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第4章 ヒロインズ・バトル

第113話 最強の盾ユリーナ&最強の矛キララ

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「神龍精霊ペンドラゴンよ!」

 俺はまず契約精霊に呼びかけた。
 しかしただ呼ぶだけでは意味がない。

 最強必殺技を使うための力を借りるため、またその膨大な力を蓄えるべく、俺は心の中に神なる龍の居場所を構築する。

 俺の呼びかけに、神龍精霊ペンドラゴンが即座に応えた。
 俺の頭の中に力強い龍の咆哮が響くとともに、俺との間に繋がっている魔力パスがグッと太くなり、神なる龍の持つ膨大な魔力が、俺の身体に注ぎ込まれ始める。
 
「その聖なる翼でもって、天空の光を我が剣に注ぎたまえ!」

 俺の身体に流入してくる大魔力を、俺は正眼に構えた聖剣エクスカリバーへと迷うことなく移し替えていく。
 神龍の力を受けた聖剣エクスカリバーが、猛烈な光を放ち始めた。

 そこでジラント・ドラゴンの紅の瞳が、俺をロックオンした。
 どっしりと腰を落として詠唱を続ける俺に、

「グルァァァァァァ!!」
 そうはさせるかとばかりに漆黒のドラゴンブレスを見舞ってくる。

「悠久なる氷河は、何者をも阻む絶対なる防壁とならん! 絶対氷河の氷盾――アブソリュート・グレイシャー・フリージング・シールド!」

 しかしユリーナの凛とした声とともに、俺の前に分厚い氷の盾が展開され、漆黒のブレスを阻んだ。

 サンキュー、ユリーナ!

 当たり前のようにSSランク魔法を使い、しかも狙った位置に発生させる。
 さすがは防御魔法のスペシャリストだ!

 距離の離れた場所にピンポイントで魔法を設置するのは、実は結構難しい。
 距離感が掴めない姫騎士は、どれだけ練習しても設置場所がずれてしまう。

 しかしユリーナはさも当然のように、常にドンピシャの位置に防御魔法を発動する。
 学年主席のアリエッタをライバルというだけあって、ユリーナの魔法の才能はずば抜けていた。

 それはさておき。
 たて続けに放たれたドラゴンブレスを、ユリーナは分厚い氷の盾を何度も作ってシャットダウンしてみせた。

 高ランク魔法の連発でかなり魔力を消耗しているはずだが、

「リリィホワイトの誇る絶対防御、貫けるものなら貫いてみなさい。リリィホワイトの家名にかけて、ユウタ様には指一本触れさせませんわ」
 ユリーナは微塵も疲れた素振りを見せはしない。

 長い金髪の横髪をさらりと優雅にかき上げる姿は、まるで戦乙女ヴァルキリーが戦場に舞い降りたかのようだった。

 と、ここでドラゴンブレスでは埒が明かないと思ったのか、ジラント・ドラゴンはその巨体をぶつけるように俺に向かってくると、太い尻尾を横殴りに振るってきた!

 さっきキララを吹き飛ばしたテイル・スマッシュか!
 音速を越えてソニックブームをまき散らしながら、大質量攻撃が足を止めた俺に向かい来る!

 しかし今度はキララが俺の前に立ちふさがった。

「しっぽ攻撃でしょ? その攻撃はキララさっき見たもんねー! キララには同じ技は2度も通用しないんだから! いっくよー! 真・キララ・ライジング・ドラゴン・アッパー!!!!」

 強烈にスイングされた巨大な尻尾を、キララが渾身のアッパーで迎撃した。
 再びSランク物理攻撃と化したキララの右拳が、テイル・スマッシュと衝突する!

 ズドンと、まるでダンプカーが正面衝突でもしたかのようなものすごい衝撃音がして、拳とテイルスマッシュの接点から、荒々しい衝撃波が四方八方に乱れ飛ぶ!
 火花が散り、稲光が走った。
 キララの足下にはさっきよりもさらに巨大なクレーターができている。

 そして一瞬の制止の後、

「せいやー!」
 キララが右拳を振り上げ抜いた!
 その姿はまさに天に昇る龍のごとし!

「グルァァァ!?」
 力勝負で押し負けたジラント・ドラゴンが、バランスを崩してたたらを踏んだ。

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