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第四章 揺れる想い
第47話 とっさに夏美を抱き寄せたシュート
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「えっ、あ、えっと、それは、その……」
ここまで自然に会話をしていた夏美が言葉に詰まった。
この反応もいい加減慣れてきたよ。
また昔の話がどうのこうの、オレが気にもしていないクソどうでもいいことを考えているに違いない。
「本当は昔から結構仲良しだったんじゃないのぉ?」
「えっと、だから……」
夏美がおどおどした様子でオレを見る。
「だから別に普通だって言っただろ? それより4月末に球技大会があるよな? ソフトボールとフットサルって話だけど、2人はどっちに出るか決めてるのか?」
俺は「そこ」に深入りすることなく、話を変えた。
少し強引だが気にしない。
ちなみに4月末に行われる球技大会は学年ごとに行われ、男女混合でソフトボールとフットサルが行われるらしい。
審判&運営係を課せられる一部運動部を除いて、1年生の全員がそのどちらかを選んで出る必要があった。
「あ、そうだよね。もうすぐ球技大会があるんだよね」
夏美もこれ幸いと、すぐに話に乗ってくる。
加恋は会話が変わってから一瞬、静かになった後、しかしすぐに話に絡んできた。
「アタシは体育館でやるフットサルかなぁ? ソフトボールは運動場だから日焼けしそうだしぃ~」
「理由が日焼けとは、いかにも加恋らしいな」
「女の子に日焼けは天敵だよっ。ねっ、ナツミーン」
「うん、そうだね。私も赤く焼けちゃうし、フットサルの方がいいかな。それにソフトボールってバットでボールを打つよね? あんなの絶対に無理だもん。そう言う修斗くんは?」
「オレもバッティングが致命的にムリそうだからフットサルかな。というかゴロやフライを捕れるかどうかも怪しいし」
「シュートって見た目はすごく運動できそうなのにねぇ?」
「あはは……」
「残念ながらマジで見た目だけだな。筋トレとランニングを毎日してきたから基礎体力は大幅にアップしたし、身長もかなり伸びたんだが。それまでずっとゲーマーだったから球技はサッパリでさ」
「じゃあ3人ともフットサル希望だね。男女混合だし、一緒にやれたら楽しそう♪」
そんな話をしていると、なにか急ぎの用でもあるのか、登校の集団を掻き分けるように後ろから生徒が1人走ってきた。
その生徒を避けようとして、
「あっ――」
前を歩く夏美がバランスを崩してよたよたとふらついた。
オレは無意識に反応して身体を動かすと、夏美の身体を抱き寄せるようにして支える。
オレの腕の中に夏美がいた。
「大丈夫か?」
「ぁっ……! うん。ありがとう。えっと……ごめん」
夏美はオレの腕の中でハッとしたように大きく目を見開くと、うなずいて、感謝して、小さな声でなぜだか謝ってから、最後に加恋にチラリと視線を向けてから。パッとオレから離れた。
「夏美――」
そんな夏美に、オレはとっさに声をかけてしまう。
夏美と触れたからか、オレの脳裏にはかつて夏美と付き合っていた頃に、胸元をチョンチョンと人差し指でつつかれた時のことが浮かんでいた。
過去と現在が、心の中でほんのわずかに交錯する。
「どうしたの?」
オレの声に振り返る夏美。
だけどオレは何も言うことを考えていなくて、
「……ちょっと支えただけだし、そんな気にするなよ」
慌ててそんなどうでもいいことを言って誤魔化した。
しかも微妙に恩着せがましいセリフだった。
ああもう、なんだよこれは──。
「うん、そうするね」
夏美が頷きながら、再び通学路を歩き始める。
離れていく夏美の背中を追うように、少し遅れてオレもその後に続く。
「やーん♪ なんかぁ、今のすっごくカップルっぽかったよねぇ♪ エモーイ♪」
加恋がじゃれつきながら茶化してきたのを、
