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第2章 高校デビュー
第13話 論破合戦するほど仲のいい兄妹?
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シャンプーのCMに出てくる女優さんのような、さらさらでキューティクルな長く美しい黒髪。
端正に整った顔立ち。
ひまりちゃんが太陽の下で元気に咲くパンジーの花のように愛くるしい可愛さだとしたら、雪希は月明かりに照らされた百合の花のような高貴な美しさを持っていた。
「だってー、アキトくん。頑張った甲斐あったね~♪」
「はいはい……。ごめんな、雪希。ひまりちゃんはちょっとブラコン気味なんだ」
「えー、妹がお兄ちゃんを好きで何が悪いの?」
「物には限度ってものがあるんだよ。お金だって借り過ぎるとそれ以上は貸してくれなくなるだろ?」
「お金と違って兄妹愛には限度額なんてないしー」
「あるよ。世間体とか一般常識って言う形でね」
僕とひまりちゃんの間で、論破合戦を始まった。
(幼い頃にイキっていた僕の影響で、ひまりちゃんはすごく論破合戦が得意なのだ。それこそ僕よりも)
「それってつまり、誰かに迷惑をかけないためのルールだよね?」
「ここには雪希がいる。雪希だって度が過ぎたブラコンを見せられたら、反応に困るだろ?」
「つまり雪希ちゃんが困ってなければいいんだよね? ね、雪希ちゃん。困ってないよね?」
「困ってるよな、雪希?」
「ふふっ、本当に仲が良いんですね。羨ましいです」
僕とひまりちゃんの双方から問われた雪希が、ハイともイイエとも言わずににこやかに笑った。
あえてズレた回答をすることで、議論自体をうやむやすにして終わらせる高等技術だ。
さては、できるなお主?
「さーてと。道端であんまり引き止めちゃ悪いよな。そろそろ行こうかひまりちゃん」
いつの間にか、結構ガッツリと話し込んでしまっていた。
無益な論破合戦をしていても生産性がないし、話が途切れたこのタイミングは解散のいい頃合いでもあるだろう。
「あ、ほんとだ。ごめんね、雪希ちゃん。長々と話し込んじゃって」
「そんな、ぜんぜん。私もお話ができて楽しかったです。あの、良かったら――」
「なに?」
「良かったら友達になりませんか? その、実は私、中学の時に少し浮いていて、あまり友達がいなくって。新しい高校で友達ができるかなって、心配だったんです」
雪希がおずおずと切り出した。
雪希は受け答えもいたって普通だし、こんな綺麗な子なのに友達がいないなんてことあるんだな、なんて僕が不思議に思っていると、
「え、もう友達でしょ? ねぇアキトくん」
ひまりちゃんがにへらーと、いつものゆるーい笑顔で言った。
「だよな。名前で呼び合ってるんだし、もう友達だよ」
それについては僕も異論はない。
「ぁ――」
「もう仲良しなのに、わざわざ友達になろうなんて聞いてくるなんて、へんな雪希ちゃん。ってわけでライン交換しよっ♪」
「あ、えっと」
「ほらほらスマホ出してー」
「は、はいっ」
ひまりちゃんに急かされて、雪希がいそいそとスマホを取り出す。
僕もスマホを取り出して、3人でちゃっちゃとライン交換を済ませた。
早速、目の前の雪希にスタンプを贈ると、雪希がわたわたとスマホを操作して、少ししてからスタンプが返ってくる。
可愛らしい子犬が「よろしくお願いします」と礼をしているスタンプだった。
「じゃあ、また明日学校でね。ばいばーい」
「また明日」
「はい、また明日、学校で」
別れの言葉を交わすと、雪希が駅に歩いていくのを2人で見送る(僕とひまりちゃんは徒歩通学だ)。
駅の構内に入って見えなくなる前に、雪希はこちらを振り返ると、にっこり笑いながら右手を振ってくる。
