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第五章 俺とオレ
第71話 逃げた先にて――◇夏美 SIDE◇
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◇夏美 SIDE◇
「はぁ、はぁ……、はぁ、はぁ、はぁ……」
私はフジパーの外れにある、人気のない小さな公園スペース(という名の芝生エリア)で、両膝に手をついて、大きく荒れた息と、乱れた心を必死に整えていた。
遊園地には似つかわしくない姿だったけど、周りにはほとんど人がいなかったので、取り立てて不審がられることもない。
フジパーにまで遊びに来て、芝生に座って時間をつぶすなんてもったいないもんね。
当然だ。
別にここに来たかったわけじゃない。
一人になりたくて、人気のないところを探してやみくもに走っていたら、たまたまここにたどり着いてしまったのだ。
「修斗くんと加恋ちゃんがキスしてた……」
それを見た瞬間に、私は頭が真っ白になってしまい。
居ても立っても居られなくなって、気付いた時には逃げ出してしまったのだ。
さらにはここに来るまでの間も、その光景を私は何度も思い出してしまっていた。
「こういうことになったら、ちゃんとお祝いしようって、思ってたんだけどな……」
加恋ちゃんが修斗くんに好意――まではいかなくても、少なくとも興味があるのは分かっていた。
修斗くんは加恋ちゃんに、というより恋愛にあまり興味なさそうだったけど――他でもない私のせいだ――加恋ちゃんの猛アタックはそれはもう凄まじかったので、いつか2人が「そういう関係」になるだろうなってことも、ちゃんとわかっていた。
加恋ちゃんのアタックで、修斗くんがもう一度、誰かを好きになってくれたら――それは私には絶対にできないから――そんなことを思っていた。
そう、頭の中ではわかっていた。
だけど私の心は、わかってはいなかったのだ。
まるでカップルのように仲睦まじい2人の姿を見た瞬間、私の心は制御を失ってしまった。
感情が爆発してしまい、どうしていいかわからなくなった。
そんなことを考えていると、荒い息がいくぶんか収まってきて。
「うんしょ、と……」
私は膝から手を離すと身体を起こした。
だけど心の中はグルグルと荒れたまま。
乱れた心のままに、なんとはなしに空を見上げると、
「わ、綺麗な夕焼け……」
オレンジ色と紫色のグラデーションが綺麗な夕焼けは、見事の一言で。
人気のないところまで逃げてきた惨めな私を、まるで見下して嘲笑っているかのように思えた。
「あはは……。こんな綺麗な夕日なのに、すっごい被害妄想……」
自分で言って、情けなくなってくる。
「嘘コクも……、嘘コクがバレた時に追いかけなかったのも……、今こうやって逃げているのも……、なにもかも全部、私が悪いのにね……」
綺麗だった夕焼けが、滲みはじめた。
せめてこれ以上は惨めにならないようにと、私は涙がこぼれないように必死に上を向いて堪えようとして――、
「夏美! こんなところにいたのか! よかった、探したんだぞ」
公園エリアの入り口付近から、修斗くんの声が聞こえてきた。
私はハッとすると、慌てて右手の甲で涙を拭って――笑って笑ってと自分に言い聞かせてから――渾身の勇気を振り絞って振りむいた。
◇夏美 SIDE END◇
「はぁ、はぁ……、はぁ、はぁ、はぁ……」
私はフジパーの外れにある、人気のない小さな公園スペース(という名の芝生エリア)で、両膝に手をついて、大きく荒れた息と、乱れた心を必死に整えていた。
遊園地には似つかわしくない姿だったけど、周りにはほとんど人がいなかったので、取り立てて不審がられることもない。
フジパーにまで遊びに来て、芝生に座って時間をつぶすなんてもったいないもんね。
当然だ。
別にここに来たかったわけじゃない。
一人になりたくて、人気のないところを探してやみくもに走っていたら、たまたまここにたどり着いてしまったのだ。
「修斗くんと加恋ちゃんがキスしてた……」
それを見た瞬間に、私は頭が真っ白になってしまい。
居ても立っても居られなくなって、気付いた時には逃げ出してしまったのだ。
さらにはここに来るまでの間も、その光景を私は何度も思い出してしまっていた。
「こういうことになったら、ちゃんとお祝いしようって、思ってたんだけどな……」
加恋ちゃんが修斗くんに好意――まではいかなくても、少なくとも興味があるのは分かっていた。
修斗くんは加恋ちゃんに、というより恋愛にあまり興味なさそうだったけど――他でもない私のせいだ――加恋ちゃんの猛アタックはそれはもう凄まじかったので、いつか2人が「そういう関係」になるだろうなってことも、ちゃんとわかっていた。
加恋ちゃんのアタックで、修斗くんがもう一度、誰かを好きになってくれたら――それは私には絶対にできないから――そんなことを思っていた。
そう、頭の中ではわかっていた。
だけど私の心は、わかってはいなかったのだ。
まるでカップルのように仲睦まじい2人の姿を見た瞬間、私の心は制御を失ってしまった。
感情が爆発してしまい、どうしていいかわからなくなった。
そんなことを考えていると、荒い息がいくぶんか収まってきて。
「うんしょ、と……」
私は膝から手を離すと身体を起こした。
だけど心の中はグルグルと荒れたまま。
乱れた心のままに、なんとはなしに空を見上げると、
「わ、綺麗な夕焼け……」
オレンジ色と紫色のグラデーションが綺麗な夕焼けは、見事の一言で。
人気のないところまで逃げてきた惨めな私を、まるで見下して嘲笑っているかのように思えた。
「あはは……。こんな綺麗な夕日なのに、すっごい被害妄想……」
自分で言って、情けなくなってくる。
「嘘コクも……、嘘コクがバレた時に追いかけなかったのも……、今こうやって逃げているのも……、なにもかも全部、私が悪いのにね……」
綺麗だった夕焼けが、滲みはじめた。
せめてこれ以上は惨めにならないようにと、私は涙がこぼれないように必死に上を向いて堪えようとして――、
「夏美! こんなところにいたのか! よかった、探したんだぞ」
公園エリアの入り口付近から、修斗くんの声が聞こえてきた。
私はハッとすると、慌てて右手の甲で涙を拭って――笑って笑ってと自分に言い聞かせてから――渾身の勇気を振り絞って振りむいた。
◇夏美 SIDE END◇
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