「ちーがーうーかーらー!」
夏美が必死に否定する後ろ姿を、オレはぼぉっと眺め続けていたのだった。
ここまで自然に会話をしていた夏美が言葉に詰まった。
この反応もいい加減慣れてきたよ。
また昔の話がどうのこうの、オレが気にもしていないクソどうでもいいことを考えているに違いない。
「本当は昔から結構仲良しだったんじゃないのぉ?」
「えっと、だから……」
夏美がおどおどした様子でオレを見る。
「だから別に普通だって言っただろ? それより4月末に球技大会があるよな? ソフトボールとフットサルって話だけど、2人はどっちに出るか決めてるのか?」
俺は「そこ」に深入りすることなく、話を変えた。
少し強引だが気にしない。
ちなみに4月末に行われる球技大会は学年ごとに行われ、男女混合でソフトボールとフットサルが行われるらしい。
審判&運営係を課せられる一部運動部を除いて、1年生の全員がそのどちらかを選んで出る必要があった。
「あ、そうだよね。もうすぐ球技大会があるんだよね」
夏美もこれ幸いと、すぐに話に乗ってくる。
加恋は会話が変わってから一瞬、静かになった後、しかしすぐに話に絡んできた。
「アタシは体育館でやるフットサルかなぁ? ソフトボールは運動場だから日焼けしそうだしぃ~」
「理由が日焼けとは、いかにも加恋らしいな」
「女の子に日焼けは天敵だよっ。ねっ、ナツミーン」
「うん、そうだね。私も赤く焼けちゃうし、フットサルの方がいいかな。それにソフトボールってバットでボールを打つよね? あんなの絶対に無理だもん。そう言う修斗くんは?」
「オレもバッティングが致命的にムリそうだからフットサルかな。というかゴロやフライを捕れるかどうかも怪しいし」
「シュートって見た目はすごく運動できそうなのにねぇ?」
「あはは……」
「残念ながらマジで見た目だけだな。筋トレとランニングを毎日してきたから基礎体力は大幅にアップしたし、身長もかなり伸びたんだが。それまでずっとゲーマーだったから球技はサッパリでさ」
「じゃあ3人ともフットサル希望だね。男女混合だし、一緒にやれたら楽しそう♪」
そんな話をしていると、なにか急ぎの用でもあるのか、登校の集団を掻き分けるように後ろから生徒が1人走ってきた。
その生徒を避けようとして、
「あっ――」
前を歩く夏美がバランスを崩してよたよたとふらついた。
オレは無意識に反応して身体を動かすと、夏美の身体を抱き寄せるようにして支える。
オレの腕の中に夏美がいた。
「大丈夫か?」
「ぁっ……! うん。ありがとう。えっと……ごめん」
夏美はオレの腕の中でハッとしたように大きく目を見開くと、うなずいて、感謝して、小さな声でなぜだか謝ってから、最後に加恋にチラリと視線を向けてから。パッとオレから離れた。
「夏美――」
そんな夏美に、オレはとっさに声をかけてしまう。
夏美と触れたからか、オレの脳裏にはかつて夏美と付き合っていた頃に、胸元をチョンチョンと人差し指でつつかれた時のことが浮かんでいた。
過去と現在が、心の中でほんのわずかに交錯する。
「どうしたの?」
オレの声に振り返る夏美。
だけどオレは何も言うことを考えていなくて、
「……ちょっと支えただけだし、そんな気にするなよ」
慌ててそんなどうでもいいことを言って誤魔化した。
しかも微妙に恩着せがましいセリフだった。
ああもう、なんだよこれは──。
「うん、そうするね」
夏美が頷きながら、再び通学路を歩き始める。
離れていく夏美の背中を追うように、少し遅れてオレもその後に続く。
「やーん♪ なんかぁ、今のすっごくカップルっぽかったよねぇ♪ エモーイ♪」
加恋がじゃれつきながら茶化してきたのを、
「ちーがーうーかーらー!」
夏美が必死に否定する後ろ姿を、オレはぼぉっと眺め続けていたのだった。
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