討滅の刃 -漆黒の復讐者- darker than "The BLUE"

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

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エピローグ

第83話 学術的好奇心?

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 そんなこんながあって――俺は今ベッドの上で、マナカに後ろから抱っこされていた。

「はい、あーん」
「子ども扱いはやめてくれ」

「はい、あーん」
「ふん……」

「あーん」
「…………」

「あーん」
「…………ごふっ」

 マナカの度重なる要求を無視し続けていた俺は、業を煮やしたマナカによってウイダーインゼリーを無理やり口に突っ込まれた。
 さわやかなグレープフルーツの甘味が口の中に広がっていく。

「えらいでちゅねー、よくできまちたねー」
「ふごえがふっごんふぁんふぁほ!(お前が突っ込んだんだろ!)」

 確かに動けない状態で食べさせてくれるのはありがたいし、正直のどの渇きも限界だったから本気で助かったのは間違いないんだけれど。
 それでも小さな子供扱いされるのは、男のプライド的にあまりよろしくないのである。
 せめて赤ちゃん言葉は止めてほしい。

「ふぅ、食べたらちょっとトイレに行きたくなってきたな……いやなんでもないぞ」
「……仕方ないなぁ」

「いやいい、なんでもない、独り言だ。今のは忘れてくれ」
「我慢は身体によくないよ?」

 マナカが弱った獲物を見つけた肉食獣のような、ニヤリとした笑みを浮かべた。

「大丈夫だ、問題ない。こう見えて我慢するのにはめっぽう慣れてるんだ」
「じゃあさっそくおトイレに行ってみよう!」

 言って、俺を抱えたままずりずりと引きずりはじめたマナカ。
 昔はいつも外で遊んでたってだけあって、女の子にしては割と力があるんだよな。

「いや、いいから――って、おい、何をしようとしているんだ……?」
「んー? おしっこするんだから、それはもちろん、ねぇ?」

 とてつもなく嫌な予感がした。

「まぁまてマナカ、話せば分かる」
「問答無用!」

 ぐぅっ、ダメだ。
 抵抗しようにも全身筋肉痛でまったく力が入らない……!

「いやほんと待て――いえ、待ってくださいマナカさん」
「大丈夫、これは好奇心――ううん、ただただこれは献身の気持ちだから、ね?」

「今『好奇心』っつたよな? 言ったよなぁ?」
「そうでしたっけ、ウフフ」
「ウフフじゃねぇよ」

「学術的好奇心という意味では、無きにしもあらずではあります」
「あ? なにがどう学術的なんだ? 学生だからってなんでも学術的ってつけておけば許されると思うなよ?」

「もう、ユウトくんったら、恥ずかしがらないの。めっ!だよ」
「この状況を恥ずかしがらない奴がどこにいる!? あといい加減その子ども扱いはやめろ――って、あ、おい、ズボンに手をかけるな……おい、下ろすな、ちょ、おまっ――」

「いやん、ユウトくんのって思ってた以上に大きいかも……それにお父さんのよりムキムキ元気な感じ? ぽっ」
「顔真っ赤にして恥ずかしがるくらいなら、やめろよな!? 今ならまだ間に合うから!」

「不退転の決意です」
「んなもん、せんでええっちゅうねん」

 おかしい、どうしてこうなった?
 命がけの激戦を潜り抜けた俺とマナカは、それなりにいい感じの関係性を構築した――んじゃなかったのか??

 なのにどうしてこんなことに!?

「マナカ、考え直せ。人生は長い、まだまだ焦る時間帯じゃない」

 俺はこれ以上なく真面目な顔をしてお願いをした。
 したのだが。

「二人の初めての共同作業です」
「聞く耳もっちゃくれねぇ……! あとなんだその結婚式のナレーションみたいなフレーズは。だいたい初めての共同作業が用を足すことでいいのか? 明らかにおかしくないか? ねぇ、聞いてますかマナカさーん!」

「はーい、しーしーしましょうねー。はい、おちんちん持ちますよー」
「分かった、分かったから、せめて一々事細かに実況するのはやめてーー!」


 この後しばらく俺とマナカの騒々しい会話は途切れることはなく。
 俺とマナカの賑やかに過ぎる日々はこうして幕を開けたのだった。


「討滅の刃 -漆黒の復讐者- darker than "The BLUE"」  ~完~
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