俺が恋愛不感症になったわけ。「恋愛なんてしょせんは人類が子孫を残すための付随行為に過ぎないだろ?」

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

文字の大きさ
57 / 92
第五章 俺とオレ

第57話 押しの強い加恋(珍しい)

しおりを挟む
「はい、シュートはオッケーね。ナツミンは?」

 オレのOKの意思を確認した加恋が、今度は夏美へと問いかける。

「ええっと、私はその、遊園地は――」
「前に放課後に誘った時は、一緒に遊べなかったからぁ。今度は一緒に遊びたいなっ♪」

 しかし夏美が答えを言い切る前に、加恋は夏美の言葉に被せるようにして、この前誘いを断られたことをさりげなく持ち出した。
 
「あ、うん。この前はごめんね……」

「あはは、いいよいいよぉ♪ それでそれでぇ、今週の日曜日は空いてそう? そうそう?」
「あ、えっと、日曜日は――」

「アタシぃ、ナツミンと遊びに行くの、ずっと楽しみにしてたんだよねっ♪」
「う……」

 加恋は終始笑顔なんだが、夏美が渋る気配を見せるたびに、絶妙なタイミングで新しい誘い文句を繰り出してきた。

 そして夏美が乗り気でない理由に、オレはなんとなく見当がついていた。
 というか嫌でも気が付いた。

 さっきから夏美がチラチラと、不安そうな顔でオレに視線を向けてくるからだ。
 もう露骨にオレの顔色を窺っている。

 夏美が加恋の提案を渋る理由。
 それは――場所は違えど――行き先が「遊園地」だからに違いない。
 中学時代に『俺』と夏美が一緒に行こうと約束し、あの一件もあって果たせなかった場所。

 そこにオレと一緒に行くことに、夏美は忌避感きひかんというか心理的な抵抗を覚えているんだろう。

 そういうの、マジで気にしなくていいんだけど、夏美はなかなか分かってくれないんだよなぁ。
 友だちと親睦を深めるために遊園地に行くだけだろ?
 楽しい話じゃないか。

 それでも一応オレは「そんな無理強いはするなよ。別の奴を誘えばいいだろ?」みたいなことを言おうとしたんだが。
 加恋はまるでオレがそう言うと分かっているかのように、これまた絶妙なタイミングで、

「ねぇねぇ、ダメかなぁ?」
「一番仲良しの3人でフジパー行きたいなぁ」
「ねぇ、行こーよぉ?」

 などと、甘ったるい恋愛脳丸出しおねだりボイス――オレの主観だ――を夏美に投げかけて機先を制し、オレの発言を封殺してくる。

 ……これ、全部オレの考えすぎか?

 だがさっきから妙にタイミングが良すぎるんだよな。
 夏美が話そうとしたり、オレが夏美をやんわり援護しようとすると、その都度ほんの少し前のタイミングで加恋が先に話し始めるのだ。

 元来、加恋は無類の会話上手で、相手の話の切れ目に、絶妙なタイミングで自分の言葉を差し込んでくる。
 なのでものすごくスムーズに会話が流れる。

 そんな加恋のすごすごトーク術に慣れきっていたのもあって、今の加恋の強引なやり口を、オレはなんとも不自然に感じてしまったのだ。

 それはさておき。

「ねぇねぇ、ナツミーン。3人で行こうっ?」

 捨てられた子犬のように目を潤ませながら、甘え声でおねだりする加恋。
 その抗弁するタイミングすら与えられない一方的なおねだり攻撃によって、

「じゃあ、日曜日は空けとくね。フジパー、行こう」
「やった♪ 絶対だからねー♪」

 夏美は根負けしたように同意したのだった。

 こうして。
 オレと夏美と加恋の3人で、日曜日にフジパーに遊びに行くことになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?

志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。 父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。 多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。 オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。 それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。 この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

この男子校の生徒が自分以外全員男装女子だということを俺だけが知っている

夏見ナイ
恋愛
平凡な俺、相葉祐樹が手にしたのは、ありえないはずの超名門男子校『獅子王院学園』からの合格通知。期待を胸に入学した先は、王子様みたいなイケメンだらけの夢の空間だった! ……はずが、ある夜、同室のクールな完璧王子・橘玲が女の子であるという、学園最大の秘密を知ってしまう。 なんとこの学園、俺以外、全員が“訳アリ”の男装女子だったのだ! 秘密の「共犯者」となった俺は、慣れない男装に悩む彼女たちの唯一の相談相手に。 「祐樹の前でだけは、女の子でいられる……」 クールなイケメンたちの、俺だけに見せる甘々な素顔と猛アプローチにドキドキが止まらない! 秘密だらけで糖度120%の学園ラブコメ、開幕!

処理中です...