僕とひまりちゃんも笑顔で右手を振って返した。
こうしてナンパ男を撃退するミッションは、雪希と友達になって幕を閉じた。
端正に整った顔立ち。
ひまりちゃんが太陽の下で元気に咲くパンジーの花のように愛くるしい可愛さだとしたら、雪希は月明かりに照らされた百合の花のような高貴な美しさを持っていた。
「だってー、アキトくん。頑張った甲斐あったね~♪」
「はいはい……。ごめんな、雪希。ひまりちゃんはちょっとブラコン気味なんだ」
「えー、妹がお兄ちゃんを好きで何が悪いの?」
「物には限度ってものがあるんだよ。お金だって借り過ぎるとそれ以上は貸してくれなくなるだろ?」
「お金と違って兄妹愛には限度額なんてないしー」
「あるよ。世間体とか一般常識って言う形でね」
僕とひまりちゃんの間で、論破合戦を始まった。
(幼い頃にイキっていた僕の影響で、ひまりちゃんはすごく論破合戦が得意なのだ。それこそ僕よりも)
「それってつまり、誰かに迷惑をかけないためのルールだよね?」
「ここには雪希がいる。雪希だって度が過ぎたブラコンを見せられたら、反応に困るだろ?」
「つまり雪希ちゃんが困ってなければいいんだよね? ね、雪希ちゃん。困ってないよね?」
「困ってるよな、雪希?」
「ふふっ、本当に仲が良いんですね。羨ましいです」
僕とひまりちゃんの双方から問われた雪希が、ハイともイイエとも言わずににこやかに笑った。
あえてズレた回答をすることで、議論自体をうやむやすにして終わらせる高等技術だ。
さては、できるなお主?
「さーてと。道端であんまり引き止めちゃ悪いよな。そろそろ行こうかひまりちゃん」
いつの間にか、結構ガッツリと話し込んでしまっていた。
無益な論破合戦をしていても生産性がないし、話が途切れたこのタイミングは解散のいい頃合いでもあるだろう。
「あ、ほんとだ。ごめんね、雪希ちゃん。長々と話し込んじゃって」
「そんな、ぜんぜん。私もお話ができて楽しかったです。あの、良かったら――」
「なに?」
「良かったら友達になりませんか? その、実は私、中学の時に少し浮いていて、あまり友達がいなくって。新しい高校で友達ができるかなって、心配だったんです」
雪希がおずおずと切り出した。
雪希は受け答えもいたって普通だし、こんな綺麗な子なのに友達がいないなんてことあるんだな、なんて僕が不思議に思っていると、
「え、もう友達でしょ? ねぇアキトくん」
ひまりちゃんがにへらーと、いつものゆるーい笑顔で言った。
「だよな。名前で呼び合ってるんだし、もう友達だよ」
それについては僕も異論はない。
「ぁ――」
「もう仲良しなのに、わざわざ友達になろうなんて聞いてくるなんて、へんな雪希ちゃん。ってわけでライン交換しよっ♪」
「あ、えっと」
「ほらほらスマホ出してー」
「は、はいっ」
ひまりちゃんに急かされて、雪希がいそいそとスマホを取り出す。
僕もスマホを取り出して、3人でちゃっちゃとライン交換を済ませた。
早速、目の前の雪希にスタンプを贈ると、雪希がわたわたとスマホを操作して、少ししてからスタンプが返ってくる。
可愛らしい子犬が「よろしくお願いします」と礼をしているスタンプだった。
「じゃあ、また明日学校でね。ばいばーい」
「また明日」
「はい、また明日、学校で」
別れの言葉を交わすと、雪希が駅に歩いていくのを2人で見送る(僕とひまりちゃんは徒歩通学だ)。
駅の構内に入って見えなくなる前に、雪希はこちらを振り返ると、にっこり笑いながら右手を振ってくる。
僕とひまりちゃんも笑顔で右手を振って返した。
こうしてナンパ男を撃退するミッションは、雪希と友達になって幕を閉じた。
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