安心させるように言うと、そっと優しく抱きしめてくれたのだ。
「大丈夫、大丈夫だよ」
「くっ、はっ――」
「落ち着いて、ね。はい、しんこきゅー」
言いながら、マナカは俺の頭を包み込むようにして宝物を扱うようにして自分の胸へと抱き抱えてくる。
呼吸を誘導するように、ゆっくりと優しく背中がさすられて。
世代を超えて育ちきったマナカの胸に、俺は赤ちゃんみたいに顔をうずめた様な格好になってしまっていて。
するとどうだろう、あれだけ苦しかった過呼吸が、ふっと和らいできたのだ。
しかもなんということだろうか、ちょうどマナカの胸のところでシャツのボタンが一つ外れてしまっており、
「――!?」
俺はそこにガッツリと顔を突っ込んでしまっていたのだった。
ブラジャーの柔らかい布地と、それをはるかに凌駕する瑞々しい乙女の柔肌に触れて――俺は何とも言えない幸せな気持ちに包まれていたんだけれど――
いやこれマナカは気付いていないのか!?
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